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第5.5章 双剣の喧嘩勃発
第三十三話 ザギルVSオーツ!2体のガチ喧嘩
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ショウ達は必要なものを揃える為、「貿易都市 トレース」に寄っていた。
「さてと、俺とオーツは剣を研ぎに行ってくる。」
「あぁ、1週間後には出るぞ。」
「儂は服を新調してよいか?」
「私も魔法薬を買いに行っていいですか?」
「えぇ、今は羽を休めましょう。」
と各々の行動をショウに言って、その場で分かれた。
メルトとショウは、特に用事がないのでトレースをうろついていた。
「この都市は結構盛んなんだな。」
「あぁ、魔物線で見たことがない食材や物品があるな。」
「それに…」
ショウは、噴水のある場所を見た。そこには、傷だらけの獣人が堂々と立っていた。その近くに看板が立っており、「参加費:7銀貨 賞金:3金貨」と書かれていた。
「路上戦闘をしているやつが沢山いるな。」
「あそこの他に、通った道に少なくとも10ぐらいはあったな。」
「ひと勝負やって行くか?」
とショウが言うと、
「ひと勝負でいいのか?折角だから、全員倒そうぜ。」
とニヤつきながら言った。ショウは、顎に手を当てて、
「それはいいな。良いリハビリになりそうだ。」
と合意した。
「じゃあ俺は、あのどデカいゴブリンからやるか。」
「じゃあ僕は、あの獣人から行くか。」
と指さした。その獣人は、2つの角に全身が毛で覆われており、雷がところどころ発生していた。
「へぇ~良い目してるじゃねぇか。あれは、獣人の中で『妖獣族』よりも強い『神獣族』だ。」
「それは良い選択をした。」
と二人は肩を鳴らしながら、各々対戦を申し込んだ。
レンカはアルキと一緒に買物をしていた。
「ありがとう、レンカ。服を選んでもらって、おかげで良いものが手に入った。」
と新しい道着寄りの着物を着ていた。
「いいよ、いいよ。やっぱりアルキくんは、そういう服が似合うよ。」
「ふん、ありがたく受け取るよ。それより、魔法薬が売ってあるのはこのエリアか?あまり魔法薬も魔物も見当たらんが?」
とこの都市の地図を見ながら言った。レンカは、
「う~ん、ここで間違いないみたいだけど…あっ!」
と老いたウッドマンを見つけた。
「すみませーん。魔法薬を売ってる場所は、ここで合ってるんですよね?」
「えぇ…けど、最近なかなか入ってこなくてね。」
「え?どういうことですか?詳しく教えてください。」
と真剣な表情で言った。
「正確には、入ってるんだけど…こちらにまで回ってこないのよ。」
「それはどうしてですか?」
「最近できたあのドームで、毎日のように殺し合いが起こってるの。だから、どんなに良い魔法薬を入荷しても、全て持っていかれる。」
「だからって、『全て』はおかしいんじゃないのか?他にも理由はありそうじゃな。」
とアルキが間に入って言った。アルキは、ドームを見ながら、
「それに、ここからでも異様な気配がするのがわかる。」
と呟いた。すると、アルキとレンカのいる所から近くで、
バンッ
と巨大な爆発が起きた。
「な、何!」
「何が起こっとるんじゃ!」
「ん?この気配は…はぁ~あのバカとアイツまで!」
とアルキは、爆発のした方へ走って行った。レンカは、
「どうしたの?私も一緒に行くよ。」
「いや、大丈夫じゃ!ただの喧嘩っぽいからな!」
と足を速めて向かった。
時を遡ること数時間前、ザギルとオーツ
は鍛冶師のところを訪ねていた。
「すみませーん。誰かいらっしゃいますか。」
「はぁ~おや、お客さんか?儂は、鍛冶師のガンカツじゃ。」
