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私がいたいのは
10 プロローグ
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深夜。その日は冬には珍しく朝から続く雷雨、暴風で屋根や地面を撃つ雨、雷、風の荒々しい音が鳴り響く騒々しい夜だった。
事務所の2階の凛々奈の部屋ではベッドの上にそんな轟音を気にもしないで気持ちよさそうに眠る凛々奈と彼女の腕と足に抱きつかれて寝苦しそうに眠るみいながいた。みいなが雷の音が怖かったらしく今夜は凛々奈に言って一緒に眠って貰っている。
1階の事務所内は明かりも点いておらず真っ暗で、時折光る雷の閃光だけが少し遅れてくる轟音と共に時折部屋の中を照らしている。激しい雨が打ち付ける窓に神代唯牙は体を預ける様にもたれ掛かり耳にスマートフォンを当てている。
「やあ、久しぶりだね」
スマートフォンから聞こえるのは男の声。
「ああ、連絡が無いからてっきり死んだと思ってたよ、ギルト」
無感情な瞳で窓の外を見つつ唯牙は電話の相手に答える。
「あはは、酷いなぁ 色々忙しくてね・・・・ とりあえずこちらからの要件は・・・ いや、先に何かあればそっちから聞こうか」
「あ?」
「悪い知らせと最悪な知らせがあるんだけど、先に聞くかい?」
チッ と唯牙は小さく舌打ちをした。
「少し前に双子のexseedのガキに襲撃・・・ あれを襲撃と言ってもいいのか分からんが・・ とりあえず絡まれたんだが、お前の差し金か?」
「双子・・? ああ、確かフーカ=フードゥルヴェントとライカフードゥルヴェントだったか、あはは彼女達に会ったのかい? 残念だけどそれは僕はノータッチ、彼女達の母親の親友が機関から誘拐したって事しか知らなかったよ」
「結局アイツらもこの街に居付いている様だが
今の所大人しくしているみたいだからな、特に問題ではないか」
「仲良くしといて損は無いと思うよ、悪い子達じゃない、多分ね」
「ふん、気が向いたらな、後は以前話したサクラについては良くやってくれている」
「噂の死神ちゃんね、彼女も僕は無関係だけどなんだかんだで仲間が増えて良かったんじゃないかい?」
「凛々奈も気に入って仲良くやってるみたいだからな・・・ こっちから報告する事はそれ位で特に問題はないな」
窓の外ではゴロゴロと空に低い音が響いている。
「で、そっちは?」
「そうだね・・・ じゃあまず悪い知らせから、機関からの刺客が君たちの街に向かっている、これ以上足止め出来なかった、すまないね」
「いや、充分に時間をくれたよ、この件に関しては素直に礼を言う、ありがとう」
「神代唯牙に礼を言われるなんて光栄だよ、ただ君たちのいる家までは特定させないようにしたから、出歩く際は充分注意する様にしてくれ」
「分かった・・・ で、最悪の方は?」
「そっちに向かったのは・・・・・」
窓の外が激しく光り一瞬だけ部屋の中を明るく照らす。そして凄まじい雷鳴も鳴り響く。
「アーク=ラインハルト、機関から二人のexseedも連れてね」
その名を聞くと唯牙は空いていた手で頭を抱えてこれ迄に無い程に大きなため息をついた。
「・・・・確かか?」
「残念だけど、ね」
暫く沈黙が流れた後唯牙が口を開く。
「分かった、忠告ありがとう」
「うん、可能な限りサポートに回るよ、出来るか分からないが何か手を貸して欲しければ連絡してくれ」
「ああ」
唯牙は耳からスマートフォンを離して通話を切るとまた大きくため息をつく。
「さて、備えがいるな・・・ いろいろと」
窓から外を見るとまだこの街を痛めつける様な激しい雷雨が続いていた。
事務所の2階の凛々奈の部屋ではベッドの上にそんな轟音を気にもしないで気持ちよさそうに眠る凛々奈と彼女の腕と足に抱きつかれて寝苦しそうに眠るみいながいた。みいなが雷の音が怖かったらしく今夜は凛々奈に言って一緒に眠って貰っている。
1階の事務所内は明かりも点いておらず真っ暗で、時折光る雷の閃光だけが少し遅れてくる轟音と共に時折部屋の中を照らしている。激しい雨が打ち付ける窓に神代唯牙は体を預ける様にもたれ掛かり耳にスマートフォンを当てている。
「やあ、久しぶりだね」
スマートフォンから聞こえるのは男の声。
「ああ、連絡が無いからてっきり死んだと思ってたよ、ギルト」
無感情な瞳で窓の外を見つつ唯牙は電話の相手に答える。
「あはは、酷いなぁ 色々忙しくてね・・・・ とりあえずこちらからの要件は・・・ いや、先に何かあればそっちから聞こうか」
「あ?」
「悪い知らせと最悪な知らせがあるんだけど、先に聞くかい?」
チッ と唯牙は小さく舌打ちをした。
「少し前に双子のexseedのガキに襲撃・・・ あれを襲撃と言ってもいいのか分からんが・・ とりあえず絡まれたんだが、お前の差し金か?」
「双子・・? ああ、確かフーカ=フードゥルヴェントとライカフードゥルヴェントだったか、あはは彼女達に会ったのかい? 残念だけどそれは僕はノータッチ、彼女達の母親の親友が機関から誘拐したって事しか知らなかったよ」
「結局アイツらもこの街に居付いている様だが
今の所大人しくしているみたいだからな、特に問題ではないか」
「仲良くしといて損は無いと思うよ、悪い子達じゃない、多分ね」
「ふん、気が向いたらな、後は以前話したサクラについては良くやってくれている」
「噂の死神ちゃんね、彼女も僕は無関係だけどなんだかんだで仲間が増えて良かったんじゃないかい?」
「凛々奈も気に入って仲良くやってるみたいだからな・・・ こっちから報告する事はそれ位で特に問題はないな」
窓の外ではゴロゴロと空に低い音が響いている。
「で、そっちは?」
「そうだね・・・ じゃあまず悪い知らせから、機関からの刺客が君たちの街に向かっている、これ以上足止め出来なかった、すまないね」
「いや、充分に時間をくれたよ、この件に関しては素直に礼を言う、ありがとう」
「神代唯牙に礼を言われるなんて光栄だよ、ただ君たちのいる家までは特定させないようにしたから、出歩く際は充分注意する様にしてくれ」
「分かった・・・ で、最悪の方は?」
「そっちに向かったのは・・・・・」
窓の外が激しく光り一瞬だけ部屋の中を明るく照らす。そして凄まじい雷鳴も鳴り響く。
「アーク=ラインハルト、機関から二人のexseedも連れてね」
その名を聞くと唯牙は空いていた手で頭を抱えてこれ迄に無い程に大きなため息をついた。
「・・・・確かか?」
「残念だけど、ね」
暫く沈黙が流れた後唯牙が口を開く。
「分かった、忠告ありがとう」
「うん、可能な限りサポートに回るよ、出来るか分からないが何か手を貸して欲しければ連絡してくれ」
「ああ」
唯牙は耳からスマートフォンを離して通話を切るとまた大きくため息をつく。
「さて、備えがいるな・・・ いろいろと」
窓から外を見るとまだこの街を痛めつける様な激しい雷雨が続いていた。
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