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旦那様はご奉仕したい※R18
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「ただいま」
「おかえりなさい」
いつも通り帰宅すると、伊織は鞄を置いて真っ直ぐにキッチンへ向かった。
いつものように自室に篭らずにそばにいてくれる。ただそれだけのことが嬉しくて、珍しく嫌味を言われる前に自分から声をかけていた。
「今日はロールキャベツ作ってみた。伊織、昔好きだったよね」
「……よく覚えてたな」
「母の日に俺が一人で作って、不味すぎてみんなビックリしてたのよく覚えてる。でも伊織だけは美味しいって言って完食してくれたから、俺めちゃくちゃ嬉しかったんだよ」
幼い頃の伊織は少食で、どんなに美味しい料理でも一人前を食べきれないことがほとんどだった。
そんな伊織が初めて草太が作った手料理を完食してくれた。それだけでも嬉しいのに、両親ですら思わず顔を顰めた料理を前にして、心底からの笑顔で「美味しい」と言ってくれたのだ。
「その後伊織がお腹壊しちゃって、結局母さんと一緒に菓子折り持って謝りにいったの覚えてる?」
「……ああ」
苦しそうにベッドで丸くなる伊織を見て、幼い草太は堪えきれずに泣いてしまった。
昔から明るく元気で、転んでも「平気平気!」と笑っているような草太がボロボロと涙をこぼした。
それを見た伊織が、真っ青な顔のままモゾモゾとベッドから身を起こした。
「僕、そうちゃんのご飯が大好き。だからね、あのね、まっ、毎日、僕のためにお味噌汁を作ってくださぃ……っ」
ぎゅっと目を瞑って懸命に言い募った伊織の手は震えていた。
その様を見て、もの凄く具合が悪いのだと草太は勘違いした。
「いっちゃん大丈夫!? ごめんね俺がまずいご飯作っちゃったからっ。はい、お布団かぶってよく寝てね」
「…………」
「いっちゃん? どうしたの?」
「……違うもん」
「え、何が違うの?」
オロオロする草太に、伊織は意を決したように口を開いた。
「ぼ、僕の奥さんになってください……っ!!」
泣きそうな声で叫んだ言葉の意味が理解できず、草太はぽかんと口を開けた。
伊織がなぜこんなにも辛そうなのかもわからなくて、とにかく早く楽にしてあげたい一心でぽんぽんと掛け布団を叩いた。
「よしよしいっちゃん、大丈夫だよ。俺がそばにいるからね」
「っ、お返事は?」
「え? オクサンになるってやつ? オクサンってなに? 恐竜?」
「ううん、お嫁さんって意味だよ」
「お嫁さんになるとどうなるの?」
「お、同じ家に住んで、ずっと一緒にいるの」
「わかった! じゃあいっちゃんのお嫁さんになるよ」
伊織の言うことは難しくてわからないことが多かったけれど、この時はただひたすら伊織を安心させてあげたいという気持ちだけで答えた。
伊織はきっと、同じ家に住んでいつでも草太に看病してほしいのだ。
「いっちゃんのことは、俺が守ってあげるからね」
「……そうちゃん、大きくなったらもう一回、プロポーズするね」
「ぷろぽーず?」
「うん、プロポーズ……」
意味も分からずに承諾したことを察したらしく、伊織は熱に潤んだ目で微笑んだ。
そのまま深い眠りについてしまい、草太はプロポーズの意味を聞けずじまいだった。
(懐かしいなぁ。あの頃はまだ伊織は意地悪じゃなくて、むしろ俺に一番懐いてくれてたのにな)
いつから今のような関係になってしまったのか。嫌われてしまったキッカケは思い出せないが、伊織が荒れ始めた時期、彼の身の回りで不幸なことが立て続いたことは覚えている。
(守るって約束したのに、結局伊織のためになんにもしてあげられなかったな)
昔の伊織を思い出しているうちに、ロールキャベツがすっかり冷めてしまっていた。