「はい、俺達の剣を研いで欲しくて来ました。」
とザギルとオーツの剣を見せた。
「なるほど、大分刃こぼれをしているが、良い剣士の様だな。それに簡単な手入れは、毎日しているのがよく分かる。」
「見ただけでわかるのか?」
「まぁ、長くやっているからな。最近では、斧や銃ばかりでつまらんかったが、久方振りの剣とは腕がなるわい。」
「ふ~ん、じゃあ俺の剣は?」
と言われ、ガンカツはオーツの剣を見た。
「これは、相当酷い使われ方をしているな。お主、『研磨』のスキルを何度か使ったな?」
「なんで知ってんだよ。剣を見ただけで」
「『研磨』は確かに一時的に真剣同様に使える。じゃが、その反動は倍になって返ってくる。じゃから、刃こぼれがコチラよりも酷い。それに手入れもまともにしておらんかったじゃろ?」
「うっ…!痛い所をついてくる。」
とガンカツに痛い所をオーツはつかれた。ガンカツはため息をつき、
「まぁ、今後はちゃんと簡単な手入れは怠らんようにな。それとお前さん方に手入れの仕方を教えといてやろう。」
と言いガンカツは、剣を自身の作業部屋へと持って行った。そして、
「明日から教えるから、朝にはここに来るんじゃよ。」
と言って作業部屋へと消えて行った。消えたのを確認し、ザギルとオーツはその場から去っていった。オーツは、
「はぁ~何だよ、あのジジイ。偉そうに言いやがって」
と愚痴をこぼした。ザギルは、
「仕方ないだろ。お前の扱いが雑なのは事実なのだから。」
と釘をさした。
「あぁ~ん!褒められたからって調子に乗んなよ、ザギル!」
「そういう短気な所も直したほうがいいぞ。実践で足をすくわれるぞ。」
「ケッ!テメェこそ、ショウにただ媚びってるだけの獣の癖によ。格上だと威張んなよ!」
「何だと、この脳筋が!そこまで言うなら今ここで分からせてやる!」
「上等だ!」
と言うと2人が消えた。しかし、また2人が現れ爆発した。
「固有スキル:狂乱化 顔面痕」
「魔眼 覚醒」
「ガァァァ!」
「オッラァァァ!」
と互いに拳を交え、その場で互いの型に構え、
「理抗の型:瘧終」
「月光の型:劉観月 立待」
と双方強力な技を使った。そして、ザギルは距離を取り、
「魔眼:覚醒 夢幻」
「ガァッ!」
「タァァァ!」
「グルルルッ!」
「ぐっ…!一瞬しかかからなかったか!」
「理抗の型:転変肖 六臓」
「ぐぁっ!」
と互いに一歩も譲らぬ闘いをしていた。いつの間にか周りには魔物がたくさんおり、
「もっとやっちまぇ!」
「人間!そいつを倒せ!」
「獣人も!もっと本気を出して、そいつをぶっ倒せ!」
「いいぞ!もっと暴れろ!」
と野次馬がすごかった。ザギルとオーツには、全くそんな声は届かず、
「月光の型:劉観月 震閊」
「ガァァァ!」
とオーツは避けるが、ザギルは読んでいたとばかりに飛んで、
「月光の型:劉観月 魅刈」
とオーツに触れて、自身の氣を走らせた。するとオーツの身体に亀裂ができ、地面に叩きつけられた。ザギルは地面に着地すると、
「理抗の型:帝洸」
とオーツは右腕に氣を集中させ、ザギルの心臓部に狙いを定め攻撃を仕掛けた。ザギルは、
「月光の型:居待」
と二人の技がぶつかる前に、
「マイテリトリー」
とアルキが間に入り、2体が足を踏み入れると、
「鳴犖」
と目にも見えぬ早業で2体を地面に叩きつけた。そして2体は気絶をした。アルキは、
「騒がせてすまんかったな。では、失礼する。」
と一礼してその場を去った。
アルキは2体を担いで、
「ここなら大丈夫だな。」
と人気のない路地に入り、2体をその場で投げ捨てた。
「痛ってぇ~~」
「凄く効いたぞ、アルキ」
「お主等一体何をしちょるんじゃ。」
