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定番になりつつある異世界転生【学校編】ー2年目ー
空を見上げちゃいました。sideバベル
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夜空を見上げる。
暗闇から出てもう何ヶ月にもなる。
星を見上げながら彼女の言葉を思い出す。
バベルと呼ばれる様になってからそれまで生きていた何年間よりも、ここ何ヶ月の方が色んな事があった気がする。
耳の飾りに触れる。
感じた事のない暖かさを感じる気がする。
今日は月が痩せていて星が綺麗に見える。
星を見て綺麗だと思っている自分に気づいて耳に触れている手を握り締めた。
『バベル…何処にいるの?』
「ご主人様。今帰ります。」
暗闇に入って出るとクリスタ国の王宮の離れのリビングに出た。
「おかえりなさい。それで、収穫はあった?」
色々あって王付きの影になったが希望を出し続けたら、王女付きの影になれた。
普通は王女付きの影はいないが僕の魔法の力は他の誰とも違うので研究の為に王女付きになれた。
僕は髪の色だけ変えてもらっただけで、今だに他人の血が定期的に必要なままだ。
「やはり、いました。大体10名程。どうしますか?」
彼女の目の前に立って答えを待つ。
テーブルには彼女以外に獣人が座っている。
彼女は口元に手を添えると少し考える素振りをした後に口を開いた。
「でわ、受け入れ態勢を要請してから迎えに行きましょう。」
そう言うと立ち上がる。
「その前に血を貰っても良いですか?」
「うん。いいよ。はい。」
彼女はそう言うと袖をめくって細い腕を差し出した。
それを見て獣人の2人は纏う雰囲気が変わり凝視してくる。
それに気づかないふりをして細い腕に噛みついた。
口に暖かい血の味が広がる。
暖かいその血の味は、今まで飲んだどんな血より、いや、口に入れた事のある全ての物の中で1番美味しかった。
ちらっと腕から目線をあげて獣人を見るとその瞳が激しく揺らめているのが見えた。
最初に彼女の首に噛みついた時、銀髪の獣人は手を出してきた。
その顔は今まで見たどんな獣人…人とは違って羨ましいという顔をしていてとても驚いた。
彼らは僕が彼女に噛み付くのを心から羨ましと思っている様だった。
それが毎回心から面白いと思う。
こんな行為を羨ましいと思う人がいるなんて…。
口を離すと彼女は笑っていた。
「何で笑っているんですか?」
「えっと…怒らない?何か…子育てしてるみたいで嬉しくなっちゃって。」
その言葉に固まった。
獣人の2人も固まっている。
あの時、大人しく捕まる事を選ばなかった事で病の治療は延期になった。
「私が貴方を臆病者の卑怯者と言ったのは…助けと言える機会があったのにそれを選ばなかったら…。捕まる時もそう。誰かの所為じゃなくて〝バベル〟、貴方自身の選択で物事は決まっていく事を知っていって。」
彼女は空色の瞳を一切逸らさずに言った。
子育てという場違い過ぎる言葉と小さい子がそんな事を言っているのが可笑しいのと僕は何だか恥ずかしさを感じた。
僕は確かに彼女に育てられていると感じていた。
色んな事を教わり、血を貰い、〝おかえり〟っと言ってくれる。
彼女は母親の様に僕に接する。
僕がそんな存在を望んでいると彼女は理解している様に…。
暗闇から出てもう何ヶ月にもなる。
星を見上げながら彼女の言葉を思い出す。
バベルと呼ばれる様になってからそれまで生きていた何年間よりも、ここ何ヶ月の方が色んな事があった気がする。
耳の飾りに触れる。
感じた事のない暖かさを感じる気がする。
今日は月が痩せていて星が綺麗に見える。
星を見て綺麗だと思っている自分に気づいて耳に触れている手を握り締めた。
『バベル…何処にいるの?』
「ご主人様。今帰ります。」
暗闇に入って出るとクリスタ国の王宮の離れのリビングに出た。
「おかえりなさい。それで、収穫はあった?」
色々あって王付きの影になったが希望を出し続けたら、王女付きの影になれた。
普通は王女付きの影はいないが僕の魔法の力は他の誰とも違うので研究の為に王女付きになれた。
僕は髪の色だけ変えてもらっただけで、今だに他人の血が定期的に必要なままだ。
「やはり、いました。大体10名程。どうしますか?」
彼女の目の前に立って答えを待つ。
テーブルには彼女以外に獣人が座っている。
彼女は口元に手を添えると少し考える素振りをした後に口を開いた。
「でわ、受け入れ態勢を要請してから迎えに行きましょう。」
そう言うと立ち上がる。
「その前に血を貰っても良いですか?」
「うん。いいよ。はい。」
彼女はそう言うと袖をめくって細い腕を差し出した。
それを見て獣人の2人は纏う雰囲気が変わり凝視してくる。
それに気づかないふりをして細い腕に噛みついた。
口に暖かい血の味が広がる。
暖かいその血の味は、今まで飲んだどんな血より、いや、口に入れた事のある全ての物の中で1番美味しかった。
ちらっと腕から目線をあげて獣人を見るとその瞳が激しく揺らめているのが見えた。
最初に彼女の首に噛みついた時、銀髪の獣人は手を出してきた。
その顔は今まで見たどんな獣人…人とは違って羨ましいという顔をしていてとても驚いた。
彼らは僕が彼女に噛み付くのを心から羨ましと思っている様だった。
それが毎回心から面白いと思う。
こんな行為を羨ましいと思う人がいるなんて…。
口を離すと彼女は笑っていた。
「何で笑っているんですか?」
「えっと…怒らない?何か…子育てしてるみたいで嬉しくなっちゃって。」
その言葉に固まった。
獣人の2人も固まっている。
あの時、大人しく捕まる事を選ばなかった事で病の治療は延期になった。
「私が貴方を臆病者の卑怯者と言ったのは…助けと言える機会があったのにそれを選ばなかったら…。捕まる時もそう。誰かの所為じゃなくて〝バベル〟、貴方自身の選択で物事は決まっていく事を知っていって。」
彼女は空色の瞳を一切逸らさずに言った。
子育てという場違い過ぎる言葉と小さい子がそんな事を言っているのが可笑しいのと僕は何だか恥ずかしさを感じた。
僕は確かに彼女に育てられていると感じていた。
色んな事を教わり、血を貰い、〝おかえり〟っと言ってくれる。
彼女は母親の様に僕に接する。
僕がそんな存在を望んでいると彼女は理解している様に…。
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