温め直そうとスイッチに手を伸ばすと、背後から腕が伸びてきてそれを制された。
「……伊織? どうしたの?」
「悪い。でも少しだけ、こうさせて」
草太を抱き締める伊織の腕には、微かに力が込められていた。
振り払おうとすれば簡単にできるほどの力だ。けれどそれをする気にはなれなかった。
背中から伝わる温もりに、胸の奥がきゅうと締め付けられる。
「む、ムラムラしたなら、ご飯より先に、お、俺のこと食べる……?」
口にしてから、なんてバカなことを言ってしまったんだと後悔した。
グラマラスボディの美人や魅力的なフェロモンのオメガならまだしも、草太のようなちんちくりんに言われてもむしろ萎えるだけだ。
なおのこと伊織に愛想を尽かされてもおかしくない発言だった。
けれど、伊織は何も言わない。揶揄うことも悪態をつくこともせず、ぴくりと指先を跳ねさせただけだった。
「い、伊織……?」
「……」
怒らせてしまっただろうか。恐々と振り返ると、そこにあったのはいつもの不機嫌そうな表情ではなく、どこか寂しげな雰囲気を纏った男の顔だった。
「……アイツのために頑張ってんの?」
「え?」
ぼそりとつぶやかれた声は小さすぎて聞き取れなかった。
「なんでもない」
緩く首を振った伊織が首筋に唇を這わせた。
びくんっと身体を震わせる草太に構わず、伊織は耳の裏に鼻を押し付けてすんっと匂いを嗅いだ。
「甘い香りがする。シャワー浴びて準備してたんだ?」
「っ……ごめん」
「なんで謝んの?」
「やる気満々なの、気持ち悪いかなって」
「……そんなわけないだろ」
「ン……ふぅ、ん」
体を反転させられて、唇を食むようにしてキスをされた。
わずかに開いた隙間からぬるりと舌が入り込んできた。尖らせた舌先で口蓋を擦られるたび、甘えた声が鼻から漏れた。
「先に草太のこと食わせて」
「っ……うん」
熱を帯びた瞳に見下ろされ、体の芯が甘く疼いた。
無意識のうちに腿を開いた草太に覆い被さり、伊織が一つ一つ丁寧にシャツのボタンを外していく。
「ここ、前より膨らんで赤くなってるな」
胸の突起に触れながら伊織が口角を上げた。
「ぁ、ゃ、恥ずかしいから、あんまり見ないで」
「無理。もっとよく見せて」
「っ、ぁ、やぁ」
親指の腹でぐりぐりと押し潰されるたびに、そこからじくじくとした快感が生まれる。
腰が揺れそうになるのを必死に抑え込んでいると、伊織はおもむろにそこへ顔を近づけた。
「やっ、だめぇ!」
制止の声も聞かず、伊織が乳輪ごとぱくりと口に含んだ。
生温かい粘膜に包まれた瞬間、電流のようなピリピリとした甘い刺激が流れた。
「ン、やぁ、あ、んっ、吸っちゃ、だめっ、ああっ」
じゅるるるっと音を立てて吸い上げられ、もう片方は爪でカリカリと引っ掻かれる。
嫌々と首を振っても許されず、朝起きたばかりに先端の窪みに爪を立てられた。
ぐりぐりと抉られながら乳首を甘噛みされて、強すぎる快感に身悶えしていると、伊織がちゅぽんっと音を立てて口を離した。
唾液に濡れそぼり、真っ赤になったそこはツンと勃ち上がって存在を主張していた。
「すげぇエロいな」
「ン、やぁ、いわな、でぇ、んん」
唾液を纏わせた指でコリコリと揉みながら、伊織がもう片方の乳首に顔を寄せた。
何をしようとしているのか察した草太は慌てて身を捩ったが、それよりも早く伊織がそこに歯を立てた。
「ひあっ、あッ、ンぁ、噛んじゃ、だめ、ンンっ!」
「嘘つけよ。痛くされると嬉しそうにしてるじゃん」
「や、ちが、あぁ、ひっ、んん~!」
ぎりっと強く噛まれ、痛みを感じると同時に強い快感に苛まれる。
ぢんぢんと痺れるような感覚に身を震わせていると、今度は労わるように優しく舐められた。
飴と鞭のような緩急をつけた責め方に翻弄されているうちに、いつの間にかズボンと下着を脱がされていた。
