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「うん、あたしも見過ごすのは性に合わないかな」
レナもユウトに合わせて賛同する。
「オイラもやるっス!」
「ユウトさんがやるというならボクも手伝います。ただ、レナの脚の傷はあまりよくないです。無理はさせないであげてください」
ラトムとセブルの意志はユウトにしか届かないものの、甲高い鳴き声と低い呻り声で答えた。
「よし、やろう。
カーレン、魔導士としての立場はわかっているけど、今使える能力を教えてもらってもいいか?」
「はい。そのつもりです。簡単に言えば魔獣の身体を貼り付けにできます。完璧な固定化は難しいですけど。摘まんで引っ張る感じでしょうか」
そう言いながらカーレンはマントをはぐると鉤のような返しを持った短い短剣をいくつも取り出す。
「ユウトさん!オイラしばらくコイツを見てましたけど体内の魔力の動きに肩よりがあるっス。たぶん魔力の濃いところに核がありそうなのでそこに目印を当てるっス!」
ラトムがそう言うと波打つ魔獣の身体に強い光の点を当てられる。
「助かる。よろしく頼むよラトム」
ユウトは一呼吸、思案を巡らせると覚悟を決めるように息を吐いた。
「即席の作戦になるけど聞いてくれ。
まず前衛をオレが務める。光魔剣の最高出力で魔獣本体へ傷を負わせる。
次に後衛にカーレン。オレが切って開いたそばから部分を固定して欲しい。
それを繰り返して魔獣の身体を開き、核を露出させる。
そしてレナが中衛だ。核が露出したらすぐに魔槍の突きを放って破壊してもらう。核が露出する一瞬のために準備をして待機してくれ。出来るか?」
ユウトは態勢をそのままにレナに視線だけを向けて尋ねる。
「うん・・・情けないけど少し、難しい。準備態勢を取りながら回避するには脚が良くない」
レナは一瞬だけ険しい表情をしてからユウトに視線を返して返答した。
「わかった。レナの支援をセブルにやってもらう。今のセブルならレナの脚としても準備態勢を守る盾にもなれるはずだ」
「やれます。任せてください」
セブルは頷きながらユウトを見て答える。
「頼んだよ、セブル」
レナもセブルへ声を掛けた。
セブルは直ちに動いてレナの股の下に滑り込み身体に固定させるとレナをぐんと一段高く持ち上げる。レナは身体の安定感を確認してから「問題ない、やれそうだ」とユウトへ伝えた。
「カーレン、準備はいいか?」
「いつでも行けます!」
ユウトの問いに力強くカーレンは答える。とりだした何本もの短剣を上空に投げるとその全ての短剣は魔物の方を向いて制止した。
「行くぞ!オレに続けっ!」
ぐっとユウトは屈むと掛け声とともに破裂音がなって瞬時に跳び出す。地を這うように極低空を跳ねるとすでにユウトの身体は魔獣の懐だった。
魔獣は反応できないままにユウトの初太刀が身体をえぐる。弾けるように魔獣の身体の一部は赤橙に輝く断面を晒して割れた。
そして弾けた形から元に戻ろうとした傷は何かに引っ張られ、塞ぐことができない。魔獣の身体に刺さったカーレンのナイフが元の形にもどろうとするのを物理的に阻害している。短剣の柄頭にはめられた石がほのかに輝きを放っていた。
魔獣の身体はのたうち回るように全身をよじらせる。すると全身から細いムチのようなものが吹き出しそれぞれがしなって暴れ出した。
ユウトは小さく動いてかわしながらラトムが示す核の方へと斬り進んでいく。その少し後方に控えるセブルも叩きつけらるムチの先をかわしつつレナの態勢に気を使っていた。
レナはすぐそばを通り過ぎるいくつものムチに気を取られることなく一瞬の好機を狙っている。最善の突き放つため切り開かれる魔獣の身体一点に集中していた。それは時にセブルがよけきれない一撃がレナに向けて放たれたとしてもレナは態勢を崩そうとはしない。その一撃はレナの身体を伝って覆う硬質な毛が一瞬覆うことで弾かれた。
さらに後方にいるカーレンも他に劣らず発揮する魔導の技の精度と手数を加速させていく。ユウトの速度に合わせながら額に汗を浮かべ魔獣に向ける両手の五指それぞれが細かく動いていた。
魔獣に刺さるカーレンの短剣は抜けてもその作用は持続され、新たにまた指し直される。それはまるで糸を通した針のように作用していた。数が足りなくなればカーレンの周りに待機していた物で補充され、それが少なくなればカーレンのマントの下からさらに補充される。そうしていくうちに短剣は数十本もの勢力で規則正しく魔獣を包囲していった。
そうしてすぐに魔獣の身体はまるで巨大なつぼみが花開くように徐々に広がっていき、もがき苦しむように振りぬくムチの猛攻も激しくなる。
切り開くことに重きを置くユウトはかわしきれないことも増え、その身を少しずつ切り刻まれ始めている。致命傷を受けるか先に魔獣の核を露わにできるかのぎりぎりの状況へと向かっていた。
それでもユウトはうろたえない。後ろで備える全員を信じて疑わない。思考の雑音は鳴りを潜めただただ目の前の目標達成にのみ、真っすぐに突き進んだ。
