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9章、魔法学園、本格始動

第67話

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 魔法学園の授業はダンジョンに入るパーティーでの打ち合わせから始まった。
 パーティーの人数は6人と決まっているが召喚獣はその中に入らない。特殊な武器みたいな扱いだ。聖女以外にも少数ながら召喚獣を持つ者がいた。

 聖獣と召喚獣契約した人を聖女、その他をティマーと呼ぶ。こうちゃん以外の召喚獣は常時姿を見せていたりしない。主人に呼ばれた時だけ現れて戦うのだ。姿を現すだけでも結構魔力を使うらしい。
 「聖女様はさすがですね。僕では常時召喚獣を手元に置くなんて魔力的に無理です」
 ティマーのジョン・カレーヌ子爵令息が言った。
 ジョンの召喚獣を見せて貰ったが、鷹に似た魔獣でカッコ良かった。
 「オレはジュリアに魔力を使わせたりしないぞ。
 聖獣は自分の魔力が豊富だからな」
 それを聞いた周りの人たちから感嘆の声が上がる。
 こうちゃんは鼻高々だ。こう言う所がバカっぽいと思うのだけど、もう言わない。拗ねられると面倒だから。

 ダンジョンに潜るパーティーの顔合わせがあった。冬休み前に決めていたメンバーと全く違う組み合わせだ。元々はガイが声をかけたハベル流一門のパーティーだったのに、それでは聖女様のパーティーとして魔力的に心もとないとなった。

 パーティーのメンバーを見て私の顔色が青くなる。だってね‥‥。
 ユーリ・バージェス公爵令息、ケイト・モリーン侯爵令嬢、レザード・シルウェス伯爵令息、カレン・シーダ子爵令嬢、私とガイの6人。ガイ以外、乙女ゲームをギュッと詰め込んだようなパーティーメンバーだ。

 キャサリン様に言われてからレザードの婚約者候補がいないか調べてみた。レザードに婚約者候補はいないがカレンは彼の幼なじみ、悪役令嬢候補の筆頭だ。

 このパーティーを決めたのは魔法学の先生方だ。先生は私を殺したいのかな?
 一年生全体の中から、どうして乙女ゲームの攻略対象者と悪役令嬢だけを詰め込むの?

 ユーリ・バージェスはまだいい。彼は私に興味がない。私が聖女になったことも、どうでもいいと思っているみたい。
 ただレザード・シルウェスが聖女様に興味を示している。今までジュリアに関心がなかったのに、聖女になった途端に話しかけてくるようになった。
 聖女に利用価値を感じているみたい。攻略対象者とか関係なく近づきたくない。
 レザードが私に話しかけるたびにカレンの目が吊り上がる。ああ、この人やっぱり悪役令嬢だよ。

 女好きなユーリはスレンダーなケイトと幼児体型の私に目もくれず、カレンに目がいっている。
 カレンは艶やかな黒髪に黒い瞳が色っぽい、小柄だが豊満な美女だ。口元のホクロが色っぽい。ユーリのタイプど真ん中だと思う。
 ケイトが切なそうにユーリを見つめている。

 こんなパーティーでダンジョンに潜るの?
 冒険が始まる前に、もう波乱の予感しかしない。魔物でなくパーティーメンバーで殺し合いなんて‥‥。ないよね?
 


 
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