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第3章 心と心

第20話 作戦会議~呪いとスキルとBWH

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食事が済みひと段落したところを見計らって情報交換をすることに。
死んだはずの俺が生きている理由は「よくわからない。」の一点張りで通した。本当のことを話しても、理解しては貰える面子だろうが、俺の帰還に喜んで貰えているところに「実は別の世界の自分です。」とは言えない。騙しているような後ろめたさがチクリと突き刺さるが、この人たちの笑顔を奪うことだけはしたくないのが本音だ。それに・・・いや、これはやめておこう。

従って俺から大した情報が得られない以上、リアからの話が中心となる。
結論から言うと、休み明け、何食わぬ顔で俺とリアが学園に登校し相手を誘い出す方向でまとまった。
愚策に見えるかもしれないが、黒い三人組は間抜けそうなので姿を見せれば勝手に尻尾を出すだろうという見解で一致している。
彼らは学生では通常、身につけることなどない実力に見合わぬ装備をしていたことから権力者の後ろ盾がいる可能性が高い以上、被害届をだして然るべきところに調査を委ねるよりは数倍マシ、とも見ている。
まあ、大人の権力者がしゃしゃり出てくるようであれば、頼まなくとも両親達が全力で蹴散らしてくれそうだ。仮に“出てこなくとも”潰されるだろう。その話をしていた時の母さんの全てを凍てつかせる眼光が非常に恐ろしかった。
ともかく、こちらには“黄金の腹黒魔女”というとっておきの切り札がある以上、並みの権力者程度ではどうにもならないだろう。合掌・・・。

となると最大の懸念材料は黒幕と思われる八つ手の蜘蛛女だろう。三人組の保護者に権力者がついていない場合は、事件の糸を引いたばかりでなく装備品をも提供したことが考えられる。蜘蛛女の装備品、本人の兵器として作られた体、特定人物のみ強制転送魔法リターンを無効化する結界技術、狼型のゴーレムなど組織としての力が伺える。流石の父さん達もこれまで気配は感ずれども尻尾を掴むことはできなかったようだ。
少数精鋭、しかも精鋭中の精鋭で構成されていると考えられる。

ここまでは順調だった。問題はリアを助けた“銀色の剣士”の話をした時だ。彼女が時折チラチラとこちらを伺っていたのが気になるが、あの瞳と口調から一目ぼれしていることが予想される。それも相当美化されていたので、より名乗れなくなってしまった。俺のライバルはどうやら俺自身らしい。
悪いことは重なるものだ。銀色の剣士が俺であることが、リア以外にはバレていた。技のネーミング、特に“閃凰天翔斬”の部分で妹のヒカリにあっさり看破され、光の剣と翼の部分で父さんと母さんは全てを察した。
この後、父さんにこっそり地下の錬武場に呼び出され切り結んだ後はっきりと言われてしまっている。光の翼と剣は使っていないはずなのに打ち合うだけで“分かる”とか、規格外にも程がある。リアには黙ってくれるそうだが、「お前の口から伝えるように。」とお叱りを受けている。
一連の話がまとまったところで、その場はお開きとなった。今は両親がナオヒトさんを招き入れて、俺を送り届けてくれた件でじっくりと話し合っている。俺抜きで話したいこともあるようなので、最初は同席していたが、俺は抜けることとなった。

丁度いい。折角なので“土”の精霊クレスと交流を深めることにしよう。
精霊召喚でクレスを呼び出し準備を進めていると、興味ありげにリアとヒカリも寄ってきた。リアは機械のカブトムシ姿のクレスを視界に入れると「その子、分解させて!きちんと元にもどすから!」とドライバーやスパナにペンチ等をどこからか取り出し大変だった。クレスは今も俺の背に隠れフルフルと震えている。そうだ、リアは“あのアリスさん”の娘だった。機械に精通する部分が遺伝したということだ。

「それでクレス、お前の特技を教えてくれるか?」
脳裏に相棒の特技が伝わってくる。
『土魔法 Lv1』、まあ当然だろう。
『アナライズ・アイ』、分析・鑑定系の特技だ。欲しかっただけにありがたい。今までなかったからな。
『変形』、・・・何だこれ?クレスに聞いても要領を得ない。後にしよう。

「ちょっと試してみようか。クレス、『アナライズ・アイ』頼む!」
瞬間、青いサングラスのようなものが俺の顔に装着される。格好いいじゃないか。
折角だ自分を調べてみよう。

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カズヤ・トキノ(15)
種族:転生人
Lv:1 (3)
※称号技能により能力値の分析不能。

主属性:月?(断定不能)
戦闘適正:近接戦闘、剣技、二刀流、高速戦闘(他、レベルの不足により表示不可)
状態異常:封印、呪い
固有技能:精霊術創造、無刃剣、ブレイブ・フォース
    (他、レベルの不足により表示不可)
称号技能:リアの勇者、精霊に愛されし者、聖竜騎士、世界樹を守りし者、
     導き手、(伝説の勇者)
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突っ込みどころが満載だ。種族や状態異常の“封印”は分かる。今、ほとんどの精霊が休眠中だからな。属性の”月?”も色々な属性の精霊と契約しているせいだろう。だが、Lvの横の数字や“呪い”は何だ?しかも俺のLvは“1”。
称号技能も“伝説の勇者”が“リアの勇者”に上書きされているようだ。どうもLv不足で曖昧な情報が多い。土魔法を鍛えるしかないようだ。
うん?一部は詳しくみることも出来るのか。

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Lv:1 (3)→転生回数3回

固有技能:ブレイブ・フォース→魔力とは異なる勇者特有の光の力のこと。魔力との代替可。

状態異常:呪い→特定人物以外の異性と恋愛関係の構築が不可になる。運命そのものが無効となる。(浮気は駄目なんだからね!)