レナもユウトに合わせて賛同する。
「オイラもやるっス!」
「ユウトさんがやるというならボクも手伝います。ただ、レナの脚の傷はあまりよくないです。無理はさせないであげてください」
ラトムとセブルの意志はユウトにしか届かないものの、甲高い鳴き声と低い呻り声で答えた。
「よし、やろう。
カーレン、魔導士としての立場はわかっているけど、今使える能力を教えてもらってもいいか?」
「はい。そのつもりです。簡単に言えば魔獣の身体を貼り付けにできます。完璧な固定化は難しいですけど。摘まんで引っ張る感じでしょうか」
そう言いながらカーレンはマントをはぐると鉤のような返しを持った短い短剣をいくつも取り出す。
「ユウトさん!オイラしばらくコイツを見てましたけど体内の魔力の動きに肩よりがあるっス。たぶん魔力の濃いところに核がありそうなのでそこに目印を当てるっス!」
ラトムがそう言うと波打つ魔獣の身体に強い光の点を当てられる。
「助かる。よろしく頼むよラトム」
ユウトは一呼吸、思案を巡らせると覚悟を決めるように息を吐いた。
「即席の作戦になるけど聞いてくれ。
まず前衛をオレが務める。光魔剣の最高出力で魔獣本体へ傷を負わせる。
次に後衛にカーレン。オレが切って開いたそばから部分を固定して欲しい。
それを繰り返して魔獣の身体を開き、核を露出させる。
そしてレナが中衛だ。核が露出したらすぐに魔槍の突きを放って破壊してもらう。核が露出する一瞬のために準備をして待機してくれ。出来るか?」
ユウトは態勢をそのままにレナに視線だけを向けて尋ねる。
「うん・・・情けないけど少し、難しい。準備態勢を取りながら回避するには脚が良くない」
レナは一瞬だけ険しい表情をしてからユウトに視線を返して返答した。
「わかった。レナの支援をセブルにやってもらう。今のセブルならレナの脚としても準備態勢を守る盾にもなれるはずだ」
「やれます。任せてください」
セブルは頷きながらユウトを見て答える。
「頼んだよ、セブル」
レナもセブルへ声を掛けた。
セブルは直ちに動いてレナの股の下に滑り込み身体に固定させるとレナをぐんと一段高く持ち上げる。レナは身体の安定感を確認してから「問題ない、やれそうだ」とユウトへ伝えた。
「カーレン、準備はいいか?」
「いつでも行けます!」
ユウトの問いに力強くカーレンは答える。とりだした何本もの短剣を上空に投げるとその全ての短剣は魔物の方を向いて制止した。
「行くぞ!オレに続けっ!」
ぐっとユウトは屈むと掛け声とともに破裂音がなって瞬時に跳び出す。地を這うように極低空を跳ねるとすでにユウトの身体は魔獣の懐だった。
魔獣は反応できないままにユウトの初太刀が身体をえぐる。弾けるように魔獣の身体の一部は赤橙に輝く断面を晒して割れた。
そして弾けた形から元に戻ろうとした傷は何かに引っ張られ、塞ぐことができない。魔獣の身体に刺さったカーレンのナイフが元の形にもどろうとするのを物理的に阻害している。短剣の柄頭にはめられた石がほのかに輝きを放っていた。
魔獣の身体はのたうち回るように全身をよじらせる。すると全身から細いムチのようなものが吹き出しそれぞれがしなって暴れ出した。
ユウトは小さく動いてかわしながらラトムが示す核の方へと斬り進んでいく。その少し後方に控えるセブルも叩きつけらるムチの先をかわしつつレナの態勢に気を使っていた。
レナはすぐそばを通り過ぎるいくつものムチに気を取られることなく一瞬の好機を狙っている。最善の突き放つため切り開かれる魔獣の身体一点に集中していた。それは時にセブルがよけきれない一撃がレナに向けて放たれたとしてもレナは態勢を崩そうとはしない。その一撃はレナの身体を伝って覆う硬質な毛が一瞬覆うことで弾かれた。
さらに後方にいるカーレンも他に劣らず発揮する魔導の技の精度と手数を加速させていく。ユウトの速度に合わせながら額に汗を浮かべ魔獣に向ける両手の五指それぞれが細かく動いていた。
魔獣に刺さるカーレンの短剣は抜けてもその作用は持続され、新たにまた指し直される。それはまるで糸を通した針のように作用していた。数が足りなくなればカーレンの周りに待機していた物で補充され、それが少なくなればカーレンのマントの下からさらに補充される。そうしていくうちに短剣は数十本もの勢力で規則正しく魔獣を包囲していった。
そうしてすぐに魔獣の身体はまるで巨大なつぼみが花開くように徐々に広がっていき、もがき苦しむように振りぬくムチの猛攻も激しくなる。
切り開くことに重きを置くユウトはかわしきれないことも増え、その身を少しずつ切り刻まれ始めている。致命傷を受けるか先に魔獣の核を露わにできるかのぎりぎりの状況へと向かっていた。
それでもユウトはうろたえない。後ろで備える全員を信じて疑わない。思考の雑音は鳴りを潜めただただ目の前の目標達成にのみ、真っすぐに突き進んだ。
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