「だって、このバカが!」
「だって、このポンコツが!!」
と互いに指差して言った。アルキはため息をつき、
「はぁ~…どっちもどっちじゃ。」
と呆れていた。すると、
「随分と暴れたようだな。ザギル、オーツ」
「珍しいことがあるもんだ。」
と傷だらけだが沢山の麻袋を持っているショウとメルトがいた。
「随分稼いだようだな。」
「あぁ、しばらく金銭面は問題なさそうだ。」
「だが、手酷くやられたよ。スゲェ強かったからな。」
「そうそう、1体1体が只者じゃなかった。」
とショウとメルトは楽しそうに話した。ショウは、
「それでこっちはどうしたんですか?」
とアルキに聞いた。アルキは、
「はぁ~…それはな…」
と呆れた表情で言おうとした所、
「このカタブツ剣士が!」
「この大バカ戦闘狂が!」
「「喧嘩ふっかけてきやがったからだ!!あぁ~ん!」」
とザギルとオーツは、声を揃えて言った。
「まぁ、この調子だ。ショウどうする?」
「どうとは?」
「このバカ共の処罰だよ。長としてどう処罰するんだよ。」
とアルキはショウに言った。ショウは、ザギルとオーツに近づき、
「ザギル、オーツ」
「「何だ!」」
「お前ら、勇者一行と闘う気はまだあるか?」
とザギルとオーツに聞いた。ザギルとオーツは、
「これが闘う気がないように見えるか?あるに決まってんだろ!」
「俺は強いやつと闘うのが目的なんだ!笑わすな、ショウ!」
と元気が有り余ってる様子で答えた。それを聞いてショウは、
「なら問題ない。処罰する必要はない。」
と言った。アルキは驚いた表情で、
「いいのか?このままでは、旅に影響するかもしれんのだぞ!」
と言った。しかしショウは、
「目的は勇者一行への復讐。それ以外にない。降りたいやつはその場で降りればいい。アルキさん、違うか?」
と冷静な表情で言った。
「ふぅ~…確かにそうじゃな。利害一致でなっとる儂らに、仲間意識なんていらんかったな。」
「その通り。さてと行くぞ、メルト」
「そうだな」
とショウは、メルトを連れてその場を去ろうとした。アルキは、
「どこ行くんじゃ?宿は真逆じゃろ。」
とショウを止めた。
「はい、知ってます。ザギルとオーツの事は頼みます。」
「いやいや、ちょっと待てよ。何勝手に決めてんじゃい!儂は嫌じゃぞ!」
「あぁ、喧嘩はさせっぱなしでも大丈夫です。ただ、またデカい騒ぎを起こさせなかったらいいです。じゃ!」
とショウとメルトは去った。残されたアルキは、
「しょうがないの~取り敢えず…」
「「グゥゥゥゥ!!」」
「このダイヤモンド頭が!」
「何だと!この脳筋!」
『もう一発ずつ殴って、眠らせとくか。その後は、鎖を使って縛っておくか。』
と喧嘩してる2体をゲンコツで気絶させて、鎖で縛ったまま宿へと帰った。
「チッ…なぜ儂がこのバカタレ共の子守をせないかんのじゃ。」
と愚痴をこぼしながら言った。
一方ショウとメルトは、レンカと合流していた。
「申し訳ありません。闘っていた真っ最中に…」
「いえ、大したことありませんよ。それで、要件はなんですか?」
とショウは淡々と話していた。
ザギルとオーツが喧嘩をおっぱじめるのとほぼ同時に、ショウは神獣族の男の前に立ち、
「君が俺の相手をしてくれるのか?」
「それ以外に用なんて、あるわけないじゃないですか。」
「来い!」
と構えた。ショウも同じく構えを取った。
「月光の型:気変月 無下兜」
とその場で蜃気楼が起き、ショウが揺れて見えた。神獣族の男は、雷を強めて、
「フンッ!」
と蹴りをいれるとショウは消え、
「こっちです。ハァァァァッ!」
と拳を連続で叩きつけた。しかし神獣族の男は、
「これがお前の全力か?かゆいな、お前の拳は!」
