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2章、ライメルス魔法学園
第12話[ガイ視点]
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入学式の日、道に蹲るジュリアを見たときに俺は末っ子の妹を思い出していた。
ハベル伯爵家は男系の家系らしく滅多に女が生まれない。
5男1女の末っ子のエレナはまだ7歳。女児が珍しい伯爵家で甘やかされ、ちょっとワガママなところがある。
俺は図体がデカ過ぎるせいか女子供に恐がられる。
そんな俺にエレナはとても懐いていた。懐かれると可愛くて俺もついつい甘やかしてしまう。
俺が魔法学園に通うために家を出るときエレナが泣いた。
泣いて泣いて、俺と一緒に魔法学園に通うと駄々を捏ねた。
俺が魔法学園に向かう馬車で旅立ったとき、途中までエレナが追いかけて来た。
道に蹲って泣いているのが最後に見えた。
「おい、どこか悪いのか?」
妹と重なって蹲っている少女につい声を掛けてしまったが、怖がらせたらどうしようと心配になった。
俺はホント、女子供に受けが悪いのだ。声をかけただけで悲鳴を上げられ逃げられることがある。
銀髪の少女が顔を上げ、スミレ色の瞳で俺をじっと見つめた。俺を怖がっている様子はなかった。
「大丈夫です。体力がないだけなので」
そう言った少女が立ち上がったことで着ていた制服が見えた。胸にあるエンブレムは魔法学園特有のもの、魔法を駆使して施した刺繍は偽造することが出来ない。
コイツ、魔法学園の生徒なのか!?10歳くらいにしか見えないぞ!
驚きの中、体調が悪そうにふらふらしている少女を見てさらに不安になった。
彼女はとんでもない美少女だったのだ。
徒歩で通学しているのだから寮生のはずだ。それなのに高位貴族にしか現れない銀髪を持ち、王族のような美しい顔立ちをしている。
体調が悪いこんな美少女を道に放置したらアッという間に悪い奴に誘拐されそうだ。
そう思ったら、つい妹にするようにヒョイっと抱き上げてしまった。
ジュリアは最初は恥ずかしいと嫌がったが、案外すぐに慣れてしまったみたいだ。
縁があったようで魔法学園のクラスも一緒になった。
入学式の途中でもジュリアは具合が悪くなり、俺に寄り掛かってきた。
医務室に運ぶときには俺の首にギュッと掴まってきた。
妹のエレナと同じ仕草だ。
二人目の妹が出来たみたいだ。
こんなに体が弱いのに魔法学園でやっていけるんだろうか?
ジュリアを入学させたホーン男爵に不満を覚えたが、魔法学園に入学しないでジュリアが平民になることを考えると、それも不安だった。
俺が守ってやれば大丈夫か?
ジュリアに保護者意識を刺激された俺は、彼女を出来るだけ守ってやろうと思った。
かよわそうに見えて結構とんでもない性格のジュリアに振り回される日が来ることを、俺はまだ知らなかった。
ハベル伯爵家は男系の家系らしく滅多に女が生まれない。
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そんな俺にエレナはとても懐いていた。懐かれると可愛くて俺もついつい甘やかしてしまう。
俺が魔法学園に通うために家を出るときエレナが泣いた。
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俺が魔法学園に向かう馬車で旅立ったとき、途中までエレナが追いかけて来た。
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銀髪の少女が顔を上げ、スミレ色の瞳で俺をじっと見つめた。俺を怖がっている様子はなかった。
「大丈夫です。体力がないだけなので」
そう言った少女が立ち上がったことで着ていた制服が見えた。胸にあるエンブレムは魔法学園特有のもの、魔法を駆使して施した刺繍は偽造することが出来ない。
コイツ、魔法学園の生徒なのか!?10歳くらいにしか見えないぞ!
驚きの中、体調が悪そうにふらふらしている少女を見てさらに不安になった。
彼女はとんでもない美少女だったのだ。
徒歩で通学しているのだから寮生のはずだ。それなのに高位貴族にしか現れない銀髪を持ち、王族のような美しい顔立ちをしている。
体調が悪いこんな美少女を道に放置したらアッという間に悪い奴に誘拐されそうだ。
そう思ったら、つい妹にするようにヒョイっと抱き上げてしまった。
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