王女は想う。王女は歩む。王女は……。 黒と白の王国

紫苑

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第二章 誰が為の出会い

第十幕 気持ち

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リナは、マリーとルイの方を向いて微笑んだ。

「この作戦は、いつも私と一緒のマリーがここに留まってくれて、上手く私が病に伏せっているのを擬装してくれないと駄目なのだけど…」

マリーは、唇を強く噛んでしまって紅く染まった唇から精一杯の言葉を繋ぐ。

「リナ様のご要望なら完璧に装ってみせます。リナ様は…本当にずるいです。」


「ルイも危険だけど、私と一緒に来てくれる?」

ルイはマリーに向けていた視線をずらして、リナに向き直り告げる。

「ご一緒出来る事心から光栄に思います。姉さんが居ない分も私が必ず、リナ様をお守りします!」

「先生は言わなくても、ついて来ちゃうと思うので…」

ユーリは笑顔で答える。

「ついて来ちゃうって失礼だなー。心配な生徒の為に、ご一緒しますよ。」

「後、隊長達は残りの半分の兵といつもお願いしている種子と、村の巡回をしつつ、国境線の警備に戻ってください。」

隊長達にリナは決意の浮かぶ表情で言い切る。

「そして、もし私が帰らなくても絶対に戦端なんて開かないでくださいね!もしもその時は、病で死んだ事にしてください!!」

ヘーゲル軍団長は、リナを見つめたまま質問する。

「ちなみに姫さんは此度の話が、アルフレッド王太子の誘いだと何故、思われる?私には姫さんが、戦を止めたい為に、ついに馬鹿げた賭けに出た様にしか思わんが…」

「誘いだと思う理由は、色々あるのですが…最終的には…です。」

ヘーゲル軍団長は声を出して笑った。

「ご自身の命がかかっているのに、最終判断がだとはふざけてらっしゃる」

リナは優しく、微笑みながらヘーゲル軍団長を澄んだ空色の瞳で見つめる。

「一国の姫さんが自ら死ににいくよーな作戦を、でするとは姫さんは本当変人だのー」

笑っているヘーゲル軍団長を見て、ハインリッヒはますます眉間のシワを深めながら声を荒げた。

「ヘーゲル軍団長!笑い事ではないですよ!姫様がこんな簡単に、こんな風に物事を決めていいんですか?!」

リナは、そんなハインリッヒに天使の様な微笑みで、語りかける。

「ハインリッヒ隊長。私は色々考えて、この作戦か最善と考えました。このまま婚姻を結ぶ為に、黒の王国に行けば色んな思惑の為、暗殺されるのが関の山です。」

ハインリッヒは言葉に詰まりリナを凝視する。

「物事は所詮、人の心でしか動かないと思います。そして、人の心を動かすには結局シンプルな行動が一番だと思います。現状、私が死んだとしても特に損はありません。だったら私の思う通りに行動したいのです。」

ハインリッヒは、リナの返答に何も言えなくなってしまう。そんなハインリッヒを見ながらヘーゲル軍団長は先程まで浮かべていた軽笑みを止めて。

「私は姫さんの決断は、いつだって凄いと思いますよ。軍で頑張って、私達に言う事聞かせてしまう位になるし…、馬鹿な賭けだと言ったが…意固地な姫さんの馬鹿な作戦を見守るかね」

ヘーゲル軍団長は笑顔が残る顔で、優しく子供を見守る様な表情をしながらリナに語りかける。

「馬鹿が出来る姫さんが、いつも凄いって思ってしまうから不思議だよ。」

リナはヘーゲルの気遣いを感じた。
自らを駒にして動こうとしているリナを心配してくれているのだ。

「馬鹿とか意固地とか失礼ですよ!でも、そんな姫様だから…納得出来ないですが、全力で応援します。」

ハインリッヒは納得出来ないがリナが折れない事を感じで、諦めた。
リナはみんなの温かい気持ちを感じながら、溢れる笑顔で言葉にする。

「では、いってきます」
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