狂い咲き

necropsy

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狂い咲き51

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 彼の愛撫に堪える私はついに果てた。


「隼人」


 こんどは違った形で私を追い詰めて欲しい。


 私は背伸びをすると彼の首に手をまわした。


 彼とくちびるを重ねあわせる。彼は私を壁に力強く押し当てると私の両脚を抱きかかえた。




 貫いていく彼の逞しさに私は慟哭の化身へと変貌させられていく。


 私のなかでふつふつと眠っていたすべてが満たされていく。


 ずっと考えないでいようとしたことですら、すべてが引きずりだされていった。


 私は彼の耳元で囁くように兄を探して欲しいと兄の名前を彼に言った。


 月明かりに揺れる大きな影、


 不安すべてを闇に投げ捨てて私は乱れ狂う。


 彷徨い続ける先にあるのは、これからの未来。


 彼と見た木漏れ日が降る雪の中に、自らが歩みべき道のりにビューグルの音色が聞こえた気がした。


 天使が奏でるビューグルの音色に葬られた者達が再び復活を果たす。


 ヨハネの黙示録。


 最後の審判。




 なにを選んでも平々凡々とした人生もあれば、すべてが裏目にでるような人生だってある。不確かななにかが私の中にメッセージを残していった。


 まるで彼を私に託すような愛しむすべてがある。


 どこか不公平に思えていたすべての帳尻ともいえるかも知れない。


「玲子」


 ぼんやりとする私に彼が不安げな表情を見せた。


 月明かりが太陽のように眩しく感じられる。


 くすっと笑った私に彼が困惑した表情を見せる。


 上手くいかない人生だってある。



 不思議な囁きが聞こえた気がした。




 彼と過ごす時間が、まるで時が遡っていくような懐かしさだけがある。


 私はベッドに身体を横たえた。彼のくちびるが頬に触れる。


「喉が渇いただろう?」


 サイドテーブルに並べられた二つのグラス。


「玲子?」


 軽く乾いた喉を私は潤す。


 男性の一番敏感な先端を焦らすだけじらすと「ちゅっ」と強く吸ってあげる。


 ペニスの形状をくすぐるようになぞり。舌先で男性の一番感じるところも入念なほどに、舌先でくすぐっていく。


 強く含むと、さらに舌先でくすぐっていった。


 悪戯に彼と戯れていると、忘れていたことを思い出してしまう。


 安らぎのなかにある不安。
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