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9章、魔法学園、本格始動

第66話

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 魔法学園が始まるまでの一週間、クラウス先生が沢山のことを教えてくれたけど、その多くが右から左へと消えていった。
 難しいことをいっぱい詰め込まれて頭が拒否反応を起こした。必要になったらまた調べ直すからいいよね。

 私は警備の問題からこのまま王宮で暮らすことになり、魔法学園には王宮の馬車で通うことになった。
 エドワード王子と一緒の馬車で通うのは、そのまま私の死亡フラグに繋がってしまう。ワガママを言って別の馬車で通わせてもらうことにした。

 聖女様になって最初の登校日、ドキドキしながら馬車から降りた。
 クラスメイト達は前と変わらずに接してくれるかな?
 なんて考えてから、元々ガイ以外に友達がいない自分を思い出した。なつめだった時は普通に友達もいたのに、ライメルスに来てから友達を作るのが苦手だ。
 ホーン男爵領にいた時は、女の子にはウォルターと仲が良いことをやっかまれ、ストーカーに遭うたびに私の男嫌いが悪化した。

 そんなこんなを忘れていた時に出会ったガイとすとんと友達になれたけど、今は人間不信で友達を作る気になれない。

 まあ、なるようになるか。明日は明日の風が吹く。
 なつめだった時のお母さんの口癖だ。無計画に子供を作るのはどうかと思うけど、考えすぎたら動けなくなる。

 聖女様になっても私は私なんだから私らしくやるしかない。
 ガイも私のままでいいと言ってくれたもの。

 馬車から降りると護衛騎士のガイが近付いてきた。
 「ガイ、おはよう」
 「ジュリア、おはよう。この後は俺が引継ぎます」
 馬車で付いてきた護衛にガイが挨拶をする。
 「聖女様の安全をしっかりと守ってくれ」
 「ハイ、この身にかえましても!」
 ガイが敬礼する。
 王子様が通う魔法学園の警備は万全だ。そうそう何かが起こるとは思えない。なのに王宮でもここでも、みんなが私に過保護な気がする。

 こうちゃんは私から離れない。私の抱っこ係はガイからこうちゃんへ変更になった。ガイは護衛騎士だから両手を使える状態じゃないと困るらしい。

 教室に入るとざわめきが起きた。
 「アレが聖獣の人型か?」
 「聖女様が同じクラスなんて信じられない」
 「聖女様の祝福を受けられないかな?」

 ざわざわしているが、ガイが睨みをきかせているから近寄っては来ない。
 好奇心剥き出しの視線は気になるけど見られるだけなら害はない。

 ヒロインのジュリアに転生して、分不相応な美少女っぷりに見られるだけなら耐性が付いている。何とか魔法学園でやっていけそうな気がした。
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