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しおりを挟む俺はふと思いついた事がある。
異世界に来て自分の基礎体値はどうなっているのだろうか・・・と。
そもそも基礎体値とは簡単な話皆んなもご存知、RPGゲームや仮想世界でよく見かける【Level】・【HP】【STR】・【DEF】・【MAT】・【AGL】【LUC】・【CHA】
総称statusという英語で表記された文字をゲーム内で見かけた事は無いだろうか。
statusとは己の強さを図るための自己表記システムだ。
勇者たる者魔王を討伐するにはまず勇者自身の育成、レベル上げから始まる。
初期段階は雑魚キャラを永遠と狩り続ける毎日。さらに強くなれば厳しい運営からの鬼畜クエスト、回避不可避の攻撃を持つ中ボスモンスター、制限クエストなどなど。
数々の困難試練を乗り越えた先に魔王との戦いが待っている。
つまりステータスは己の強さを確認する為に必要なシステムなのだ。
だが自分の目に見えるのはリリィ、ギルさん、部屋の装飾品、どれも触れるものばかりだ。
RPGで見た画面右上に出てくる設定やアニメの仮想空間でみた浮かぶステータスは一切存在しない。
疑問を抱いた俺は
「リリィ、俺のステータスって何処で確認するの?」
「俺? ? 」
「え? 」
「え!? いや私!私のステータス知らないかな! ? 」
すっかり女である事を忘れていた俺はすぐさま一人称を"私"に変更した。
「(あぶねぇ・・・思わず本性が出かけてた。)」
気を抜いたらすぐ俺が男だってバレそうだから以後気を引き締めよう。
頭にはてなマークを浮べてそうな感じで首を斜めに曲げ不思議そうにしていたリリィだがすぐさま何か納得した様に手をポンッと叩く。
「リーフィア様は記憶を失っていて分からないんですよね。えっとですねステータスを見るには・・・ 」
彼女は淡々と基礎体値について説明を始める。
「(ごめんリリィ、騙しているのは悪いと思ってるんだ。) 」
記憶喪失では無く中の人物自体そのものが変わってしまっている。
しかし記憶喪失の"何もかも忘れている"設定の壁のおかげで情報を手に入れる事が出来たのは事実だ。
「リーフィア様、手を出して下さい。」
俺は言われるがままに右手を差し出す。
「では指を指す形にして下さい。後は下にスライドする感じで指を振ればステータスが出現しますよ。」
人差し指を作り、上から下へ何もない空気を切る。
突如何もなかった空間から文字の書かれた半透明で浮遊する"アレ"が出現した。
《これが俺のステータス』
《名前》ペンドラヌス・アルフ・リーフィア
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈種族〉亜人
〈性別〉♀
〈魔法属性〉光属性〈副〉水属性
〈武器〉レイジス・シャイ・フォルテス
〈所持金〉$99999999
〈所持品〉なし
《加護》精霊の加護・雷神の加護・女神の加護
【Level(レベル)】255
【HP(体力)】3900
【STR(攻撃力)】1230
【DEF(防御力)】2700
【MAT(魔法攻撃)】9999
【MDE(魔法防御)】8020
【AGL(素早さ)】4090
【CHA(魅力)】9999
【LUC(運)】1
【HLUC(エロ運)】99
〈スキル一覧〉
ーーーーーーーーーーーーーー
『カンストしてる。』
もう驚きはしない、想像はついていた。
しかし堕天使の無茶振り様には段々と慣れた頃だが流石にこの嫌がらせは腹が立って仕方がない。
「(異世界ライフって皆んなそうなの? 来た時から無敵チート持ってたりするものなの?
ある目つきの悪い少年は死んでゼロからリ◯タートするわ眼帯をつけた少し痛い中二的女子は杖を向け一撃必殺のエクス◯ローション! ! ! するわ・・・ってそうじゃないだろおおおおお!基本はLevel1からをコツコツ上げて仲間と一緒に冒険して魔王倒す所に意味あるだろ! それと運が1しかないの酷くない! ?しかも下の"エロ運"99って何! ? 俺女になってるから意味が無いんだけども!)」
ツッコミどころ満載なステータスにぐぬぬと頭を搔きむしり頭を抱える、我ながらあっぱれよ堕天使。
「姉上、いきなり頭を抱えたりしてどうしたというのですか?」
朝の自主練を終えたのか、装備を身につけたまま屋敷に帰って来た巨乳美女妹。
首筋から滴る汗やかなり激しい運動をしたのか荒い吐息混じりで妙にエロかった。
「(べ、別に性的欲求云々はナイナイ ! ! ! )」
高速で頭を振り自分に言い聞かせる。
妹について考えているとある疑問が浮かび上がった。
『(名前って何だっけ?)』
「(そいえばまだ名前も聞いてなったな。異世界だから名前も変わっているのか?
だがあの堕天使の事だ、名前だけ現実から持って来ちゃったテヘペロ状態も無いに悪しからず。この際だし何か理由でもつけて妹のステータスも見してもらって確認するか。)」
決意が固まりなるべく姉口調をを装い妹に問う。
「ねぇ貴方のステータス見してくれない? 」
「私のですか? 分かりました、ちょっと待って下さいね。 」
すぐさま右手を前に出し人差し指を作り上から下に振ると半透明で黒色のステータス表記が表示された。
表記は人によって色や形が異なっているらしい。
しかし、ステータス共にカンストしていると思うが妹の格好を見る限り騎士か剣士の類いだろうか。上半身は見るからに落とそうな甲冑で覆われ腰には何やら刀を所持している。
俺は悪い予感がどうか当たらぬ事を願いながらステータスに目をやる。
『こ・・・これは』
名前ペンドラヌス・アルフ・マリア
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈種族〉亜人
〈性別〉♀
〈魔法属性〉火属性〈副〉闇属性
〈武器〉斬鉄剣・孤月
〈所持金〉$99999999
〈所持品〉なし
《加護》霊王の加護・ラーの加護・魔女の加護
【Level(レベル)】255
【HP(体力)】3700
【STR(攻撃力)】9999
【DEF(防御力)】5620
【MAT(魔法攻撃)】760
【MDE(魔法防御)】210
【AGL(素早さ)】5000
【CHA(魅力)】8700
【LUC(運)】99
【HLUC(エロ運)】1
ーーーーーーーーーーーーー
『完全に脳筋じゃねェかぁああああ!』
「いや嫌な予想はしていたけども! MATとMDE無さすぎだろ、3桁って使い物にならないレベルでは!? )」
やられたと見事に堕天使に一本取られた所で
廊下から何やら甲冑や剣を装備した男達がゾクゾクと此方に向かってくる。
目の前までやってくると"一人"を除いて他の
者は皆俺達に跪坐く。
「(なんだ? 何が起きてるんだ・・・? )」
呆然と立ち尽くす俺達に男達の集団の先頭に立つ一人の"青年"が声を発した。
「マリア様、稽古中に抜け出しては困ります、早く戻りましょう。」
凛とした佇み、透き通る様な美声、煌びやかに輝く黄金の髪色、そして人間離れした美しい顔立ち。
間違いなく現実世界に居たらモテるタイプでそして俺がもっとも苦手とするタイプだ。
この非の打ち所がないイケメンに嫉妬をしながらもよこに居たマリアは確かにそう言った。
これは聞き間違いなどではない、真実だ。
『今戻ります、リューク王子。』
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