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2章、ライメルス魔法学園
第16話
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女性の友達を作るのはなかなか難しい。
ガイに用事が出来てクラスから離れると私は同級生の女生徒たちに囲まれた。
イジメにでもあうのかと一瞬ビビったが彼女達はみな好意的だった。
ジュリアはお人形さんのように可愛いらしい。
私は触られ、髪の毛をいじられ、抱きしめられ、愛でられた。
ガイがクラスに戻るたった30分ほどの間に私はヘトヘトになってしまった。
ガイが一緒にいると女生徒たちは寄って来ない。ガイはよっぽど怖そうに見えるみたい。私はガイから離れるのが怖くなった。
自立はまだ早いかも。まずは体力をつけよう。沢山食べて大きくなったら、女生徒におもちゃにされなくなるハズ。
いつもよりランチを沢山食べたら、気持ち悪くなって吐いてしまった。
また医務室に運ばれた。
医務室には推定攻略対象者のあの先生がいる。
あんまり会いたくないんだけど。でも今のジュリアと医務室は切っても切り離せない。
私だってイケメンは好きだ。某国民的アイドルのファンだったりもする。
でもそう言うイケメンはテレビの画面越しが安心する。
イケメンは遠くから愛でるもの。至近距離で見つめるものじゃないんだよ。
噂ではクーリエ先生は女嫌いらしい。
それなのに満面の笑みで私を迎えてくれた。
「ホーン男爵令嬢は体が弱くて心配だ。少しでも体調が悪かったらすぐに医務室においで」
クーリエ先生がベッドの横に椅子を置き、寝かせた私に話し掛けてくる。
未だ子供のように見える私は女の枠に入らないらしい。
何故か気に入られた感じがするのは気のせいだと思いたい。
クーリエ先生が私のおでこを撫でてくるのは治療の一環だよね。熱を測ってくれているんだ。
おちつかない、おちつかない、おちつかない。
寝たフリをして目を閉じたのにまだ髪を撫でてくる。
何がしたいんだろう。
子供を可愛がりたい?なら自分の子供を作れよ。25歳ならこちらでは結婚していないとおかしい年齢だ。
薄目を開けると微笑んだクーリエ先生の美麗な顔が間近にあった。
美しいアメジストの瞳に魅入られそうになる。
「逃げられると追いたくなるって本当だね。
近付いて嫌がられることなんて滅多にないから新鮮に感じるのかな」
「別に逃げていません」
「でも私が近づくと体が後退る」
「そ、それは先生が美し過ぎるから緊張しているだけで」
「キスしようか?」
「ダ、ダメです。私の見た目では先生がロリコンだと思われてしまいます」
「誰も見ていないよ」
「私が見ています。私が先生をロリコンだと思います」
あははははは‥‥。
クーリエ先生が笑い出した。
「やっぱりジュリアは面白い」
「はぁ、私を揶揄っていたんですね!」
「別に揶揄ってなんかいない。ジュリアなら本気で口説いてもいいよ」
「遠慮します。すぐに出て行ってください」
私はクーリエ先生をベッドの近くから追いだすとカーテンを閉めた。
アンソニー・クーリエは危険人物だ。
クーリエ先生が攻略対象者かどうかはともかく、近づいてはいけない人だ。
健康にならなくては。
健康になって医務室に来ないようにしなければ、と切実に感じた。
ガイに用事が出来てクラスから離れると私は同級生の女生徒たちに囲まれた。
イジメにでもあうのかと一瞬ビビったが彼女達はみな好意的だった。
ジュリアはお人形さんのように可愛いらしい。
私は触られ、髪の毛をいじられ、抱きしめられ、愛でられた。
ガイがクラスに戻るたった30分ほどの間に私はヘトヘトになってしまった。
ガイが一緒にいると女生徒たちは寄って来ない。ガイはよっぽど怖そうに見えるみたい。私はガイから離れるのが怖くなった。
自立はまだ早いかも。まずは体力をつけよう。沢山食べて大きくなったら、女生徒におもちゃにされなくなるハズ。
いつもよりランチを沢山食べたら、気持ち悪くなって吐いてしまった。
また医務室に運ばれた。
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あんまり会いたくないんだけど。でも今のジュリアと医務室は切っても切り離せない。
私だってイケメンは好きだ。某国民的アイドルのファンだったりもする。
でもそう言うイケメンはテレビの画面越しが安心する。
イケメンは遠くから愛でるもの。至近距離で見つめるものじゃないんだよ。
噂ではクーリエ先生は女嫌いらしい。
それなのに満面の笑みで私を迎えてくれた。
「ホーン男爵令嬢は体が弱くて心配だ。少しでも体調が悪かったらすぐに医務室においで」
クーリエ先生がベッドの横に椅子を置き、寝かせた私に話し掛けてくる。
未だ子供のように見える私は女の枠に入らないらしい。
何故か気に入られた感じがするのは気のせいだと思いたい。
クーリエ先生が私のおでこを撫でてくるのは治療の一環だよね。熱を測ってくれているんだ。
おちつかない、おちつかない、おちつかない。
寝たフリをして目を閉じたのにまだ髪を撫でてくる。
何がしたいんだろう。
子供を可愛がりたい?なら自分の子供を作れよ。25歳ならこちらでは結婚していないとおかしい年齢だ。
薄目を開けると微笑んだクーリエ先生の美麗な顔が間近にあった。
美しいアメジストの瞳に魅入られそうになる。
「逃げられると追いたくなるって本当だね。
近付いて嫌がられることなんて滅多にないから新鮮に感じるのかな」
「別に逃げていません」
「でも私が近づくと体が後退る」
「そ、それは先生が美し過ぎるから緊張しているだけで」
「キスしようか?」
「ダ、ダメです。私の見た目では先生がロリコンだと思われてしまいます」
「誰も見ていないよ」
「私が見ています。私が先生をロリコンだと思います」
あははははは‥‥。
クーリエ先生が笑い出した。
「やっぱりジュリアは面白い」
「はぁ、私を揶揄っていたんですね!」
「別に揶揄ってなんかいない。ジュリアなら本気で口説いてもいいよ」
「遠慮します。すぐに出て行ってください」
私はクーリエ先生をベッドの近くから追いだすとカーテンを閉めた。
アンソニー・クーリエは危険人物だ。
クーリエ先生が攻略対象者かどうかはともかく、近づいてはいけない人だ。
健康にならなくては。
健康になって医務室に来ないようにしなければ、と切実に感じた。
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