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11、お兄様と一緒。
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試験勉強は大変だったけど、赤点を一つも取ることなく終えることが出来た。成績は大体一年の真ん中あたり。あんなに勉強したのにと残念に思う気持ちと、これで普通の貴族になれたんだと喜ぶ気持ちの両方があった。
「ほら、やれば出来るだろ。お前、馬鹿じゃ無いんだよ。今まで努力が足りなかっただけなんだ。」
ギルバートがわたし以上に喜んでくれた。
「ギルバートこそすごいじゃない。学年で1位でしょう。」
学年で10位までの成績は貼り出される。
他に知っている名前だとイザベル様が2位、オスカー様が5位だった。
実は高位貴族は成績優秀者が多いらしい。わたしだけ赤点を取ったらもの凄く恥をかくとこだった。
ソフィアはあと少しでトップテン入りを逃していた。
「次は10位までに入れるように努力しますわ。」
そうお淑やかに言うソフィアだけど目がこわい。ソフィアって結構、負けず嫌いなんだよね。その分、努力家なんだけど。
「とにかくユインティーナ様に赤点が無くて良かった。これでおれ達もすぐ冬休みに入れるな。」
「そうですわね。」
「結局、ギルバートの休みのためにわたしは勉強させられたわけ。」
「自分のために動くのは当然だろう。次も試験前は同じようにやらせるから。」
「えぇ、今回だけじゃないの。」
これからも試験前は勉強漬けの毎日になりそうだ。
補習もなく冬休みが長く取れるのはわたしにとっても嬉しいことだ。
ただ帰りの馬車がお兄様と一緒になってしまい緊張した。
頼りのサーシャは冬休み中は休みに入るので、侯爵家の馬車には乗らない。お兄様の侍従は馭者席の方へ行ってしまった。
馬車という狭い空間にお兄様と二人きり。どうしよう。何を話せばいいの?
「お兄様はずっと学年1位だと聞きました。すごいですね。」
結局、無難に成績の話題を振ってみた。
「別に大したことじゃないよ。」
そう返しただけでお兄様は無言になってしまった。
やっぱり嫌われているんだと思う。急に出て来た妹に戸惑うのは仕方ない。あんまり目障りなようなら近付かない方がいいのかな。
「「あの、」」
折角お兄様から話しかけてくれたのに言葉が被ってしまった。
「お兄様からどうぞ。」
「うん、あのさ、ユインティーナは冬休み中、何か予定が入ってるの?」
「いいえ、特に予定はないです。」
サポート組は半分仕事だから悪くて誘えないし、他に親しい友人もいない。
「あの、嫌じゃなかったら新年祭に一緒に行かないか?」
「えっ。」
「僕と出掛けるのはやっぱり嫌かな?」
「そうじゃなくて、わたし、お兄様に嫌われていると思ってたから。」
「誤解を受けるような態度をとって済まない。ただ緊張していただけなんだ。」
「あの、誘って貰えて嬉しいです。」
「じゃあ新年祭に一緒に行ってくれるの。」
「はい。」と答えるとお兄様がニッコリと笑った。
さすがお母様の血筋だ。つい見惚れてしまった。
「仲良く出来たらわたしも嬉しいです。」
お兄様の手を握ったら真っ赤になってしまった。お兄様はとてもシャイな人らしい。
「ほら、やれば出来るだろ。お前、馬鹿じゃ無いんだよ。今まで努力が足りなかっただけなんだ。」
ギルバートがわたし以上に喜んでくれた。
「ギルバートこそすごいじゃない。学年で1位でしょう。」
学年で10位までの成績は貼り出される。
他に知っている名前だとイザベル様が2位、オスカー様が5位だった。
実は高位貴族は成績優秀者が多いらしい。わたしだけ赤点を取ったらもの凄く恥をかくとこだった。
ソフィアはあと少しでトップテン入りを逃していた。
「次は10位までに入れるように努力しますわ。」
そうお淑やかに言うソフィアだけど目がこわい。ソフィアって結構、負けず嫌いなんだよね。その分、努力家なんだけど。
「とにかくユインティーナ様に赤点が無くて良かった。これでおれ達もすぐ冬休みに入れるな。」
「そうですわね。」
「結局、ギルバートの休みのためにわたしは勉強させられたわけ。」
「自分のために動くのは当然だろう。次も試験前は同じようにやらせるから。」
「えぇ、今回だけじゃないの。」
これからも試験前は勉強漬けの毎日になりそうだ。
補習もなく冬休みが長く取れるのはわたしにとっても嬉しいことだ。
ただ帰りの馬車がお兄様と一緒になってしまい緊張した。
頼りのサーシャは冬休み中は休みに入るので、侯爵家の馬車には乗らない。お兄様の侍従は馭者席の方へ行ってしまった。
馬車という狭い空間にお兄様と二人きり。どうしよう。何を話せばいいの?
「お兄様はずっと学年1位だと聞きました。すごいですね。」
結局、無難に成績の話題を振ってみた。
「別に大したことじゃないよ。」
そう返しただけでお兄様は無言になってしまった。
やっぱり嫌われているんだと思う。急に出て来た妹に戸惑うのは仕方ない。あんまり目障りなようなら近付かない方がいいのかな。
「「あの、」」
折角お兄様から話しかけてくれたのに言葉が被ってしまった。
「お兄様からどうぞ。」
「うん、あのさ、ユインティーナは冬休み中、何か予定が入ってるの?」
「いいえ、特に予定はないです。」
サポート組は半分仕事だから悪くて誘えないし、他に親しい友人もいない。
「あの、嫌じゃなかったら新年祭に一緒に行かないか?」
「えっ。」
「僕と出掛けるのはやっぱり嫌かな?」
「そうじゃなくて、わたし、お兄様に嫌われていると思ってたから。」
「誤解を受けるような態度をとって済まない。ただ緊張していただけなんだ。」
「あの、誘って貰えて嬉しいです。」
「じゃあ新年祭に一緒に行ってくれるの。」
「はい。」と答えるとお兄様がニッコリと笑った。
さすがお母様の血筋だ。つい見惚れてしまった。
「仲良く出来たらわたしも嬉しいです。」
お兄様の手を握ったら真っ赤になってしまった。お兄様はとてもシャイな人らしい。
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