迷子

響影

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3・「奥の部屋」

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あのまま真っ直ぐ歩くと、森を抜け

気が付いたら神社の鳥居の前に座っていた。
ばあちゃんちに戻ると、少し痩せたばあちゃんが駆けつけて思いっきりおれを抱きしめた。おれは2週間も行方不明だったらしい。心配した村の大人達がどこにいたのか?どうやって暮らしてらのかを聞いてきたがおれは何も答えずに、「分からない」で押し通した。



…………


一学年上がった。
今年の夏は去年よりも暑いのではないだろうか?
そう感じながら駄菓子屋の袋を持ってあぜ道を歩く。


早く行かねば、アイスが溶けてしまう。


鳥居をくぐりいつもの階段に座る。


袋から一つアイスを取り出し、開封する




「……また来たんだ。」

神社の林の方から男が声をかける。

その男は近くまで歩いてきて、おれの隣に座る。


「…今度こそ、本当に帰れなくしちゃうかもよ?いいの?…あさと」


やしろは勝手に袋からアイスを取り出し食べ始める。


「大人になるまでは我慢してくれるんだろ?」



「……………多分ね。」


アイスを食べるのをやめてやしろを見る。





行方不明になった後、おれは家に帰る前に神社に向かった。そこにはぼーと座り込むやしろがいた。最初はまたおれを捕まえようとしてきたが、なんとか逃げて話をすることに成功した。

おれはやしろと約束した。

おれが毎年やしろのところに会いに行く。その代わりおれが大人になるまで手を出さない。って、



だから今年の夏も神社に来た。
この様子だと信じてなかったみたいだけど…


「セックスするのは待ってあげるけど、完全に手を出さないとは言ってないからね。」


溶けたアイスが吹き出そうになる。

「…………変態。」







その後、大人になったあさとがどうやって八代を回避しようかと頭を抱えたのはすぐ先の話であった…。


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