「乳首だけでこんなになっちゃったんだ?」
カウパーによって濡れそぼった後孔をくちゅくちゅと撫でながら、伊織がくすりと笑った。
その言葉通り、草太の性器は完全に反り返ってふるふると震えており、今にも達してしまいそうなほど張り詰めていた。
「どっちでイキたい?」
「っ、くび……」
「ん?」
羞恥心を押し殺して答えたというのに、伊織は聞こえなかったかのように聞き返した。
「……乳首っ、いじめて、イカせてほしぃっ」
「ちゃんと言えて偉いな。いい子にはご褒美あげないと」
「んひっ、ああ、ン、やぁ、つよ、い、ンン~~っ」
じゅっと乳輪ごとキツく吸い上げられ、じゅぽじゅぽと音を立てながら窄めた唇で激しく扱かれた。
同時に反対側もきゅっと摘ままれて、鋭い快感にびくんっと背中がしなった。
「やら、もぉ、イッちゃう、イク、んん、ふぅぅ……!」
絶頂の予感にぶわりと肌が粟立った次の瞬間、草太は呆気なく射精していた。
勢いよく飛び出した精液が胸元まで飛び散った。
胸を鳴らす白濁を指で掬った伊織が、乳首に塗り広げるようにしてぬちゅぬちゅと乳頭を揉んだ。
「あっ、やぁ、んんっ、あ、それ、だめぇ」
「ダメじゃないだろ? ほら、また硬くなってきた」
「やっ、だって、あぁっ、ン、あぅ」
ぴんっと弾かれれば、芯を持った突起がぷるんと震えた。絶頂の余韻を残すそこを弄られ続けていると、じくじくとした疼きが止まらない。
もっと触ってほしい。もっと気持ちよくしてほしい。
そんな思いを込めてじっと見つめると、伊織は困ったように眉を下げて笑った。
「ん? してほしいことがあるならちゃんと言えよ。じゃなきゃわからないからさ」
草太が何を求めているかなんて全てお見通しで、わざと言わせようとしているのだ。
羞恥心と快感で顔を赤く染めながら、涙に潤んだ瞳で伊織を見上げた。
「ここ、触ってほしい……っ」
おずおずと足を開いて尻たぶを掴み、自ら孔を広げるようにしてねだった。
物欲しげにヒクつくそこは、淫液によってすでにぐしょ濡れになっている。
「もう我慢できない?」
「っ……」
こくりと小さく首を縦に振ると、満足げに口角を上げた伊織が指を差し入れた。
膨らんだ前立腺を指の腹でこりゅこりゅと撫でながら、空いた手でぎゅっと乳首をつねられた。
「ああぁ! いっしょにしちゃ、だめぇ……!! ンっ、ひぁっ、あ、あぁっ」
ぐちゅんっと二本の指を挿入され、同時に乳首を指の腹で押し潰された。期待に震えるもう片方の乳首もぱくんと口内に含まれて、じゅるるっと淫らな音を立てて激しく吸われた。
「アァっ、や、ンあっ、ンン~~っっ、だめっ、ああっ、~~ッッ」
三点を同時に責められて、あまりに強い快感に視界がチカチカとした。
身体中が性感帯になったみたいにどこもかしこも敏感になって、伊織の服に擦れるだけで甘い声が出てしまう。
(なんで、こんなに、っ)
おかしいぐらい感じてしまっている自分に困惑していると、不意に耳元で「考えごとなんて余裕だな」と囁かれた。
「ひぁ、んぅっ、ちが、やぁ、ん」
「他の奴のことなんか忘れさせてやるよ」
「ンッ、あ、あぁっ、やらぁ、ああン!」
乳首を強く引っ張られながらぐりゅっと指でナカを掻き回されて、目の前が真っ白になるほどの強烈な快感に襲われた。
「すげぇ締め付け。気持ちいい?」
「あ、あ、まって、いま、イッてる、イってる、からぁっ、あぁん、ン、~~~~っ!!」
「気持ちよくない?」
「ぎもぢ、きもちぃからぁっ、アァっ、ひっ、ンン~っっ、アァァア───!!」
休む間もなく立て続けに絶頂を与えられて、全身にびくびくと痙攣が走った。
「はは、指食い千切られそう」
「っ、ぁ、んん……」
ようやく責め苦のような快感から解放されると、草太は力なく床に倒れ伏した。
