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第16章 みずほの乗り鉄講座 at 銚子電鉄
みずほの乗り鉄講座④
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犬吠埼灯台から下りた私たちは、近くにあった飲食店で昼食をとることにした。銚子まで来たら海の幸だよねということで、揃って海鮮物を注文。生魚はあまり食べないというひばりでも、目を輝かせるほどの美味しさだった。流石、日本随一の水揚げ量を誇る銚子だ。満足である。
犬吠駅へと戻り、やや時間があるということで駅舎内のお土産屋へ寄ることにした。
ラインナップは様々だ。海産物の加工品や、千葉県の名産品・落花生を使った製品。銚子電鉄のグッズも取りそろえている。
そして何より、銚子電鉄の看板とも言えるぬれせんべい。一口にぬれせんべいといっても、味がいくつかあるようだ。醤油1つとっても味の違いは様々あるし、ぬれせんべいにバリエーションが生まれるのも当然といえば当然なのだろう。
「どれが一番良いかしらね」
並べられたぬれせんべいの列を、ひばりは熱心に眺め続けた。どの味にしようか迷っているのだろうか。確かに全部買うとかさばっちゃうもんね。
「詰め合わせみたいなのはないの?」
「無いみたいなのよ」
なるほど、これは確かに悩みどころだ。
パッケージの色は3つ。つまり、味も3つあるということだ。濃口、薄口、甘口の3種類。どれが口に合うか、実際に食べてみないとわからない部分もある。
「あっ、そうだ」
ふと、妙案が浮かんだ。ぽんぽんとひばりの肩を叩く。
「3人いるんだからさ、1種類ずつ買おうよ」
1種類ずつ買って、3人で1袋ずつ持ち運べば良い。こうすれば、ひばりだけ荷物がかさむ必要はないはずだ。
「そうね。グッドアイデアだわ」
後で食べ合って、自分の好みの物を持ち帰れば良い。被ったら……そのときはじゃんけんかな。
「さくらも、それで良いよね?」
そう言って振り返ると、さくらの姿がどこにもなかった。
「あれ? あいつ、どこ行った?」
まさかと思って窓口を見やると、案の定と言うべきか、幼馴染みの姿があった。さてはあいつ、また切符買ってるな? 銚子電鉄は硬券なのだ。
後で代金だけ請求しよう。そう決めて、1種類ずつ手に取った。
「さくらさんに話さなくて良いの?」
「いいのいいの。後で文句言ったって、聞いてないのが悪いんだから」
それに、彼女なら私の提案に絶対乗ってくるはずだ。その確信があるから、わざわざ話を通さなくても良いのだ。
「信頼してるのね。さくらさんのこと」
「まあ、一応ね」
さくらとは幼馴染みだから。彼女の考えは大体予想できる。それは恐らく、さくらも同じだろうけど。
「羨ましいわ。さくらさんのようなご友人がいて」
「あはは、そうかな」
改めて言われるとこそばゆい。むずむずする体を落ち着けるように、私はレジへと向かうのだった。
犬吠駅へと戻り、やや時間があるということで駅舎内のお土産屋へ寄ることにした。
ラインナップは様々だ。海産物の加工品や、千葉県の名産品・落花生を使った製品。銚子電鉄のグッズも取りそろえている。
そして何より、銚子電鉄の看板とも言えるぬれせんべい。一口にぬれせんべいといっても、味がいくつかあるようだ。醤油1つとっても味の違いは様々あるし、ぬれせんべいにバリエーションが生まれるのも当然といえば当然なのだろう。
「どれが一番良いかしらね」
並べられたぬれせんべいの列を、ひばりは熱心に眺め続けた。どの味にしようか迷っているのだろうか。確かに全部買うとかさばっちゃうもんね。
「詰め合わせみたいなのはないの?」
「無いみたいなのよ」
なるほど、これは確かに悩みどころだ。
パッケージの色は3つ。つまり、味も3つあるということだ。濃口、薄口、甘口の3種類。どれが口に合うか、実際に食べてみないとわからない部分もある。
「あっ、そうだ」
ふと、妙案が浮かんだ。ぽんぽんとひばりの肩を叩く。
「3人いるんだからさ、1種類ずつ買おうよ」
1種類ずつ買って、3人で1袋ずつ持ち運べば良い。こうすれば、ひばりだけ荷物がかさむ必要はないはずだ。
「そうね。グッドアイデアだわ」
後で食べ合って、自分の好みの物を持ち帰れば良い。被ったら……そのときはじゃんけんかな。
「さくらも、それで良いよね?」
そう言って振り返ると、さくらの姿がどこにもなかった。
「あれ? あいつ、どこ行った?」
まさかと思って窓口を見やると、案の定と言うべきか、幼馴染みの姿があった。さてはあいつ、また切符買ってるな? 銚子電鉄は硬券なのだ。
後で代金だけ請求しよう。そう決めて、1種類ずつ手に取った。
「さくらさんに話さなくて良いの?」
「いいのいいの。後で文句言ったって、聞いてないのが悪いんだから」
それに、彼女なら私の提案に絶対乗ってくるはずだ。その確信があるから、わざわざ話を通さなくても良いのだ。
「信頼してるのね。さくらさんのこと」
「まあ、一応ね」
さくらとは幼馴染みだから。彼女の考えは大体予想できる。それは恐らく、さくらも同じだろうけど。
「羨ましいわ。さくらさんのようなご友人がいて」
「あはは、そうかな」
改めて言われるとこそばゆい。むずむずする体を落ち着けるように、私はレジへと向かうのだった。
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