称号技能:リアの勇者→互いの愛情度に比例してステータス超強化。リアが危機に陥ると奇跡の発生確率、超増加。※発動時、他の勇者系スキルが封印される。
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絶句だ。称号技能は俺の意志だとしても“呪い”は・・・、「愛されている」でいいのか?
解けた謎もある。俺の感じていた魔力のようなものの正体は“ブレイブ・フォース”なるものだったのか。ようやく納得できた。
転生回数も記憶より多いような気がする。まあ別にいいか。
深く考えていると左右から抗議の声があがる。
「兄さん一人で納得してズルイ!」
「わたしも、ちょっと気になるかな?」
「すまない。俺自身を鑑定したがLv不足で結果が曖昧でな。考え込んでしまった。」
嘘は言っていない。
「あまり意味ないのかな?」
「そうでもない。“戦闘適正”の項目もあってな。自分の適性がわかるから修練の参考にはなるな。」
「ちょっと、怖いけどわたしも見てくれる。」
「わかった。うん?どうやら俺以外にも見えるように出来るみたいだ。どうする?」
「見せてほしい、かな。」
「了解だ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リア・シオウ(15)
種族:?
Lv:? (■)
※鑑定不能な状態異常により、種族、Lv、ステータス、判別不可。

主属性:聖
戦闘適正:射撃戦、精密射撃、狙撃、近接戦、高速戦闘
    (他、レベルの不足により表示不可)
状態異常:▲▲▲
固有技能:ラーニング、見切り、聖なる領域
    (他、レベルの不足により表示不可)

称号技能:勝利の女神、運命に抗いし者、勇者の正妻候補
                             ↓非表示    
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんか、称号が凄いことになってる。それに“鑑定不能な状態異常”って何?リアちゃん人間じゃないの!?種族”?”だよ。」
「わたしにもなんだか・・・。クレスちゃん、やっぱり分解して調べよう。」
「それはやめてくれ。結果が曖昧、といっただろ?けど収穫もあっただろ?」
「そうだね。うん、わたし、射撃の適正が高かったんだね。」
「リアちゃん、射撃系の魔法得意だよね!他の人よりも一度に多く撃てるし、百発百中だもね。」
「固有技能も良さそうだな。」
「この“聖なる領域”って何かな?」
「何だか凄そう。」
「わかった。詳しく見てみよう。」

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固有技能:聖なる領域→バリア系の効果増。副次効果:どんなに激しく動いてもスカートの中の下着が覗けなくなる。低確率で「魅了:極小」の効果が発生。
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「これって、聖なる領域とういうより・・・。」
「副次効果、いらない。」
むくれてしまった。
「いや、でもこれ結構凄いぞ。バリア系の効果が増えるからな!」
「そうだけど・・・。」
「兄さん、この“↓非表示”って何かな?もしかして凄い技能かも!」
「そ、そうだな!リアは凄いな!」

どうやら話を逸らすのは成功したようだ。「え~そうかなあ。」と照れている。ほっとしたのもつかの間、違和感がある。この非表示箇所、表示するのに確認が必要なようだ。どれだけ重要な技能なんだ。

「リア!その非表示を見るのに『開いても良いですか?』って出るんだがどうする?止めておくか?」
「ううん。自分のことはきちんと知って備えたいから、お願い!」
「わかった。」
「「「?」」」
「あれ?何も出ないね?」
「いや、俺にしか見ることができないらしい。それにしても、この能力は俺にもさっぱり見当がつかない。」
「「どんな?」」
「ああ、BとWとHがあって、その横に数字があるんだ。Bの横の数字の隣には更に()で何か書いてあるな・・・。」
「「えっ、それ・・・」」
「ええとな、Bがはち・・・、」
「だっ、だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

俺が言いきる前に壮絶な悲鳴により遮られてしまった。リアは恥ずかしそうに自らを抱き瞳を潤ませながら俺を睨む始末。ヒカリはなにやらブツブツ言いながら変なオーラを出している。

「なあ、このBとかって一体・・・。」

バチーーーン!という音ともに彼女の右手が俺に炸裂、頬には真っ赤な紅葉が刻まれた。

「それ以上言ったら叩くからね!」
「いやもう叩いて・・・。」
「何!」

俺はもう何も言えなくなり正座をして説教を受けることとなった。クレスにも話して、あの非表示箇所は分析しないように調整してもらった。彼女の命令で。
俺が反省している間、変なオーラを出した妹がリアの背後から肩を叩き「リアちゃんは・・・以上あるんだ。」と恨めしそうに呟いたのを耳にしたが聞かなかったことにした。恐らく俺からその件に触れると絶交されるような予感がしたからだ。
彼女の機嫌を取り戻すのに苦労したが明日、買い物に付き合い何かプレゼントすることで手を打った。

明日は間違いのないようにしたいところだ。







































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