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2章、ライメルス魔法学園

第17話

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 ライメルス魔法学園を卒業しなければ魔法は使えない。

 変だなって思っていた。だって貴族だって爵位を得られなければ平民になる。貴族にしか魔法の素養がないとしても平民になった貴族の子孫が沢山いる。それなのに、どうして魔法が使える平民がいないのか?

 「今日はこれから魔法の封印を解く儀式を行う」
 校長先生が重々しく言った。

 かつてシーリィン大陸にライメルスジークエントと呼ばれる大国があった。
 今はもうない戦争で亡びた国だ。その国の王族の一部が暗黒大陸に逃がれた。
 暗黒大陸、今はトゥールエント大陸と呼ばれるこのライメルス王国がある大陸だ。

 暗黒大陸に人間は住んでいなかった。強い魔獣や魔物が蔓延っていたからだ。
 そんな大陸をライメルスジークエントから渡った人々は人の住める大地に変えた。
 ライメルスジークエントの王族には女神の血が流れている。
 暗黒大陸で辛苦を舐める人々を見て女神は悲しんだ。
 女神は神の力の一つ、魔法の一部をライメルス王国の王族に分け与えた。

 ライメルスの貴族が魔法を使えるのは女神から王族に与えられた秘伝の儀式が行われるから。魔法が使えるのはライメルス王国の貴族だけ。

 知らなかった!ゲームの中でそんなこと、一言も触れてない。

 ライメルス魔法学園の敷地内にある秘密の場所へと連れて行かれた。
 感覚がおかしくなる魔法をかけられ目隠しをされたので、どこに連れて来られたのか分からない。学園内と聞かされたがそれが本当なのかも分からない。
 大理石でできた大広間。青白く光る不思議な空間に私たちはいた。
 真ん中に大きな魔法陣が描かれている。

 その魔法陣のある中央に並ぶように言われた。

 「王家から王太子殿下にお越し頂いている」

 校長の言葉とともに王太子殿下が前に立った。
 黒髪に青い瞳の王太子ジェームズ・ジーク・ライメルスは全員をぐるりと見廻した。

 「今日の開封の儀式は私が執り行う。
 魔法を使えるのは貴族のみ。
 この力を使いライメルス王国を護るのだ!」

 王太子ジェームズの言葉に歓声が上がった。
 
 それから殿下が呪文を唱えると魔法陣から光の文字が浮かび上がった。光の文字が紐のようになり私たちに巻き付いてゆく。やがて一人一人が温かい膜のようなものに包まれた。
 膜は温かい羊水のようなもので満たされている。私たちは孵化するように膜の中から生まれ落ちた。何か違うものに生まれ変わった気がした。

 今、この瞬間、私たちは本当にライメルス王国の貴族になった。

 私たちは魔法の力を手に入れた。
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