と先程よりも早い蹴りをいれた。ショウは、避けようとせずガードした。
「グッ!凄い蹴りですね。」
『なぜ避けようとせんかったんだ?』
「今度はこっちの番です。」
とガードを解いて、神獣族の男に向かって行った。
「特殊スキル:獣魂開放」
と唱えると神獣族の男は、先程より雷が強くなり筋肉が圧縮された。そしてショウの前から消え、
「蒼雷の極玉砕」
ショウの周りでラッシュを決めた。一撃一撃ショウの身体に響いた。しかしショウは、軽い体捌きで途中から攻撃全てを避け、
「月光の型:劉観月 立待」
「グッ!なんという奴だ。この速さを見切れるというのか!」
「月光の型:隠月 朔」
「月光の型:劉観月 魅刈」
「あなたも『月光の型』を使えるんですね。」
「こちらこそ、対等に殺り合える相手は何十年ぶりだ。」
と互いに距離を取った。すると、ショウにテレパシーが飛んできた。
「どうしましたか、レンカさん。」
『ショウ様に会って、話したい事がありまして、合流できないかと。』
「わかりました。すぐに…」
「戦闘中に念話とは、随分と余裕だな!」
と後ろから攻撃を仕掛けられたが、ショウは攻撃を避け、
『ショウ様、大丈夫ですか?』
「問題ありません。では、路上戦闘を終わらせたら、すぐに合流しましょう。」
『はい、ありがとうございます。』
とテレパシーを簡潔に済ませ、
「貴方との闘いは、もう終わらせましょう。」
「そんな事できる理由がないだろう。」
「できますよ。貴方との対戦は、あくまでリハビリですから。」
「舐めるな!!」
と攻撃を仕掛けてきた。ショウは、型を変えて構え、
「終の拳:楽胴牙」
と「終の拳」で勝負をつけた。神獣族の男は、その場で気絶し倒れた。周りには神獣族の男が、真っ二つに食い千切られた様に見えたらしい。そこからショウは、路上戦闘を連戦して体の感覚を取り戻し、賞金を荒稼ぎした。
そうして今に至る。
「それでなぜ俺も?」
「まぁついでだ。それに向こうの方に居たいか?」
「確かにまだこっちの方がマシだな。」
とメルトは腕を組み、話を聞く態勢になった。レンカは2体を見て、
「ではお話します。今このトレースで、あるギルドが牛耳っているみたいです。」
と真剣な表情で話し始めた。
「ギルド?何故『人間の集団』がこんな所を牛耳ってんだ?」
「それは、魔物線にある薬草を使い、高値で取引する為でしょう。」
「ふ~ん、なるほど。確かにここに着くまでにいくつかヤバい薬草はあったな。そいつ等がここを拠点にしたいのも納得だ。」
「ヤバい薬草?」
「そうです。この世の中には、薬品同士をかけ合わせて魔物と人間の身体を毒すものがあるんです。」
「知ってますよ。昔、ブレイさんからその筋の勉強させられてましたから。」
「『狂涯』…!どんな薬でも治すことも、リハビリしても治らない、生まれてはいけなかった存在!」
と力を込めて言った。それを見てショウは、
「それで、どうしたいんですか?僕らは正義の味方でも、この都市に義理がある訳でもない。」
レンカに容赦無く圧を掛けて、
「悪いがレンカさん。僕からしたら、どうでもいい奴らが何に毒されていようが、人生狂わされようが関係ない。違いますか?」
と冷酷な事を言った。メルトも後に続き、
「俺もショウの言う通りだと思う。結果手を染めた野郎どもが悪い。そんな奴らの人生なんざ、俺たちの旅には関係ねぇな。」
と言った。それに対してレンカは、
「確かに仰る通りです。ショウ様、手を出した者が悪い。けど、無害な魔物が犠牲となった事例は数多くあります。それに、酷な事を言わせていただきますが…」
と言葉に詰まらせながら、
「ソフィア様とそのご友人も、その被験者なのです…!それを撲滅しようとソフィア様と約束したのです!ショウ様!」
と拳を強く握りしめて叫んだ。ショウは、
「な…なんだと!母さんが、『狂涯の被験者』だと…!」
と怒りを込めて叫んだ。
「さてと、俺とオーツは剣を研ぎに行ってくる。」
「あぁ、1週間後には出るぞ。」
「儂は服を新調してよいか?」
「私も魔法薬を買いに行っていいですか?」
「えぇ、今は羽を休めましょう。」
と各々の行動をショウに言って、その場で分かれた。
メルトとショウは、特に用事がないのでトレースをうろついていた。
「この都市は結構盛んなんだな。」
「あぁ、魔物線で見たことがない食材や物品があるな。」
「それに…」
ショウは、噴水のある場所を見た。そこには、傷だらけの獣人が堂々と立っていた。その近くに看板が立っており、「参加費:7銀貨 賞金:3金貨」と書かれていた。
「路上戦闘をしているやつが沢山いるな。」
「あそこの他に、通った道に少なくとも10ぐらいはあったな。」
「ひと勝負やって行くか?」
とショウが言うと、
「ひと勝負でいいのか?折角だから、全員倒そうぜ。」
とニヤつきながら言った。ショウは、顎に手を当てて、
「それはいいな。良いリハビリになりそうだ。」
と合意した。
「じゃあ俺は、あのどデカいゴブリンからやるか。」
「じゃあ僕は、あの獣人から行くか。」
と指さした。その獣人は、2つの角に全身が毛で覆われており、雷がところどころ発生していた。
「へぇ~良い目してるじゃねぇか。あれは、獣人の中で『妖獣族』よりも強い『神獣族』だ。」
「それは良い選択をした。」
と二人は肩を鳴らしながら、各々対戦を申し込んだ。
レンカはアルキと一緒に買物をしていた。
「ありがとう、レンカ。服を選んでもらって、おかげで良いものが手に入った。」
と新しい道着寄りの着物を着ていた。
「いいよ、いいよ。やっぱりアルキくんは、そういう服が似合うよ。」
「ふん、ありがたく受け取るよ。それより、魔法薬が売ってあるのはこのエリアか?あまり魔法薬も魔物も見当たらんが?」
とこの都市の地図を見ながら言った。レンカは、
「う~ん、ここで間違いないみたいだけど…あっ!」
と老いたウッドマンを見つけた。
「すみませーん。魔法薬を売ってる場所は、ここで合ってるんですよね?」
「えぇ…けど、最近なかなか入ってこなくてね。」
「え?どういうことですか?詳しく教えてください。」
と真剣な表情で言った。
「正確には、入ってるんだけど…こちらにまで回ってこないのよ。」
「それはどうしてですか?」
「最近できたあのドームで、毎日のように殺し合いが起こってるの。だから、どんなに良い魔法薬を入荷しても、全て持っていかれる。」
「だからって、『全て』はおかしいんじゃないのか?他にも理由はありそうじゃな。」
とアルキが間に入って言った。アルキは、ドームを見ながら、
「それに、ここからでも異様な気配がするのがわかる。」
と呟いた。すると、アルキとレンカのいる所から近くで、
バンッ
と巨大な爆発が起きた。
「な、何!」
「何が起こっとるんじゃ!」
「ん?この気配は…はぁ~あのバカとアイツまで!」
とアルキは、爆発のした方へ走って行った。レンカは、
「どうしたの?私も一緒に行くよ。」
「いや、大丈夫じゃ!ただの喧嘩っぽいからな!」
と足を速めて向かった。
時を遡ること数時間前、ザギルとオーツ
は鍛冶師のところを訪ねていた。
「すみませーん。誰かいらっしゃいますか。」
「はぁ~おや、お客さんか?儂は、鍛冶師のガンカツじゃ。」
「はい、俺達の剣を研いで欲しくて来ました。」
とザギルとオーツの剣を見せた。
「なるほど、大分刃こぼれをしているが、良い剣士の様だな。それに簡単な手入れは、毎日しているのがよく分かる。」
「見ただけでわかるのか?」
