17 / 69
2章、ライメルス魔法学園
第17話
しおりを挟む
ライメルス魔法学園を卒業しなければ魔法は使えない。
変だなって思っていた。だって貴族だって爵位を得られなければ平民になる。貴族にしか魔法の素養がないとしても平民になった貴族の子孫が沢山いる。それなのに、どうして魔法が使える平民がいないのか?
「今日はこれから魔法の封印を解く儀式を行う」
校長先生が重々しく言った。
かつてシーリィン大陸にライメルスジークエントと呼ばれる大国があった。
今はもうない戦争で亡びた国だ。その国の王族の一部が暗黒大陸に逃がれた。
暗黒大陸、今はトゥールエント大陸と呼ばれるこのライメルス王国がある大陸だ。
暗黒大陸に人間は住んでいなかった。強い魔獣や魔物が蔓延っていたからだ。
そんな大陸をライメルスジークエントから渡った人々は人の住める大地に変えた。
ライメルスジークエントの王族には女神の血が流れている。
暗黒大陸で辛苦を舐める人々を見て女神は悲しんだ。
女神は神の力の一つ、魔法の一部をライメルス王国の王族に分け与えた。
ライメルスの貴族が魔法を使えるのは女神から王族に与えられた秘伝の儀式が行われるから。魔法が使えるのはライメルス王国の貴族だけ。
知らなかった!ゲームの中でそんなこと、一言も触れてない。
ライメルス魔法学園の敷地内にある秘密の場所へと連れて行かれた。
感覚がおかしくなる魔法をかけられ目隠しをされたので、どこに連れて来られたのか分からない。学園内と聞かされたがそれが本当なのかも分からない。
大理石でできた大広間。青白く光る不思議な空間に私たちはいた。
真ん中に大きな魔法陣が描かれている。
その魔法陣のある中央に並ぶように言われた。
「王家から王太子殿下にお越し頂いている」
校長の言葉とともに王太子殿下が前に立った。
黒髪に青い瞳の王太子ジェームズ・ジーク・ライメルスは全員をぐるりと見廻した。
「今日の開封の儀式は私が執り行う。
魔法を使えるのは貴族のみ。
この力を使いライメルス王国を護るのだ!」
王太子ジェームズの言葉に歓声が上がった。
それから殿下が呪文を唱えると魔法陣から光の文字が浮かび上がった。光の文字が紐のようになり私たちに巻き付いてゆく。やがて一人一人が温かい膜のようなものに包まれた。
膜は温かい羊水のようなもので満たされている。私たちは孵化するように膜の中から生まれ落ちた。何か違うものに生まれ変わった気がした。
今、この瞬間、私たちは本当にライメルス王国の貴族になった。
私たちは魔法の力を手に入れた。
変だなって思っていた。だって貴族だって爵位を得られなければ平民になる。貴族にしか魔法の素養がないとしても平民になった貴族の子孫が沢山いる。それなのに、どうして魔法が使える平民がいないのか?
「今日はこれから魔法の封印を解く儀式を行う」
校長先生が重々しく言った。
かつてシーリィン大陸にライメルスジークエントと呼ばれる大国があった。
今はもうない戦争で亡びた国だ。その国の王族の一部が暗黒大陸に逃がれた。
暗黒大陸、今はトゥールエント大陸と呼ばれるこのライメルス王国がある大陸だ。
暗黒大陸に人間は住んでいなかった。強い魔獣や魔物が蔓延っていたからだ。
そんな大陸をライメルスジークエントから渡った人々は人の住める大地に変えた。
ライメルスジークエントの王族には女神の血が流れている。
暗黒大陸で辛苦を舐める人々を見て女神は悲しんだ。
女神は神の力の一つ、魔法の一部をライメルス王国の王族に分け与えた。
ライメルスの貴族が魔法を使えるのは女神から王族に与えられた秘伝の儀式が行われるから。魔法が使えるのはライメルス王国の貴族だけ。
知らなかった!ゲームの中でそんなこと、一言も触れてない。
ライメルス魔法学園の敷地内にある秘密の場所へと連れて行かれた。
感覚がおかしくなる魔法をかけられ目隠しをされたので、どこに連れて来られたのか分からない。学園内と聞かされたがそれが本当なのかも分からない。
大理石でできた大広間。青白く光る不思議な空間に私たちはいた。
真ん中に大きな魔法陣が描かれている。
その魔法陣のある中央に並ぶように言われた。
「王家から王太子殿下にお越し頂いている」
校長の言葉とともに王太子殿下が前に立った。
黒髪に青い瞳の王太子ジェームズ・ジーク・ライメルスは全員をぐるりと見廻した。
「今日の開封の儀式は私が執り行う。
魔法を使えるのは貴族のみ。
この力を使いライメルス王国を護るのだ!」
王太子ジェームズの言葉に歓声が上がった。
それから殿下が呪文を唱えると魔法陣から光の文字が浮かび上がった。光の文字が紐のようになり私たちに巻き付いてゆく。やがて一人一人が温かい膜のようなものに包まれた。
膜は温かい羊水のようなもので満たされている。私たちは孵化するように膜の中から生まれ落ちた。何か違うものに生まれ変わった気がした。
今、この瞬間、私たちは本当にライメルス王国の貴族になった。
私たちは魔法の力を手に入れた。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
【取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~
岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。
「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」
開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる