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2章、ライメルス魔法学園

第14話

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 「おまえ、自分が美少女だって自覚がないだろう」とガイが言った。

 今は登校の途中だ。ガイは最初から抱き抱えて連れて行ってくれると言ったが、それでは体力がつかないので断った。
 私が他の生徒より1時間も早く寮を出たのに、それに付き合ってくれているガイは本当に面倒見の良い人だ。

 「私が美少女だってことなら知っているけど」
 自分を美少女言うなんてどんなナルシストだとも思うけど、鏡を見るたびにジュリアって美少女だと思う。

 「知っているのと自覚しているのは違う。
 例えば今道往く人たちが俺たちを振り返って見ているだろう。何故だと思う?」
 「私がすごく小さいからかな?
 それなのに魔法学園の制服姿だから気になるんだと思う」
 「それもある。けどジュリアが目立つ美少女だから目をとめるんだ」
 「私の容姿は無駄に目立つんだね」

 そうか、そうかと私が頷いているとガイがため息をついた。

 「無駄って何だよ。滅多に見ないほどの美少女が」
 「だってそれを活かせる気がしないんだもの」

 ジュリアは乙女ゲームのヒロインだ、人目を引く美人なのは当たり前。育ち損なっている私も美少女だ。だけどそれを何かに活かせる気がしない。

 せっかく乙女ゲームに転生したんだから攻略対象者を落としてみる?無理無理。
 だってエドワード王子の出会いイベントさえもおかしくなっていた。
 途中から王子のセリフが迷子の保護者探しだった。

 攻略対象者を落とすのは今の幼い容姿のジュリアには不可能だ。

 じゃあ一般人と恋愛してみる?

 それもなぁ。ジュリアの今の見た目は10歳くらい。実際は15歳だけど好きだとか言われたら、まずロリコンを疑う。

 ちょっと考えてみたんだよね。
 向こうで16歳のなつめのクラスメイトがまだ9歳のくるみに好きだと告白する。
 もうほとんど犯罪な気がする。
 両思いになったと言われたら警察を呼ぶ。

 とうぶん恋愛はムリかな。まずは大人に見えるくらいまで育たないとね。

 それにしてもジュリアは体力ないなぁ。もう疲れてきた。

 「ガイ、抱っこして」
 私はガイに両手を広げてアピールした。
 「もう限界なのか?」
 ガイがひょいっと私を持ち上げてくれる。

 私がガイの首にしがみつくとオレンジ色の髪が顔の近くにあった。
 「ガイの髪の色って美味しそうだよね」
 「そんなこと初めて言われたな。ジュリアは俺のこと怖いと思わないのか?」

 「ガイみたいな優しい人をどうして怖がるの?」
 「デカイからな。近づいただけで子供に泣かれる」
 「私は子供じゃないもの」

 ガイがクスって笑った。
 「抱っこをねだるけどな」
 「ガイの方から運んでくれるって言ったんじゃない。
 嫌なら自分で歩くから下ろしてよ」
 「ジュリアに歩かせたら遅刻するから却下だ」

 「ふんっ、その内すっごく大人っぽくなってビックリさせてやるんだから」
 「気長に待っていてやるよ」
 ガイが憎まれ口を叩いた。
 
 

 
 
 

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