「まぁ、長くやっているからな。最近では、斧や銃ばかりでつまらんかったが、久方振りの剣とは腕がなるわい。」
「ふ~ん、じゃあ俺の剣は?」
と言われ、ガンカツはオーツの剣を見た。
「これは、相当酷い使われ方をしているな。お主、『研磨』のスキルを何度か使ったな?」
「なんで知ってんだよ。剣を見ただけで」
「『研磨』は確かに一時的に真剣同様に使える。じゃが、その反動は倍になって返ってくる。じゃから、刃こぼれがコチラよりも酷い。それに手入れもまともにしておらんかったじゃろ?」
「うっ…!痛い所をついてくる。」
とガンカツに痛い所をオーツはつかれた。ガンカツはため息をつき、
「まぁ、今後はちゃんと簡単な手入れは怠らんようにな。それとお前さん方に手入れの仕方を教えといてやろう。」
と言いガンカツは、剣を自身の作業部屋へと持って行った。そして、
「明日から教えるから、朝にはここに来るんじゃよ。」
と言って作業部屋へと消えて行った。消えたのを確認し、ザギルとオーツはその場から去っていった。オーツは、
「はぁ~何だよ、あのジジイ。偉そうに言いやがって」
と愚痴をこぼした。ザギルは、
「仕方ないだろ。お前の扱いが雑なのは事実なのだから。」
と釘をさした。
「あぁ~ん!褒められたからって調子に乗んなよ、ザギル!」
「そういう短気な所も直したほうがいいぞ。実践で足をすくわれるぞ。」
「ケッ!テメェこそ、ショウにただ媚びってるだけの獣の癖によ。格上だと威張んなよ!」
「何だと、この脳筋が!そこまで言うなら今ここで分からせてやる!」
「上等だ!」
と言うと2人が消えた。しかし、また2人が現れ爆発した。
「固有スキル:狂乱化 顔面痕」
「魔眼 覚醒」
「ガァァァ!」
「オッラァァァ!」
と互いに拳を交え、その場で互いの型に構え、
「理抗の型:瘧終」
「月光の型:劉観月 立待」
と双方強力な技を使った。そして、ザギルは距離を取り、
「魔眼:覚醒 夢幻」
「ガァッ!」
「タァァァ!」
「グルルルッ!」
「ぐっ…!一瞬しかかからなかったか!」
「理抗の型:転変肖 六臓」
「ぐぁっ!」
と互いに一歩も譲らぬ闘いをしていた。いつの間にか周りには魔物がたくさんおり、
「もっとやっちまぇ!」
「人間!そいつを倒せ!」
「獣人も!もっと本気を出して、そいつをぶっ倒せ!」
「いいぞ!もっと暴れろ!」
と野次馬がすごかった。ザギルとオーツには、全くそんな声は届かず、
「月光の型:劉観月 震閊」
「ガァァァ!」
とオーツは避けるが、ザギルは読んでいたとばかりに飛んで、
「月光の型:劉観月 魅刈」
とオーツに触れて、自身の氣を走らせた。するとオーツの身体に亀裂ができ、地面に叩きつけられた。ザギルは地面に着地すると、
「理抗の型:帝洸」
とオーツは右腕に氣を集中させ、ザギルの心臓部に狙いを定め攻撃を仕掛けた。ザギルは、
「月光の型:居待」
と二人の技がぶつかる前に、
「マイテリトリー」
とアルキが間に入り、2体が足を踏み入れると、
「鳴犖」
と目にも見えぬ早業で2体を地面に叩きつけた。そして2体は気絶をした。アルキは、
「騒がせてすまんかったな。では、失礼する。」
と一礼してその場を去った。
アルキは2体を担いで、
「ここなら大丈夫だな。」
と人気のない路地に入り、2体をその場で投げ捨てた。
「痛ってぇ~~」
「凄く効いたぞ、アルキ」
「お主等一体何をしちょるんじゃ。」
「だって、このバカが!」
「だって、このポンコツが!!」
と互いに指差して言った。アルキはため息をつき、
「はぁ~…どっちもどっちじゃ。」
と呆れていた。すると、
「随分と暴れたようだな。ザギル、オーツ」
「珍しいことがあるもんだ。」
と傷だらけだが沢山の麻袋を持っているショウとメルトがいた。
「随分稼いだようだな。」
「あぁ、しばらく金銭面は問題なさそうだ。」
「だが、手酷くやられたよ。スゲェ強かったからな。」
「そうそう、1体1体が只者じゃなかった。」
とショウとメルトは楽しそうに話した。ショウは、
「それでこっちはどうしたんですか?」
とアルキに聞いた。アルキは、
「はぁ~…それはな…」
と呆れた表情で言おうとした所、
「このカタブツ剣士が!」
「この大バカ戦闘狂が!」
「「喧嘩ふっかけてきやがったからだ!!あぁ~ん!」」
とザギルとオーツは、声を揃えて言った。
「まぁ、この調子だ。ショウどうする?」
「どうとは?」
「このバカ共の処罰だよ。長としてどう処罰するんだよ。」
とアルキはショウに言った。ショウは、ザギルとオーツに近づき、
「ザギル、オーツ」
「「何だ!」」
「お前ら、勇者一行と闘う気はまだあるか?」
とザギルとオーツに聞いた。ザギルとオーツは、
「これが闘う気がないように見えるか?あるに決まってんだろ!」
「俺は強いやつと闘うのが目的なんだ!笑わすな、ショウ!」
と元気が有り余ってる様子で答えた。それを聞いてショウは、
「なら問題ない。処罰する必要はない。」
と言った。アルキは驚いた表情で、
「いいのか?このままでは、旅に影響するかもしれんのだぞ!」
と言った。しかしショウは、
「目的は勇者一行への復讐。それ以外にない。降りたいやつはその場で降りればいい。アルキさん、違うか?」
と冷静な表情で言った。
「ふぅ~…確かにそうじゃな。利害一致でなっとる儂らに、仲間意識なんていらんかったな。」
「その通り。さてと行くぞ、メルト」
「そうだな」
とショウは、メルトを連れてその場を去ろうとした。アルキは、
「どこ行くんじゃ?宿は真逆じゃろ。」
とショウを止めた。
「はい、知ってます。ザギルとオーツの事は頼みます。」
「いやいや、ちょっと待てよ。何勝手に決めてんじゃい!儂は嫌じゃぞ!」
「あぁ、喧嘩はさせっぱなしでも大丈夫です。ただ、またデカい騒ぎを起こさせなかったらいいです。じゃ!」
とショウとメルトは去った。残されたアルキは、
「しょうがないの~取り敢えず…」
「「グゥゥゥゥ!!」」
「このダイヤモンド頭が!」
「何だと!この脳筋!」
『もう一発ずつ殴って、眠らせとくか。その後は、鎖を使って縛っておくか。』
と喧嘩してる2体をゲンコツで気絶させて、鎖で縛ったまま宿へと帰った。
「チッ…なぜ儂がこのバカタレ共の子守をせないかんのじゃ。」
と愚痴をこぼしながら言った。
一方ショウとメルトは、レンカと合流していた。
「申し訳ありません。闘っていた真っ最中に…」
「いえ、大したことありませんよ。それで、要件はなんですか?」
とショウは淡々と話していた。
ザギルとオーツが喧嘩をおっぱじめるのとほぼ同時に、ショウは神獣族の男の前に立ち、
「君が俺の相手をしてくれるのか?」
「それ以外に用なんて、あるわけないじゃないですか。」
「来い!」
と構えた。ショウも同じく構えを取った。
「月光の型:気変月 無下兜」
とその場で蜃気楼が起き、ショウが揺れて見えた。神獣族の男は、雷を強めて、
「フンッ!」
と蹴りをいれるとショウは消え、
「こっちです。ハァァァァッ!」
と拳を連続で叩きつけた。しかし神獣族の男は、
「これがお前の全力か?かゆいな、お前の拳は!」
と先程よりも早い蹴りをいれた。ショウは、避けようとせずガードした。
「グッ!凄い蹴りですね。」
『なぜ避けようとせんかったんだ?』
「今度はこっちの番です。」
とガードを解いて、神獣族の男に向かって行った。
「特殊スキル:獣魂開放」
