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4章、弟がやって来た

第27話

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 ウォルターの突然の来訪に私は驚いた。
 だって王都に来るなんて、全く聞いてなかったから。

 「ウォルター、突然どうしたの?
 急に来るからビックリした」
 「手紙に今日あたり到着する予定だって書いたんだけど、届かなかった?」
 「うん、お父様とお母様の手紙は届いたけど、ウォルターからの手紙はなかったよ。
 どうしたんだろう?」
 「‥‥あっ、途中で取られたのかも?
 ジュリアに似合いそうな髪止めを見つけたから同封したんだ。
 父さんには物を入れると盗難に合うことがあるから止めろって言われたのに」
 「ふうん、そんなことがあるんだね」
 こちらの配達業は日本ほど信用出来ないらしい。

 「ジュリア、そちらが誰なのか紹介して貰えるかな?」
 ウォルターの視線がガイヘと向かった。
 「うん、私の友達のガイ・ハベル伯爵令息。同じクラスなの。
 こんなに大きいのに15歳なんだよ、信じられないでしょう」

 「ジュリアの弟のウォルター・ホーンです。
 はじめまして」
 「ジュリアに弟がいるのは聞いていたけど、こんなに大きいとは思わなかった」
 ガイがウォルターと握手をしながら言った。
 「貴方ほどではないですけど。ハベル伯爵家ならガイさんも相当武道の修行を積まれているのでは?」
 「それなりには」
 「やっぱりハベル流の武道って有名なんだね」
 ウォルターが呆れたように私を見た。
 「世界中にハベルの道場がない国は無いって言われるほどだよ。
 もしかして姉さん知らなかったの?」
 「うん、知らなかった。ガイの家ってすごいんだね」
 「別にすごくはない。ただ格闘バカが集まっているだけだ」

 「そういえばウォルターは王都で宿屋に泊まっているの?」
 「いや、王都にあるホーン男爵家の別邸だけど」
 「えっ、ホーン男爵家って王都に別邸があるの?
 王都に屋敷があるのは成功している家だけだと聞いたのに」
 「ホーン男爵家が豊かなのは俺も知っている。
 確か今の領主になってから海外との貿易も広範囲に行っているらしい」
 「さすがハベル伯爵家、情報が多いらしい。父さんは有能だからね。
 男爵家では収まらない男だから伯爵家にしてはどうかと打診が来ている。父さんは魔力量も赤だし伯爵領クラスでも余裕で守れる」

 「ウォルターはどうして王都に来たの?」
 「父さんの仕事を勉強する為だよ。
 こちらにいればジュリアにも会える。
 今日はこのままお茶でもして行かないか?あとで寮まで送るからさ」
 私はガイを見た。
 「彼がジュリアを送ってくれるなら俺はトレーニングしてから帰るよ。
 魔法が使えるようになったから、やってみたいことが増えたんだ」
 ガイが笑って私を見た。
 「いつも送ってもらってごめんね」
 ガイはいつも私を寮へ送り届けてから学園に戻り、トレーニングをしている。
 悪いからと断ったのだか、私を送り届けてないと心配で集中出来ないと言われた。
 「気にするな。寮への行き帰りも走れば鍛錬になる」
 
 じゃあな、とガイが去って行きウォルターと二人で残された。
 「此処に来る途中でジュリアの好きそうなお店を見つけたんですよ」
 ウォルターが私を抱き上げた。
 すごい慣れた動作で私も自然とウォルターの首に掴まった。
 そうか、どうもガイに抱き上げられるのにすぐ慣れたと思ったら、私は実家でもウォルターに抱っこされていたみたい。

 慣れたガイではないウォルターの抱っこに、私は照れ臭いものを感じていた。
 
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