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第5章 学園騒乱
第39話 なれの果て~末路
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「なんだよ・・・あれ・・・」
「兄さん・・・これって・・・」
「カズヤ!リア姉!本当に何と戦っているの!?」
丘ぐらいの黒い物体がそこにあった。“物体”としか形容のしようがなかった。肉と液体と魔力やら機械やらがグチャグチャに混ざり合っている。
「あれは多分・・・夢想獣の究極を追求したモノ・・・」
「カズヤ・・・」
「カズヤん!どういう意味だ!」
俺の煮え切らない言葉にリアは察したようだが、他の面々は納得しかねているように答えを求める視線を向けてくる。本当は皆が気付いている。だが、どこかで違うと思いたい。俺に「違う」と言って欲しいのだろう。
すまないみんな、俺はその期待には答えられない。
「夢想獣は人の負の感情をエネルギーに獣化したもの、通常は人一人分のエネルギーだけのはずなんだ。けど、コレはあの会場にいたほぼ全ての人間の負のエネルギーを吸ったモノだ。どんな化け物になるかわからない」
「カズヤ、それだけじゃないんでしょ?」
「ああ、コレはあの三人組を核にしている。集めたエネルギーも会場の結界に何か仕込んだんだろう。俺達と縁のない人間全てが狂っていた。ほんの少しの悪意ばかりか、ほぼ中立に近い者の人間の心まで負の感情一色に染め上げた。」
「そして、それを根こそぎ集めたのが・・・」
「その通りだよ、リア。こいつのことさ。最初に言った通り夢想獣の究極体だ!」
パチパチパチパチ
「御名答~」
拍手とともに緑の髪の鬼と青い髪の氷のお化けが暗闇から出現した。その余裕ぶった表情から彼らの筋書き通りに事が進んでいることが伺える。これだけ大掛かりなことを仕掛けてきたんだ。ここで決着をつける算段なのだろう。
「さて、お前達!男二人は任せたよ!上手くいったら御褒美さ!丁度三人、女がいるからねぇ・・・。こいつらで遊ばせてやるよ!」
「お前!」
「よそ見はいけませんわ。色男さん。あなた達の相手はそこの三人でしょ」
怒りを覚えたヒノシンが大剣を振るうも、青の髪の言葉に反応した黒い物体から触手のようなものが伸び受け止める。そのままヒノシンは構わず斬り伏せるも、アメーバのように俺とヒノシンに覆い被さろうとする攻撃を避けると、俺達は敵の術中に嵌り分断されてしまった。
「双子のお譲ちゃん達は私が相手をしてあげる。リアには聞きたいこともあるからねぇ」
「ならば私はそちらの可愛らしい子に致します。さあ、お人形さん・・・私と遊びましょう」
その言葉とともに、リア、ルカ、ヒカリの三人は緑と青の化け物とともに霧に包まれると忽然とどこかへ消えていく。なんとかそれを逃すまいと光の翼を全開にし駆けつけるも一歩届かない。舞い散る光の羽根が空しく散り、目の前から消えてしまった。
リア・・・・
「グゲガボガハハハ、オ前達殺ス。俺達サイキョウ!ガハゲハボハ!」
「・・・」
「カズヤん何を突っ立っている!」
「トキノォォッ!死ネェェェェェェッ!」
「邪魔だ!」
串刺しにせんと伸びてきた触手を全て細切れに刻み。黒くデカイだけの阿呆に向き直る。ゆっくりと俺が歩を進め近づくごとに、そいつは後ずさる。
「結構、力の差は見せたつもりなんだがな。それでも分かってもらえなくて本当に困るんだよ。俺は!!」
「フグッ、ゲハハボハ・・・無駄ダ、オ前の攻撃ハ最強の俺達ニハ効カナイゼ!」
さて、それはどうかな?