と唱えると神獣族の男は、先程より雷が強くなり筋肉が圧縮された。そしてショウの前から消え、
「蒼雷の極玉砕」
ショウの周りでラッシュを決めた。一撃一撃ショウの身体に響いた。しかしショウは、軽い体捌きで途中から攻撃全てを避け、
「月光の型:劉観月 立待」
「グッ!なんという奴だ。この速さを見切れるというのか!」
「月光の型:隠月 朔」
「月光の型:劉観月 魅刈」
「あなたも『月光の型』を使えるんですね。」
「こちらこそ、対等に殺り合える相手は何十年ぶりだ。」
と互いに距離を取った。すると、ショウにテレパシーが飛んできた。
「どうしましたか、レンカさん。」
『ショウ様に会って、話したい事がありまして、合流できないかと。』
「わかりました。すぐに…」
「戦闘中に念話とは、随分と余裕だな!」
と後ろから攻撃を仕掛けられたが、ショウは攻撃を避け、
『ショウ様、大丈夫ですか?』
「問題ありません。では、路上戦闘を終わらせたら、すぐに合流しましょう。」
『はい、ありがとうございます。』
とテレパシーを簡潔に済ませ、
「貴方との闘いは、もう終わらせましょう。」
「そんな事できる理由がないだろう。」
「できますよ。貴方との対戦は、あくまでリハビリですから。」
「舐めるな!!」
と攻撃を仕掛けてきた。ショウは、型を変えて構え、
「終の拳:楽胴牙」
と「終の拳」で勝負をつけた。神獣族の男は、その場で気絶し倒れた。周りには神獣族の男が、真っ二つに食い千切られた様に見えたらしい。そこからショウは、路上戦闘を連戦して体の感覚を取り戻し、賞金を荒稼ぎした。
そうして今に至る。
「それでなぜ俺も?」
「まぁついでだ。それに向こうの方に居たいか?」
「確かにまだこっちの方がマシだな。」
とメルトは腕を組み、話を聞く態勢になった。レンカは2体を見て、
「ではお話します。今このトレースで、あるギルドが牛耳っているみたいです。」
と真剣な表情で話し始めた。
「ギルド?何故『人間の集団』がこんな所を牛耳ってんだ?」
「それは、魔物線にある薬草を使い、高値で取引する為でしょう。」
「ふ~ん、なるほど。確かにここに着くまでにいくつかヤバい薬草はあったな。そいつ等がここを拠点にしたいのも納得だ。」
「ヤバい薬草?」
「そうです。この世の中には、薬品同士をかけ合わせて魔物と人間の身体を毒すものがあるんです。」
「知ってますよ。昔、ブレイさんからその筋の勉強させられてましたから。」
「『狂涯』…!どんな薬でも治すことも、リハビリしても治らない、生まれてはいけなかった存在!」
と力を込めて言った。それを見てショウは、
「それで、どうしたいんですか?僕らは正義の味方でも、この都市に義理がある訳でもない。」
レンカに容赦無く圧を掛けて、
「悪いがレンカさん。僕からしたら、どうでもいい奴らが何に毒されていようが、人生狂わされようが関係ない。違いますか?」
と冷酷な事を言った。メルトも後に続き、
「俺もショウの言う通りだと思う。結果手を染めた野郎どもが悪い。そんな奴らの人生なんざ、俺たちの旅には関係ねぇな。」
と言った。それに対してレンカは、
「確かに仰る通りです。ショウ様、手を出した者が悪い。けど、無害な魔物が犠牲となった事例は数多くあります。それに、酷な事を言わせていただきますが…」
と言葉に詰まらせながら、
「ソフィア様とそのご友人も、その被験者なのです…!それを撲滅しようとソフィア様と約束したのです!ショウ様!」
と拳を強く握りしめて叫んだ。ショウは、
「な…なんだと!母さんが、『狂涯の被験者』だと…!」
と怒りを込めて叫んだ。
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