くたりと弛緩した体を伊織が抱き上げる。お姫様抱っこの状態で連れて行かれた先は夫夫の寝室だった。
「おかえりなさい」
いつも通り帰宅すると、伊織は鞄を置いて真っ直ぐにキッチンへ向かった。
いつものように自室に篭らずにそばにいてくれる。ただそれだけのことが嬉しくて、珍しく嫌味を言われる前に自分から声をかけていた。
「今日はロールキャベツ作ってみた。伊織、昔好きだったよね」
「……よく覚えてたな」
「母の日に俺が一人で作って、不味すぎてみんなビックリしてたのよく覚えてる。でも伊織だけは美味しいって言って完食してくれたから、俺めちゃくちゃ嬉しかったんだよ」
幼い頃の伊織は少食で、どんなに美味しい料理でも一人前を食べきれないことがほとんどだった。
そんな伊織が初めて草太が作った手料理を完食してくれた。それだけでも嬉しいのに、両親ですら思わず顔を顰めた料理を前にして、心底からの笑顔で「美味しい」と言ってくれたのだ。
「その後伊織がお腹壊しちゃって、結局母さんと一緒に菓子折り持って謝りにいったの覚えてる?」
「……ああ」
苦しそうにベッドで丸くなる伊織を見て、幼い草太は堪えきれずに泣いてしまった。
昔から明るく元気で、転んでも「平気平気!」と笑っているような草太がボロボロと涙をこぼした。
それを見た伊織が、真っ青な顔のままモゾモゾとベッドから身を起こした。
「僕、そうちゃんのご飯が大好き。だからね、あのね、まっ、毎日、僕のためにお味噌汁を作ってくださぃ……っ」
ぎゅっと目を瞑って懸命に言い募った伊織の手は震えていた。
その様を見て、もの凄く具合が悪いのだと草太は勘違いした。
「いっちゃん大丈夫!? ごめんね俺がまずいご飯作っちゃったからっ。はい、お布団かぶってよく寝てね」
「…………」
「いっちゃん? どうしたの?」
「……違うもん」
「え、何が違うの?」
オロオロする草太に、伊織は意を決したように口を開いた。
「ぼ、僕の奥さんになってください……っ!!」
泣きそうな声で叫んだ言葉の意味が理解できず、草太はぽかんと口を開けた。
伊織がなぜこんなにも辛そうなのかもわからなくて、とにかく早く楽にしてあげたい一心でぽんぽんと掛け布団を叩いた。
「よしよしいっちゃん、大丈夫だよ。俺がそばにいるからね」
「っ、お返事は?」
「え? オクサンになるってやつ? オクサンってなに? 恐竜?」
「ううん、お嫁さんって意味だよ」
「お嫁さんになるとどうなるの?」
「お、同じ家に住んで、ずっと一緒にいるの」
「わかった! じゃあいっちゃんのお嫁さんになるよ」
伊織の言うことは難しくてわからないことが多かったけれど、この時はただひたすら伊織を安心させてあげたいという気持ちだけで答えた。
伊織はきっと、同じ家に住んでいつでも草太に看病してほしいのだ。
「いっちゃんのことは、俺が守ってあげるからね」
「……そうちゃん、大きくなったらもう一回、プロポーズするね」
「ぷろぽーず?」
「うん、プロポーズ……」
意味も分からずに承諾したことを察したらしく、伊織は熱に潤んだ目で微笑んだ。
そのまま深い眠りについてしまい、草太はプロポーズの意味を聞けずじまいだった。
(懐かしいなぁ。あの頃はまだ伊織は意地悪じゃなくて、むしろ俺に一番懐いてくれてたのにな)
いつから今のような関係になってしまったのか。嫌われてしまったキッカケは思い出せないが、伊織が荒れ始めた時期、彼の身の回りで不幸なことが立て続いたことは覚えている。
(守るって約束したのに、結局伊織のためになんにもしてあげられなかったな)
昔の伊織を思い出しているうちに、ロールキャベツがすっかり冷めてしまっていた。
温め直そうとスイッチに手を伸ばすと、背後から腕が伸びてきてそれを制された。
「……伊織? どうしたの?」
「悪い。でも少しだけ、こうさせて」
草太を抱き締める伊織の腕には、微かに力が込められていた。
振り払おうとすれば簡単にできるほどの力だ。けれどそれをする気にはなれなかった。
背中から伝わる温もりに、胸の奥がきゅうと締め付けられる。
「む、ムラムラしたなら、ご飯より先に、お、俺のこと食べる……?」
口にしてから、なんてバカなことを言ってしまったんだと後悔した。
グラマラスボディの美人や魅力的なフェロモンのオメガならまだしも、草太のようなちんちくりんに言われてもむしろ萎えるだけだ。
なおのこと伊織に愛想を尽かされてもおかしくない発言だった。
けれど、伊織は何も言わない。揶揄うことも悪態をつくこともせず、ぴくりと指先を跳ねさせただけだった。
「い、伊織……?」
「……」
怒らせてしまっただろうか。恐々と振り返ると、そこにあったのはいつもの不機嫌そうな表情ではなく、どこか寂しげな雰囲気を纏った男の顔だった。
「……アイツのために頑張ってんの?」
「え?」
ぼそりとつぶやかれた声は小さすぎて聞き取れなかった。
「なんでもない」
緩く首を振った伊織が首筋に唇を這わせた。
びくんっと身体を震わせる草太に構わず、伊織は耳の裏に鼻を押し付けてすんっと匂いを嗅いだ。
「甘い香りがする。シャワー浴びて準備してたんだ?」
「っ……ごめん」
「なんで謝んの?」
「やる気満々なの、気持ち悪いかなって」
「……そんなわけないだろ」
「ン……ふぅ、ん」
体を反転させられて、唇を食むようにしてキスをされた。
わずかに開いた隙間からぬるりと舌が入り込んできた。尖らせた舌先で口蓋を擦られるたび、甘えた声が鼻から漏れた。
「先に草太のこと食わせて」
「っ……うん」
熱を帯びた瞳に見下ろされ、体の芯が甘く疼いた。
無意識のうちに腿を開いた草太に覆い被さり、伊織が一つ一つ丁寧にシャツのボタンを外していく。
「ここ、前より膨らんで赤くなってるな」
胸の突起に触れながら伊織が口角を上げた。
「ぁ、ゃ、恥ずかしいから、あんまり見ないで」
「無理。もっとよく見せて」
「っ、ぁ、やぁ」
親指の腹でぐりぐりと押し潰されるたびに、そこからじくじくとした快感が生まれる。
腰が揺れそうになるのを必死に抑え込んでいると、伊織はおもむろにそこへ顔を近づけた。
「やっ、だめぇ!」
制止の声も聞かず、伊織が乳輪ごとぱくりと口に含んだ。
生温かい粘膜に包まれた瞬間、電流のようなピリピリとした甘い刺激が流れた。
「ン、やぁ、あ、んっ、吸っちゃ、だめっ、ああっ」
じゅるるるっと音を立てて吸い上げられ、もう片方は爪でカリカリと引っ掻かれる。
嫌々と首を振っても許されず、朝起きたばかりに先端の窪みに爪を立てられた。
ぐりぐりと抉られながら乳首を甘噛みされて、強すぎる快感に身悶えしていると、伊織がちゅぽんっと音を立てて口を離した。
唾液に濡れそぼり、真っ赤になったそこはツンと勃ち上がって存在を主張していた。
「すげぇエロいな」
「ン、やぁ、いわな、でぇ、んん」
唾液を纏わせた指でコリコリと揉みながら、伊織がもう片方の乳首に顔を寄せた。
何をしようとしているのか察した草太は慌てて身を捩ったが、それよりも早く伊織がそこに歯を立てた。
「ひあっ、あッ、ンぁ、噛んじゃ、だめ、ンンっ!」
「嘘つけよ。痛くされると嬉しそうにしてるじゃん」
「や、ちが、あぁ、ひっ、んん~!」
ぎりっと強く噛まれ、痛みを感じると同時に強い快感に苛まれる。
ぢんぢんと痺れるような感覚に身を震わせていると、今度は労わるように優しく舐められた。
飴と鞭のような緩急をつけた責め方に翻弄されているうちに、いつの間にかズボンと下着を脱がされていた。
「乳首だけでこんなになっちゃったんだ?」
カウパーによって濡れそぼった後孔をくちゅくちゅと撫でながら、伊織がくすりと笑った。
