27 / 69
4章、弟がやって来た
第27話
しおりを挟む
ウォルターの突然の来訪に私は驚いた。
だって王都に来るなんて、全く聞いてなかったから。
「ウォルター、突然どうしたの?
急に来るからビックリした」
「手紙に今日あたり到着する予定だって書いたんだけど、届かなかった?」
「うん、お父様とお母様の手紙は届いたけど、ウォルターからの手紙はなかったよ。
どうしたんだろう?」
「‥‥あっ、途中で取られたのかも?
ジュリアに似合いそうな髪止めを見つけたから同封したんだ。
父さんには物を入れると盗難に合うことがあるから止めろって言われたのに」
「ふうん、そんなことがあるんだね」
こちらの配達業は日本ほど信用出来ないらしい。
「ジュリア、そちらが誰なのか紹介して貰えるかな?」
ウォルターの視線がガイヘと向かった。
「うん、私の友達のガイ・ハベル伯爵令息。同じクラスなの。
こんなに大きいのに15歳なんだよ、信じられないでしょう」
「ジュリアの弟のウォルター・ホーンです。
はじめまして」
「ジュリアに弟がいるのは聞いていたけど、こんなに大きいとは思わなかった」
ガイがウォルターと握手をしながら言った。
「貴方ほどではないですけど。ハベル伯爵家ならガイさんも相当武道の修行を積まれているのでは?」
「それなりには」
「やっぱりハベル流の武道って有名なんだね」
ウォルターが呆れたように私を見た。
「世界中にハベルの道場がない国は無いって言われるほどだよ。
もしかして姉さん知らなかったの?」
「うん、知らなかった。ガイの家ってすごいんだね」
「別にすごくはない。ただ格闘バカが集まっているだけだ」
「そういえばウォルターは王都で宿屋に泊まっているの?」
「いや、王都にあるホーン男爵家の別邸だけど」
「えっ、ホーン男爵家って王都に別邸があるの?
王都に屋敷があるのは成功している家だけだと聞いたのに」
「ホーン男爵家が豊かなのは俺も知っている。
確か今の領主になってから海外との貿易も広範囲に行っているらしい」
「さすがハベル伯爵家、情報が多いらしい。父さんは有能だからね。
男爵家では収まらない男だから伯爵家にしてはどうかと打診が来ている。父さんは魔力量も赤だし伯爵領クラスでも余裕で守れる」
「ウォルターはどうして王都に来たの?」
「父さんの仕事を勉強する為だよ。
こちらにいればジュリアにも会える。
今日はこのままお茶でもして行かないか?あとで寮まで送るからさ」
私はガイを見た。
「彼がジュリアを送ってくれるなら俺はトレーニングしてから帰るよ。
魔法が使えるようになったから、やってみたいことが増えたんだ」
ガイが笑って私を見た。
「いつも送ってもらってごめんね」
ガイはいつも私を寮へ送り届けてから学園に戻り、トレーニングをしている。
悪いからと断ったのだか、私を送り届けてないと心配で集中出来ないと言われた。
「気にするな。寮への行き帰りも走れば鍛錬になる」
じゃあな、とガイが去って行きウォルターと二人で残された。
「此処に来る途中でジュリアの好きそうなお店を見つけたんですよ」
ウォルターが私を抱き上げた。
すごい慣れた動作で私も自然とウォルターの首に掴まった。
そうか、どうもガイに抱き上げられるのにすぐ慣れたと思ったら、私は実家でもウォルターに抱っこされていたみたい。
慣れたガイではないウォルターの抱っこに、私は照れ臭いものを感じていた。
だって王都に来るなんて、全く聞いてなかったから。
「ウォルター、突然どうしたの?
急に来るからビックリした」
「手紙に今日あたり到着する予定だって書いたんだけど、届かなかった?」
「うん、お父様とお母様の手紙は届いたけど、ウォルターからの手紙はなかったよ。
どうしたんだろう?」
「‥‥あっ、途中で取られたのかも?