閃光剣・明鏡止水の型・“水月”
そのまま、唐竹の一振りを振り払った。
新月のように速いわけでもなく、三日月のように飛翔するわけでもない。ましてや月雨のような激しさもない。見た目では、俺のどの閃光剣の型と比べても一番地味な上から下へ斬り下すだけの一撃・・・にも関わらず、黒い憐れな物体に再生不能の傷を負わせる。
「フギィ!バカナ!、イタイ、ドウシテ!?」
「カズヤん、キレたわけじゃなかったんだな!キレてたら、そんな剣は絶対に無理だ!」
閃光剣・水月――水面に映る月を断つ。斬れないモノを斬る剣、この技の前にはバリアも防御力も一切関係ない。唯一の弱点は、心が澄みきっていないと放てないことと技の威力が他の閃光剣と比べて落ちることだ。
「ヒノシン、決めよう。俺達だけが残ったのは正解だったかもしれない。こいつは勇者の光なしでは倒せない。一緒にやってくれるか?」
「当たり前だ親友!こいつらに本当の友情の力をみせてやろうぜ!」
狙うは水月の斬撃の跡・・・、だがその前に
「奴を一箇所にまとめる!」
「う、嘘だろ!カズヤんが四人に“分裂”した!?」
“分裂”ではなく“分身”だ失礼だぞ!
「閃光剣・四面合わせ半月!」
四人に分身した俺は黒い物体を四方から囲み『閃光剣・半月』で繰り出した結界を敵にぶつけ押しつぶすようにして一点に集めた。一欠片も逃しはしない。ひしゃげた黒い物体の中に俺を嘲笑する三人の顔が映る。
「惨めだな・・・、終わらせてやるよ」
「ブレイブ・フォース!マキシマムパワー!」 「ソウル・フェニックス・オーバードライブ!」
「「ブレイブ・フェニックス」」
「真の友情の力!」
「思い知れぇぇぇぇぇっ!!」
「「閃凰・爆火紅雷・天翔斬!!」」
紅き雷を纏いし光の神鳥と化した俺達は水月の斬撃の跡から敵の体内へと侵入し勇者の光の力を解放させ滅していく。
「グボバボバ、ヤメロ!ガボアボバッァァァァァ!」
人を捨てた悲鳴が聞こえるがこれは報いだ・・・終わらせてやる!
「「終わりだ!!」」
「「友情の“アルティメットォッ!・ブレェェイドォォッッ!」」
二人の剣が交差して眩い光を放ちながら全てを弾き飛ばすと、憐れな三人組は着る物一つ纏わぬ姿で転がっていた。呻いているところを見ると目を覚ましているのだろう。
「ひっひぃぃぃぃっ、ト、トキノ!」
「たったた、助けてくれ!」
「そうだ!俺達は何もわっ、悪くねぇんだ。ハハハ・・・」
「お前達・・・、それはないんじゃないか」
命乞いをする三人に冷たくつき放つヒノシンの言葉はもっともなものだ。それにしても『助けてくれ』・・・か、何処までもおめでたいことだ。虫唾が走る。
「今、助けてくれ、って言ったか?」
「あっ、ああ。そうだ。だって俺達なにも悪くねぇ・・・なあ?」
「そっそうだ。見逃してくれ!」
「許してくれ」
本当に見苦しい奴らだ。斬る価値もない。剣が汚れる。
「・・・俺がお前らに襲われた時、リアと妹には手をださないでくれ、って頼んだら確か、笑ったんだよな!?」
「そっそ・・・・ごふっ!」
「もういい、黙れ!耳障りな雑音を今すぐ止めろ!その醜い姿を俺に見せるな!お前も!お前もだ!」
見苦しい言い訳を言わせることなど許すはずもなく、それぞれを殺気をぶつけながら蹴りつけると、悲鳴を上げ這いつくばりながらどこかへと消えていった。現実に帰還したのか、この世界をさ迷い続けるのかは俺にとってはどうでもいい。興味ない。それより、これからが肝心だ。
「ヒノシン!これからお前をリアとルカの元へ送る」
「カズヤん・・・、そんなこと出来るのか?じゃなくてお前が行かなくていいのか?」
「ああ、俺にはまだやることがある」
「そうか!ヒカリちゃんの方へ行くんだんな!」
「いや、その必要はない。もうじき終わるようだ」
「それより行くんだ!お前とルカの関係は俺とリアのそれと同じ・・・、一緒にいないと駄目なんだ。だから頼む!」
月光鏡を使い、リア達のいる空間に一枚紛れた俺の羽根を映し出すと光のトンネルが現れた。俺はその光の中に追い出すようにしてヒノシンを送り出した。今ひとつ納得はしていないようだが理解はしてくれたようだ。別れ際に「分かった。任せろ!」と言っていたので大丈夫だろう。
「竜魔王!いるんだろ?さっさと出て来いよ!」
先の黒い塊の残骸が集まり出しより大きなモノへと姿を変える。こいつとの決着は俺がつけなくてはいけない。あの時もそして“今”も・・・
過去との清算が始まりを告げだした。
「兄さん・・・これって・・・」
「カズヤ!リア姉!本当に何と戦っているの!?」
丘ぐらいの黒い物体がそこにあった。“物体”としか形容のしようがなかった。肉と液体と魔力やら機械やらがグチャグチャに混ざり合っている。
「あれは多分・・・夢想獣の究極を追求したモノ・・・」
「カズヤ・・・」
「カズヤん!どういう意味だ!」
俺の煮え切らない言葉にリアは察したようだが、他の面々は納得しかねているように答えを求める視線を向けてくる。本当は皆が気付いている。だが、どこかで違うと思いたい。俺に「違う」と言って欲しいのだろう。
すまないみんな、俺はその期待には答えられない。
「夢想獣は人の負の感情をエネルギーに獣化したもの、通常は人一人分のエネルギーだけのはずなんだ。けど、コレはあの会場にいたほぼ全ての人間の負のエネルギーを吸ったモノだ。どんな化け物になるかわからない」
「カズヤ、それだけじゃないんでしょ?」
「ああ、コレはあの三人組を核にしている。集めたエネルギーも会場の結界に何か仕込んだんだろう。俺達と縁のない人間全てが狂っていた。ほんの少しの悪意ばかりか、ほぼ中立に近い者の人間の心まで負の感情一色に染め上げた。」
「そして、それを根こそぎ集めたのが・・・」
「その通りだよ、リア。こいつのことさ。最初に言った通り夢想獣の究極体だ!」
パチパチパチパチ
「御名答~」
拍手とともに緑の髪の鬼と青い髪の氷のお化けが暗闇から出現した。その余裕ぶった表情から彼らの筋書き通りに事が進んでいることが伺える。これだけ大掛かりなことを仕掛けてきたんだ。ここで決着をつける算段なのだろう。
「さて、お前達!男二人は任せたよ!上手くいったら御褒美さ!丁度三人、女がいるからねぇ・・・。こいつらで遊ばせてやるよ!」
「お前!」
「よそ見はいけませんわ。色男さん。あなた達の相手はそこの三人でしょ」
怒りを覚えたヒノシンが大剣を振るうも、青の髪の言葉に反応した黒い物体から触手のようなものが伸び受け止める。そのままヒノシンは構わず斬り伏せるも、アメーバのように俺とヒノシンに覆い被さろうとする攻撃を避けると、俺達は敵の術中に嵌り分断されてしまった。
「双子のお譲ちゃん達は私が相手をしてあげる。リアには聞きたいこともあるからねぇ」
「ならば私はそちらの可愛らしい子に致します。さあ、お人形さん・・・私と遊びましょう」
その言葉とともに、リア、ルカ、ヒカリの三人は緑と青の化け物とともに霧に包まれると忽然とどこかへ消えていく。なんとかそれを逃すまいと光の翼を全開にし駆けつけるも一歩届かない。舞い散る光の羽根が空しく散り、目の前から消えてしまった。
リア・・・・
「グゲガボガハハハ、オ前達殺ス。俺達サイキョウ!ガハゲハボハ!」
「・・・」
「カズヤん何を突っ立っている!」
「トキノォォッ!死ネェェェェェェッ!」
「邪魔だ!」
串刺しにせんと伸びてきた触手を全て細切れに刻み。黒くデカイだけの阿呆に向き直る。ゆっくりと俺が歩を進め近づくごとに、そいつは後ずさる。
「結構、力の差は見せたつもりなんだがな。それでも分かってもらえなくて本当に困るんだよ。俺は!!」
「フグッ、ゲハハボハ・・・無駄ダ、オ前の攻撃ハ最強の俺達ニハ効カナイゼ!」
さて、それはどうかな?
閃光剣・明鏡止水の型・“水月”
そのまま、唐竹の一振りを振り払った。
新月のように速いわけでもなく、三日月のように飛翔するわけでもない。ましてや月雨のような激しさもない。見た目では、俺のどの閃光剣の型と比べても一番地味な上から下へ斬り下すだけの一撃・・・にも関わらず、黒い憐れな物体に再生不能の傷を負わせる。
「フギィ!バカナ!、イタイ、ドウシテ!?」
「カズヤん、キレたわけじゃなかったんだな!キレてたら、そんな剣は絶対に無理だ!」
閃光剣・水月――水面に映る月を断つ。斬れないモノを斬る剣、この技の前にはバリアも防御力も一切関係ない。唯一の弱点は、心が澄みきっていないと放てないことと技の威力が他の閃光剣と比べて落ちることだ。
「ヒノシン、決めよう。俺達だけが残ったのは正解だったかもしれない。こいつは勇者の光なしでは倒せない。一緒にやってくれるか?」
「当たり前だ親友!こいつらに本当の友情の力をみせてやろうぜ!」
狙うは水月の斬撃の跡・・・、だがその前に
「奴を一箇所にまとめる!」
「う、嘘だろ!カズヤんが四人に“分裂”した!?」
“分裂”ではなく“分身”だ失礼だぞ!