その言葉通り、草太の性器は完全に反り返ってふるふると震えており、今にも達してしまいそうなほど張り詰めていた。
「どっちでイキたい?」
「っ、くび……」
「ん?」
羞恥心を押し殺して答えたというのに、伊織は聞こえなかったかのように聞き返した。
「……乳首っ、いじめて、イカせてほしぃっ」
「ちゃんと言えて偉いな。いい子にはご褒美あげないと」
「んひっ、ああ、ン、やぁ、つよ、い、ンン~~っ」
じゅっと乳輪ごとキツく吸い上げられ、じゅぽじゅぽと音を立てながら窄めた唇で激しく扱かれた。
同時に反対側もきゅっと摘ままれて、鋭い快感にびくんっと背中がしなった。
「やら、もぉ、イッちゃう、イク、んん、ふぅぅ……!」
絶頂の予感にぶわりと肌が粟立った次の瞬間、草太は呆気なく射精していた。
勢いよく飛び出した精液が胸元まで飛び散った。
胸を鳴らす白濁を指で掬った伊織が、乳首に塗り広げるようにしてぬちゅぬちゅと乳頭を揉んだ。
「あっ、やぁ、んんっ、あ、それ、だめぇ」
「ダメじゃないだろ? ほら、また硬くなってきた」
「やっ、だって、あぁっ、ン、あぅ」
ぴんっと弾かれれば、芯を持った突起がぷるんと震えた。絶頂の余韻を残すそこを弄られ続けていると、じくじくとした疼きが止まらない。
もっと触ってほしい。もっと気持ちよくしてほしい。
そんな思いを込めてじっと見つめると、伊織は困ったように眉を下げて笑った。
「ん? してほしいことがあるならちゃんと言えよ。じゃなきゃわからないからさ」
草太が何を求めているかなんて全てお見通しで、わざと言わせようとしているのだ。
羞恥心と快感で顔を赤く染めながら、涙に潤んだ瞳で伊織を見上げた。
「ここ、触ってほしい……っ」
おずおずと足を開いて尻たぶを掴み、自ら孔を広げるようにしてねだった。
物欲しげにヒクつくそこは、淫液によってすでにぐしょ濡れになっている。
「もう我慢できない?」
「っ……」
こくりと小さく首を縦に振ると、満足げに口角を上げた伊織が指を差し入れた。
膨らんだ前立腺を指の腹でこりゅこりゅと撫でながら、空いた手でぎゅっと乳首をつねられた。
「ああぁ! いっしょにしちゃ、だめぇ……!! ンっ、ひぁっ、あ、あぁっ」
ぐちゅんっと二本の指を挿入され、同時に乳首を指の腹で押し潰された。期待に震えるもう片方の乳首もぱくんと口内に含まれて、じゅるるっと淫らな音を立てて激しく吸われた。
「アァっ、や、ンあっ、ンン~~っっ、だめっ、ああっ、~~ッッ」
三点を同時に責められて、あまりに強い快感に視界がチカチカとした。
身体中が性感帯になったみたいにどこもかしこも敏感になって、伊織の服に擦れるだけで甘い声が出てしまう。
(なんで、こんなに、っ)
おかしいぐらい感じてしまっている自分に困惑していると、不意に耳元で「考えごとなんて余裕だな」と囁かれた。
「ひぁ、んぅっ、ちが、やぁ、ん」
「他の奴のことなんか忘れさせてやるよ」
「ンッ、あ、あぁっ、やらぁ、ああン!」
乳首を強く引っ張られながらぐりゅっと指でナカを掻き回されて、目の前が真っ白になるほどの強烈な快感に襲われた。
「すげぇ締め付け。気持ちいい?」
「あ、あ、まって、いま、イッてる、イってる、からぁっ、あぁん、ン、~~~~っ!!」
「気持ちよくない?」
「ぎもぢ、きもちぃからぁっ、アァっ、ひっ、ンン~っっ、アァァア───!!」
休む間もなく立て続けに絶頂を与えられて、全身にびくびくと痙攣が走った。
「はは、指食い千切られそう」
「っ、ぁ、んん……」
ようやく責め苦のような快感から解放されると、草太は力なく床に倒れ伏した。
くたりと弛緩した体を伊織が抱き上げる。お姫様抱っこの状態で連れて行かれた先は夫夫の寝室だった。
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