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6章、悪役令嬢の登場
第45話
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ライメルス王国の貴族は親の決めた婚約者を持たない。
けれど親から見て身分や魔力的に相応しいと思う者を婚約者候補として子供に紹介する。子供の頃から会う事が多くなるためか、そのまま婚約者候補と恋愛関係になって結婚する人も多いらしい。
キャサリン・ルアーノ公爵令嬢は赤い巻き毛の美しい美女だ。第2王子との仲も円満だと聞く。それでも彼女は少しでも二人の障害になりそうものを見つけると排除に乗りだす。
「ジュリア・ホーン、正直に答えなさい。あなた、エドワード殿下からお手紙を頂いたらしいわね。いつの間に殿下とそんなに仲良くなったのかしら?」
私は勉強室と言う名の個室に連れ込まれて尋問を受けた。
令嬢としては大柄なキャサリン様と子供にしか見えない私では子供を大人がイジメているように見える。唯一の救いはキャサリン様が取り巻きなどを連れずに一対一で対峙していることだ。
「‥‥誤解です。エドワード王子からのお手紙など貰ってはおりません」
「しらを切る気なの。あなたが殿下から手紙を受けとったのを見た人がいるのよ!」
「‥‥手紙は受け取りましたが、それは殿下からではなく他の方からの手紙で‥」
キャサリン様がドンっとテーブルを叩いた。
「エドワード様が誰かから手紙を預けられたとでも言うの⁈誰が王子を使いっ走りに使うと言うのよ!」
「‥‥ううっ」
あまりの迫力に泣きたくなる。
「すべて正直に話しなさい。いつエドワード様と知りあって、仲良くなったのかしら?」
「出会ったのは入学式のあとですが、別に仲良くはなっていません」
「入学式の後‥‥。あなた、エドワード様と出会いイベントを起こしていたのね。
エドワード様に近づいて来ないようだから別口狙いだと安心していたのに」
「‥んっ、出会いイベントって‥‥」
「ジュリア・ホーン、あなたヒロインだからってエドワード殿下に近づくようなら、ただじゃ置かないんだから!」
「‥んんっ、ヒロインって、キャサリン様も転生者なんですかー⁈」
「やっぱり、あなたも転生者なのね。その割に攻略がお粗末なようだけど‥」
「キャサリン様、ゲームで知っていることがあったら教えて下さい。
私、殺されかけたんですけど、それってゲームとは無関係ですよね!」
私はキャサリン様の腕にしがみついた。
「侍女のニーナに毒を飲まされたんでしょう。ゲームのイベントに決まっているじゃない、今更何を言っているのよ」
「えっ、乙女ゲームって、殺しあったりするの?『恋する乙女は千里を駆ける』って全年齢のゲームなのに?」
「別に血飛沫が飛ぶ訳でもないし、毒を飲ますくらいR指定なしでいけるわよ」
「毒くらいって、飲まされた人間がどんなに大変か考えた事ありますか?」
「考えたことないわね、ゲーム製作者でもないし‥」
「‥もう、殺されかけるなんてイベント、ないですよね?」
「甘いわね。攻略者の数だけ悪役令嬢がいるのよ。私だってエドワード様に手を出されたら何をするか分からないわよ」
キャサリン様がふふふと微笑んだ。
「お願いです、エドワード殿下を狙ったりしないと約束しますからキャサリン様が知っていることを教えて下さい!」
「仕方ないわね、私が知っていることなら教えてあげる。ただしエドワード様にこれ以上近づいてはダメよ」
私はキャサリン様にエドワード殿下に決して近づかないと約束した。
けれど親から見て身分や魔力的に相応しいと思う者を婚約者候補として子供に紹介する。子供の頃から会う事が多くなるためか、そのまま婚約者候補と恋愛関係になって結婚する人も多いらしい。
キャサリン・ルアーノ公爵令嬢は赤い巻き毛の美しい美女だ。第2王子との仲も円満だと聞く。それでも彼女は少しでも二人の障害になりそうものを見つけると排除に乗りだす。
「ジュリア・ホーン、正直に答えなさい。あなた、エドワード殿下からお手紙を頂いたらしいわね。いつの間に殿下とそんなに仲良くなったのかしら?」
私は勉強室と言う名の個室に連れ込まれて尋問を受けた。
令嬢としては大柄なキャサリン様と子供にしか見えない私では子供を大人がイジメているように見える。唯一の救いはキャサリン様が取り巻きなどを連れずに一対一で対峙していることだ。
「‥‥誤解です。エドワード王子からのお手紙など貰ってはおりません」
「しらを切る気なの。あなたが殿下から手紙を受けとったのを見た人がいるのよ!」
「‥‥手紙は受け取りましたが、それは殿下からではなく他の方からの手紙で‥」
キャサリン様がドンっとテーブルを叩いた。
「エドワード様が誰かから手紙を預けられたとでも言うの⁈誰が王子を使いっ走りに使うと言うのよ!」
「‥‥ううっ」
あまりの迫力に泣きたくなる。
「すべて正直に話しなさい。いつエドワード様と知りあって、仲良くなったのかしら?」
「出会ったのは入学式のあとですが、別に仲良くはなっていません」
「入学式の後‥‥。あなた、エドワード様と出会いイベントを起こしていたのね。
エドワード様に近づいて来ないようだから別口狙いだと安心していたのに」
「‥んっ、出会いイベントって‥‥」
「ジュリア・ホーン、あなたヒロインだからってエドワード殿下に近づくようなら、ただじゃ置かないんだから!」
「‥んんっ、ヒロインって、キャサリン様も転生者なんですかー⁈」
「やっぱり、あなたも転生者なのね。その割に攻略がお粗末なようだけど‥」
「キャサリン様、ゲームで知っていることがあったら教えて下さい。
私、殺されかけたんですけど、それってゲームとは無関係ですよね!」
私はキャサリン様の腕にしがみついた。
「侍女のニーナに毒を飲まされたんでしょう。ゲームのイベントに決まっているじゃない、今更何を言っているのよ」
「えっ、乙女ゲームって、殺しあったりするの?『恋する乙女は千里を駆ける』って全年齢のゲームなのに?」
「別に血飛沫が飛ぶ訳でもないし、毒を飲ますくらいR指定なしでいけるわよ」
「毒くらいって、飲まされた人間がどんなに大変か考えた事ありますか?」
「考えたことないわね、ゲーム製作者でもないし‥」
「‥もう、殺されかけるなんてイベント、ないですよね?」
「甘いわね。攻略者の数だけ悪役令嬢がいるのよ。私だってエドワード様に手を出されたら何をするか分からないわよ」
キャサリン様がふふふと微笑んだ。
「お願いです、エドワード殿下を狙ったりしないと約束しますからキャサリン様が知っていることを教えて下さい!」
「仕方ないわね、私が知っていることなら教えてあげる。ただしエドワード様にこれ以上近づいてはダメよ」
私はキャサリン様にエドワード殿下に決して近づかないと約束した。
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