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第24章 クリスマスとコミケと試験勉強
クリスマスとコミケと試験勉強⑤
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『て感じでさ。もうコスプレ広場行ったら大盛り上がり。カメラに囲まれちゃってさ』
みずほから興奮気味のメッセージが飛んできたのは、その日の夜のことだった。年末特番をテレビで流しながら、さくらは返信する。
『そんなにヤバかったん?』
『ヤバいも何もメー〇ルそのものだったんだよ。ほら、見てみ?』
写真が送られてくる。コスプレをしたひばりとみずほの2ショット写真だった。
『ね? メー〇ルでしょ?』
『マジでメー〇ルじゃん。これウィッグとかしてないんだろ?』
『そう! 服装以外全部素なの! ヤバいよね!』
『ひばりは元が良いからな』
『それそれ。本当ひばりって美人さんだよね。羨ましいなぁ』
送られてきた写真をタップする。画面いっぱいに拡大された1枚を改めて眺めてみた。
なるほど、キャラクターの服装を身にまとったひばりは、メー〇ルそのものであった。衣装を着ただけでここまで再現性が高いのも珍しいと思った。コスプレには詳しくないが、ウィッグやらメイクやら手間がかかりそうなイメージは、さくら自身も抱いていた。
確かにひばりはすごい。が、それよりもさくらの目を引いたのは、隣に写る幼馴染みの姿だった。
満面の笑みはともかくとして、嬉しさが全身からあふれ出ているように見えた。幸せそうなオーラがあふれかえっているのだ。まるで乗り鉄中にレア車両に当たったときのような幸福感。至上の喜びがみずほの身体中から滲み出ているのだ。
先ほどから、メッセージも間髪入れずに送られてくる。そのほとんどがひばりを礼賛する言葉だった。まるで自分のことのように、誇らしげにひばりを語っている。一方的に自慢を聞かされているような気分だった。
モヤッと、黒いものが胸の奥に溜まっていく。それはここ最近、彼女の胸中にこびりついて離れない感覚だった。
「私といるより楽しそうじゃん、みずほ……」
こぼれ落ちる言葉はしかし、誰にも聞こえない。
「なんでだよ……ちくしょう……」
それは年を越えても募り続けるだけであった。
みずほから興奮気味のメッセージが飛んできたのは、その日の夜のことだった。年末特番をテレビで流しながら、さくらは返信する。
『そんなにヤバかったん?』
『ヤバいも何もメー〇ルそのものだったんだよ。ほら、見てみ?』
写真が送られてくる。コスプレをしたひばりとみずほの2ショット写真だった。
『ね? メー〇ルでしょ?』
『マジでメー〇ルじゃん。これウィッグとかしてないんだろ?』
『そう! 服装以外全部素なの! ヤバいよね!』
『ひばりは元が良いからな』
『それそれ。本当ひばりって美人さんだよね。羨ましいなぁ』
送られてきた写真をタップする。画面いっぱいに拡大された1枚を改めて眺めてみた。
なるほど、キャラクターの服装を身にまとったひばりは、メー〇ルそのものであった。衣装を着ただけでここまで再現性が高いのも珍しいと思った。コスプレには詳しくないが、ウィッグやらメイクやら手間がかかりそうなイメージは、さくら自身も抱いていた。
確かにひばりはすごい。が、それよりもさくらの目を引いたのは、隣に写る幼馴染みの姿だった。
満面の笑みはともかくとして、嬉しさが全身からあふれ出ているように見えた。幸せそうなオーラがあふれかえっているのだ。まるで乗り鉄中にレア車両に当たったときのような幸福感。至上の喜びがみずほの身体中から滲み出ているのだ。
先ほどから、メッセージも間髪入れずに送られてくる。そのほとんどがひばりを礼賛する言葉だった。まるで自分のことのように、誇らしげにひばりを語っている。一方的に自慢を聞かされているような気分だった。
モヤッと、黒いものが胸の奥に溜まっていく。それはここ最近、彼女の胸中にこびりついて離れない感覚だった。
「私といるより楽しそうじゃん、みずほ……」
こぼれ落ちる言葉はしかし、誰にも聞こえない。
「なんでだよ……ちくしょう……」
それは年を越えても募り続けるだけであった。
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