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奥様は勉強熱心
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貴族間の婚姻とは血脈を繋ぐ事が目的であり、そこに愛など必要はない。結婚と恋愛は別なのだと、妻以外の女性に愛や肉欲を求めるのはありふれた事である。
アリスティアの言い方のせいで、アレクセイには微妙に誤解を与えたままだが、このお茶会は閨事の勉強会という訳ではない。
夫を愛してやまないご夫人方の旦那様を、他の花に目を向けさせないための、意見交換の場になっているのは確かだ。
このお茶会の目的の一つとして、最新の美容法を入手して活用し、見た目や自慢の御髪を磨き上げる事。または夫の関心を惹きつけるようなテクニックなど、情報を共有しあっている。
もちろん話題は美容や恋愛方面だけではなく、夫や家のための有益な情報を入手したりと、多方面における会話を楽しんでいる。
その点に至っては、最新の美容や次に流行るドレスや装飾品の素材など、会話の中から商売に繋がる出資や貿易のヒントが散らばっている事も多々。
王妃主催のお茶会とは、王妃の信頼を得ている夫人たちを中心に、さまざまな情報交換の場となっていた。このお茶会によばれるだけでも、王妃からの信頼を得ている証であり実に名誉な事。
そのような場に未婚のまま呼ばれていたのが、王弟であるアレクセイに嫁ぐ事が決まっていたアリスティア。そして、他国の王族との婚姻が決まっているオルガ王女。
以前夫婦仲を良好に保つための秘訣の一つとして、王妃から配られた物があった。それは夫婦の、閨事のマンネリ化防止対策の意味を込めた、閨事の教本。
その教本は嫁ぐ直前のアリスティアにも渡される事となり、勉強熱心なアリスティアは、王妃から貰いうけた教本を熟読した。それほもう毎日真面目に読み耽っていた。
実戦経験は皆無だが、このように本による知識を無駄に蓄えたアリスティアは、初夜で「貴女と閨を共にするつもはない」と言い放ってきた夫の気を、少しでも引く事が出来るワードはないかと瞬時に考えを巡らせた。その結果、導き出した『口』や『手』と言った言葉を咄嗟に放ったのだった。
それに見事アレクセイは反応を示し、分かりやすく動揺して見せた。純粋無垢な乙女は初夜では圧倒的に受け身だと聞いていたが、アリスティアは積極的で知識まで蓄えていた。
そして次に言ってみた『足』に大いに反応する事になろうとは。アリスティアとしては『足』も完全にテキトーだったが、言ってみるものである。あの僅かな時間の中での賭けだったが、あれ程にアレクセイが食い付いてくるとは。
アリスティアがたまたま口にしたのが『足』であり、アレクセイがたまたま一番興味を示したのも『足』だった。
まさに当てずっぽうが起こした奇跡。
最初から、足で陥落させようと思っていた訳ではない。アレクセイの性的関心が何なのか、アリスティアには知る由もなかったのだから。
それからは探り探り、反応を観察しながら奉仕してみた。すると彼は自分に見下ろされたり、羞恥を煽る言い方をした際に過敏に反応し、興奮している事に気付いた。
アリスティアがアレクセイを下僕にしたいのではない。アレクセイがアリスティアに虐められながら奉仕される事に喜び、興奮を覚えているのだ。
これまでの閨事は、アリスティアなりの夫への精一杯の奉仕のつもりであり、決して馬鹿にしている訳ではない。多分。いや、もしかしたらからかってるうちに、楽しくなっている事もあるかもしれない。
本人が思っている以上に、アリスティア自身の女王様ぶりが板についているのもまた事実。
そしてお茶会にて夫人達に力説された「押して駄目なら引いてみろ」作戦も実行してみた。
皆女嫌いのアレクセイに嫁ぐ、アリスティアを心配してのアドバイスでもあった。
一方通行ではない男女の恋愛ごとなど、未経験のアリスティアには男心はよく分からなかったが、本当にアレクセイが歩み寄ってくれるようになるとは。
偉大なる先輩達のアドバイスは効果絶大であった。
アリスティアの言い方のせいで、アレクセイには微妙に誤解を与えたままだが、このお茶会は閨事の勉強会という訳ではない。
夫を愛してやまないご夫人方の旦那様を、他の花に目を向けさせないための、意見交換の場になっているのは確かだ。
このお茶会の目的の一つとして、最新の美容法を入手して活用し、見た目や自慢の御髪を磨き上げる事。または夫の関心を惹きつけるようなテクニックなど、情報を共有しあっている。
もちろん話題は美容や恋愛方面だけではなく、夫や家のための有益な情報を入手したりと、多方面における会話を楽しんでいる。
その点に至っては、最新の美容や次に流行るドレスや装飾品の素材など、会話の中から商売に繋がる出資や貿易のヒントが散らばっている事も多々。
王妃主催のお茶会とは、王妃の信頼を得ている夫人たちを中心に、さまざまな情報交換の場となっていた。このお茶会によばれるだけでも、王妃からの信頼を得ている証であり実に名誉な事。
そのような場に未婚のまま呼ばれていたのが、王弟であるアレクセイに嫁ぐ事が決まっていたアリスティア。そして、他国の王族との婚姻が決まっているオルガ王女。
以前夫婦仲を良好に保つための秘訣の一つとして、王妃から配られた物があった。それは夫婦の、閨事のマンネリ化防止対策の意味を込めた、閨事の教本。
その教本は嫁ぐ直前のアリスティアにも渡される事となり、勉強熱心なアリスティアは、王妃から貰いうけた教本を熟読した。それほもう毎日真面目に読み耽っていた。
実戦経験は皆無だが、このように本による知識を無駄に蓄えたアリスティアは、初夜で「貴女と閨を共にするつもはない」と言い放ってきた夫の気を、少しでも引く事が出来るワードはないかと瞬時に考えを巡らせた。その結果、導き出した『口』や『手』と言った言葉を咄嗟に放ったのだった。
それに見事アレクセイは反応を示し、分かりやすく動揺して見せた。純粋無垢な乙女は初夜では圧倒的に受け身だと聞いていたが、アリスティアは積極的で知識まで蓄えていた。
そして次に言ってみた『足』に大いに反応する事になろうとは。アリスティアとしては『足』も完全にテキトーだったが、言ってみるものである。あの僅かな時間の中での賭けだったが、あれ程にアレクセイが食い付いてくるとは。
アリスティアがたまたま口にしたのが『足』であり、アレクセイがたまたま一番興味を示したのも『足』だった。
まさに当てずっぽうが起こした奇跡。
最初から、足で陥落させようと思っていた訳ではない。アレクセイの性的関心が何なのか、アリスティアには知る由もなかったのだから。
それからは探り探り、反応を観察しながら奉仕してみた。すると彼は自分に見下ろされたり、羞恥を煽る言い方をした際に過敏に反応し、興奮している事に気付いた。
アリスティアがアレクセイを下僕にしたいのではない。アレクセイがアリスティアに虐められながら奉仕される事に喜び、興奮を覚えているのだ。
これまでの閨事は、アリスティアなりの夫への精一杯の奉仕のつもりであり、決して馬鹿にしている訳ではない。多分。いや、もしかしたらからかってるうちに、楽しくなっている事もあるかもしれない。
本人が思っている以上に、アリスティア自身の女王様ぶりが板についているのもまた事実。
そしてお茶会にて夫人達に力説された「押して駄目なら引いてみろ」作戦も実行してみた。
皆女嫌いのアレクセイに嫁ぐ、アリスティアを心配してのアドバイスでもあった。
一方通行ではない男女の恋愛ごとなど、未経験のアリスティアには男心はよく分からなかったが、本当にアレクセイが歩み寄ってくれるようになるとは。
偉大なる先輩達のアドバイスは効果絶大であった。
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