「閃光剣・四面合わせ半月!」
四人に分身した俺は黒い物体を四方から囲み『閃光剣・半月』で繰り出した結界を敵にぶつけ押しつぶすようにして一点に集めた。一欠片も逃しはしない。ひしゃげた黒い物体の中に俺を嘲笑する三人の顔が映る。
「惨めだな・・・、終わらせてやるよ」
「ブレイブ・フォース!マキシマムパワー!」 「ソウル・フェニックス・オーバードライブ!」
「「ブレイブ・フェニックス」」
「真の友情の力!」
「思い知れぇぇぇぇぇっ!!」
「「閃凰・爆火紅雷・天翔斬!!」」
紅き雷を纏いし光の神鳥と化した俺達は水月の斬撃の跡から敵の体内へと侵入し勇者の光の力を解放させ滅していく。
「グボバボバ、ヤメロ!ガボアボバッァァァァァ!」
人を捨てた悲鳴が聞こえるがこれは報いだ・・・終わらせてやる!
「「終わりだ!!」」
「「友情の“アルティメットォッ!・ブレェェイドォォッッ!」」
二人の剣が交差して眩い光を放ちながら全てを弾き飛ばすと、憐れな三人組は着る物一つ纏わぬ姿で転がっていた。呻いているところを見ると目を覚ましているのだろう。
「ひっひぃぃぃぃっ、ト、トキノ!」
「たったた、助けてくれ!」
「そうだ!俺達は何もわっ、悪くねぇんだ。ハハハ・・・」
「お前達・・・、それはないんじゃないか」
命乞いをする三人に冷たくつき放つヒノシンの言葉はもっともなものだ。それにしても『助けてくれ』・・・か、何処までもおめでたいことだ。虫唾が走る。
「今、助けてくれ、って言ったか?」
「あっ、ああ。そうだ。だって俺達なにも悪くねぇ・・・なあ?」
「そっそうだ。見逃してくれ!」
「許してくれ」
本当に見苦しい奴らだ。斬る価値もない。剣が汚れる。
「・・・俺がお前らに襲われた時、リアと妹には手をださないでくれ、って頼んだら確か、笑ったんだよな!?」
「そっそ・・・・ごふっ!」
「もういい、黙れ!耳障りな雑音を今すぐ止めろ!その醜い姿を俺に見せるな!お前も!お前もだ!」
見苦しい言い訳を言わせることなど許すはずもなく、それぞれを殺気をぶつけながら蹴りつけると、悲鳴を上げ這いつくばりながらどこかへと消えていった。現実に帰還したのか、この世界をさ迷い続けるのかは俺にとってはどうでもいい。興味ない。それより、これからが肝心だ。
「ヒノシン!これからお前をリアとルカの元へ送る」
「カズヤん・・・、そんなこと出来るのか?じゃなくてお前が行かなくていいのか?」
「ああ、俺にはまだやることがある」
「そうか!ヒカリちゃんの方へ行くんだんな!」
「いや、その必要はない。もうじき終わるようだ」
「それより行くんだ!お前とルカの関係は俺とリアのそれと同じ・・・、一緒にいないと駄目なんだ。だから頼む!」
月光鏡を使い、リア達のいる空間に一枚紛れた俺の羽根を映し出すと光のトンネルが現れた。俺はその光の中に追い出すようにしてヒノシンを送り出した。今ひとつ納得はしていないようだが理解はしてくれたようだ。別れ際に「分かった。任せろ!」と言っていたので大丈夫だろう。
「竜魔王!いるんだろ?さっさと出て来いよ!」
先の黒い塊の残骸が集まり出しより大きなモノへと姿を変える。こいつとの決着は俺がつけなくてはいけない。あの時もそして“今”も・・・
過去との清算が始まりを告げだした。
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