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2章、ライメルス魔法学園
第11話
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知らない天井‥‥ではないな。
さっきまでいた医務室の天井が見える。
あれ、何があったんだろう?
入学式で貧血を起こしてガイに医務室に運んでもらった。それから2時間も眠ってしまって、慌ててガイと約束していた運動場へ向かった。
ところが曲がり角をひとつ間違えて中庭の迷路に迷い込んだんだ。
迷路から出られずにグルグルしていたら、攻略対象者のエドワード王子と出会ったんだよ。
あれ、それで何で医務室にいるの?また記憶喪失?
ベッドにかかっている白いカーテンをシャッと音を立てて開ける。
すぐにカーテンを閉めたくなった。
なんでエドワード王子がここにいるの?
そして、その隣にいる蒼い髪の護衛は、なんだか見覚えがある。
名前は思い出せないけれど、彼も攻略対象者だ。あのゲームのイラストにいた5人のうちのひとり。イケメンだけど不機嫌そうにこちらを見ていて感じが悪い。
そして美貌の校医、たぶん攻略対象者?のクーリエ先生がいる。
なんだか空気が悪い。
乙女ゲーム臭がプンプンする。
ここにヒロインのジュリアを混ぜたら爆発するんじゃないかな?
「やっと目が覚めたみたいだね。安心したよ」
エドワード王子が微笑んだ。
「あの、私、どうしてここに?」
「覚えていないのかな?君が突然倒れたから僕が医務室に運び込んだんだ」
「殿下が、ですか?」
ヒッと声が出そうになった。
私、大丈夫?不敬罪とかで殺されたりしないかな?
護衛の騎士の機嫌が悪いわけだ。
なんで私、王子様に運んでもらったりしてるんだよ。
意識が無くともそこは断ろうよ。
「意識が戻ったみたいだし、今日は僕が馬車で寮まで送ろう」
「あの、殿下に送って頂く程のことでは」
遠慮して断ろうとしたら護衛騎士に睨み付けられた。
なに、お断りするのは不敬ってこと?
でも王家の馬車で送りつけられたりしたら、目立つこと間違いない。
明日から私、イジメにあったりしない?
「王家の馬車で送り届けるのは目立ち過ぎるだろ。
彼女は私が馬車で送って行こう」
クーリエ先生がそう言ってくれたが、それはそれで先生のファンに殺されそうな気がする。
「氷の貴公子と呼ばれる貴方が送り届ける方が騒ぎが大きくなるのでは?」
やっぱりクーリエ先生ってそんな呼び名がある人だったんだ。
「ジュリアは誰に送って貰いたい?」
クーリエ先生がニコッと微笑んで私を見つめた。絶対に自分が断られないって確信している顔だ。
どちらを選んでも不幸な末路しか思い浮かばない。
背中に嫌な汗をかいていたら、医務室の扉がガラリと開いた。
「まだ医務室にいたんだな。ジュリアが運動場に来ないから心配したんだぞ」
「ガイ‼︎」
私は迎えに来てくれたガイに飛び付いた。
「彼と約束があるので、私はこれで失礼いたします」
私は逃げるように医務室から飛び出していった。
さっきまでいた医務室の天井が見える。
あれ、何があったんだろう?
入学式で貧血を起こしてガイに医務室に運んでもらった。それから2時間も眠ってしまって、慌ててガイと約束していた運動場へ向かった。
ところが曲がり角をひとつ間違えて中庭の迷路に迷い込んだんだ。
迷路から出られずにグルグルしていたら、攻略対象者のエドワード王子と出会ったんだよ。
あれ、それで何で医務室にいるの?また記憶喪失?
ベッドにかかっている白いカーテンをシャッと音を立てて開ける。
すぐにカーテンを閉めたくなった。
なんでエドワード王子がここにいるの?
そして、その隣にいる蒼い髪の護衛は、なんだか見覚えがある。
名前は思い出せないけれど、彼も攻略対象者だ。あのゲームのイラストにいた5人のうちのひとり。イケメンだけど不機嫌そうにこちらを見ていて感じが悪い。
そして美貌の校医、たぶん攻略対象者?のクーリエ先生がいる。
なんだか空気が悪い。
乙女ゲーム臭がプンプンする。
ここにヒロインのジュリアを混ぜたら爆発するんじゃないかな?
「やっと目が覚めたみたいだね。安心したよ」
エドワード王子が微笑んだ。
「あの、私、どうしてここに?」
「覚えていないのかな?君が突然倒れたから僕が医務室に運び込んだんだ」
「殿下が、ですか?」
ヒッと声が出そうになった。
私、大丈夫?不敬罪とかで殺されたりしないかな?
護衛の騎士の機嫌が悪いわけだ。
なんで私、王子様に運んでもらったりしてるんだよ。
意識が無くともそこは断ろうよ。
「意識が戻ったみたいだし、今日は僕が馬車で寮まで送ろう」
「あの、殿下に送って頂く程のことでは」
遠慮して断ろうとしたら護衛騎士に睨み付けられた。
なに、お断りするのは不敬ってこと?
でも王家の馬車で送りつけられたりしたら、目立つこと間違いない。
明日から私、イジメにあったりしない?
「王家の馬車で送り届けるのは目立ち過ぎるだろ。
彼女は私が馬車で送って行こう」
クーリエ先生がそう言ってくれたが、それはそれで先生のファンに殺されそうな気がする。
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やっぱりクーリエ先生ってそんな呼び名がある人だったんだ。
「ジュリアは誰に送って貰いたい?」
クーリエ先生がニコッと微笑んで私を見つめた。絶対に自分が断られないって確信している顔だ。
どちらを選んでも不幸な末路しか思い浮かばない。
背中に嫌な汗をかいていたら、医務室の扉がガラリと開いた。
「まだ医務室にいたんだな。ジュリアが運動場に来ないから心配したんだぞ」
「ガイ‼︎」
私は迎えに来てくれたガイに飛び付いた。
「彼と約束があるので、私はこれで失礼いたします」
私は逃げるように医務室から飛び出していった。
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