ジュリアに似合いそうな髪止めを見つけたから同封したんだ。
父さんには物を入れると盗難に合うことがあるから止めろって言われたのに」
「ふうん、そんなことがあるんだね」
こちらの配達業は日本ほど信用出来ないらしい。
「ジュリア、そちらが誰なのか紹介して貰えるかな?」
ウォルターの視線がガイヘと向かった。
「うん、私の友達のガイ・ハベル伯爵令息。同じクラスなの。
こんなに大きいのに15歳なんだよ、信じられないでしょう」
「ジュリアの弟のウォルター・ホーンです。
はじめまして」
「ジュリアに弟がいるのは聞いていたけど、こんなに大きいとは思わなかった」
ガイがウォルターと握手をしながら言った。
「貴方ほどではないですけど。ハベル伯爵家ならガイさんも相当武道の修行を積まれているのでは?」
「それなりには」
「やっぱりハベル流の武道って有名なんだね」
ウォルターが呆れたように私を見た。
「世界中にハベルの道場がない国は無いって言われるほどだよ。
もしかして姉さん知らなかったの?」
「うん、知らなかった。ガイの家ってすごいんだね」
「別にすごくはない。ただ格闘バカが集まっているだけだ」
「そういえばウォルターは王都で宿屋に泊まっているの?」
「いや、王都にあるホーン男爵家の別邸だけど」
「えっ、ホーン男爵家って王都に別邸があるの?
王都に屋敷があるのは成功している家だけだと聞いたのに」
「ホーン男爵家が豊かなのは俺も知っている。
確か今の領主になってから海外との貿易も広範囲に行っているらしい」
「さすがハベル伯爵家、情報が多いらしい。父さんは有能だからね。
男爵家では収まらない男だから伯爵家にしてはどうかと打診が来ている。父さんは魔力量も赤だし伯爵領クラスでも余裕で守れる」
「ウォルターはどうして王都に来たの?」
「父さんの仕事を勉強する為だよ。
こちらにいればジュリアにも会える。
今日はこのままお茶でもして行かないか?あとで寮まで送るからさ」
私はガイを見た。
「彼がジュリアを送ってくれるなら俺はトレーニングしてから帰るよ。
魔法が使えるようになったから、やってみたいことが増えたんだ」
ガイが笑って私を見た。
「いつも送ってもらってごめんね」
ガイはいつも私を寮へ送り届けてから学園に戻り、トレーニングをしている。
悪いからと断ったのだか、私を送り届けてないと心配で集中出来ないと言われた。
「気にするな。寮への行き帰りも走れば鍛錬になる」
じゃあな、とガイが去って行きウォルターと二人で残された。
「此処に来る途中でジュリアの好きそうなお店を見つけたんですよ」
ウォルターが私を抱き上げた。
すごい慣れた動作で私も自然とウォルターの首に掴まった。
そうか、どうもガイに抱き上げられるのにすぐ慣れたと思ったら、私は実家でもウォルターに抱っこされていたみたい。
慣れたガイではないウォルターの抱っこに、私は照れ臭いものを感じていた。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました
indi子/金色魚々子
恋愛
――優しげな王子と強引な王子、世継ぎを残すために、今宵も二人の王子に淫らに愛されます。
逢坂美咲(おうさか みさき)は、恋愛経験が一切ないもてない女=喪女。
一人で過ごす事が決定しているクリスマスの夜、バイト先の本屋で万引き犯を追いかけている時に階段で足を滑らせて落ちていってしまう。
しかし、気が付いた時……美咲がいたのは、なんと異世界の魔王城!?
そこで、魔王の息子である二人の王子の『花嫁』として召喚されたと告げられて……?
元の世界に帰るためには、その二人の王子、ミハイルとアレクセイどちらかの子どもを産むことが交換条件に!
もてない女ミサキの、甘くとろける淫らな魔王城ライフ、無事?開幕!
もう彼女でいいじゃないですか
キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。
常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。
幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。
だからわたしは行動する。
わたしから婚約者を自由にするために。
わたしが自由を手にするために。
残酷な表現はありませんが、
性的なワードが幾つが出てきます。
苦手な方は回れ右をお願いします。
小説家になろうさんの方では
ifストーリーを投稿しております。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる