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第16章 みずほの乗り鉄講座 at 銚子電鉄
みずほの乗り鉄講座①
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友人が1人増えた。名前は青葉=スランヴァイルプール=ひばり。学科は違うけど、同じ文学部所属の1年生で、青葉グループという世界的に有名なお菓子メーカーのお嬢様。そして、何といっても鉄道写真の腕前がピカイチの撮り鉄ちゃんだ。
おばあちゃんがイギリス人のクォーターだという彼女は、絹のような美しいブロンズヘアーがトレンドマーク。肌も白くてきめ細かいし、手足も長いし、誰もが目を奪われるほどの美少女だ。そんな子が鉄道好きだなんて、ギャップが素晴らしい。運命のイタズラに感謝したいほどだ。
「それじゃあ、私はサークルの方に顔出してくるわ」
その日も空きコマを利用して、私、さくら、ひばりの3人で集まっていた。
やることなんて、鉄道ネタを中心にただただ駄弁るだけなんだけど、その時間が最高に楽しくて仕方がない。
だけど、何事もタイムリミットはあるもので。ひばりは写真サークルに所属しているから、そちらにも時間を割かなければならないのだ。
「うん、バイバーイ。またね」
去りゆく彼女の背中に大きく手を振って見送る。そして、その姿が完全に見えなくなったところで
「はぁ……」
私は恍惚のため息を吐いて、さくらにもたれかかった。
「ヤバい。尊すぎる。何あれ、同じ人間? 天使でしょ。いや、女神でしょ。ヤバい、尊いわぁ~。なんで私一緒に話せてるんだろ? 奇跡? 奇跡かな、これ」
「キモっ」
まるでゴミを見るような目つきだ。ひどすぎる。
「さくらにはわかんないの? あんなに綺麗で、しかも鉄道写真が上手い子と友達なんて、奇跡以外の何物でもないでしょ?」
「最初あんだけ嫌がってたくせに、何言ってんだよ」
それは過去の話だから良いの。確かに、最初は私もひばりのことウザがってけどさ。でも、そういうわだかまりはもう解消されたんだ。いつまでも蒸し返さないでほしい。
「ていうかさ、お前あれ話したの?」
呆れたような表情で尋ねてくる。
「あれって?」
「お前が言い出したことだろ。忘れんなよ」
何だっけ? ひばりがあまりにも神々しすぎて忘れた。
「こないだのお礼に、どっか連れてってやるんだって言ってたろ? その話してるか? ひばりのスケジュールわからないと予定組めねえだろ」
……そうだ、思い出した。先日の烏山線撮り鉄旅のお礼に、今度はひばりを乗り鉄旅に招待するんだって言ってたんだ。そして、その計画をまだひばりに一言たりとも話していないことを今思い出した。
「ヤバい! 私言ってない!」
「だと思った……」
呆れてる場合か。ひばり。ひばり探さなきゃ。どこ行ったの、あの子。そうだ、サークルだ。サークルに顔出すって言ってた。ていうことは、サークル棟だ。
「追いかけなきゃ!」
言うが早いか飛び出そうとして。ふと、重大な事実に気付いた。
「サークル棟ってどこ?」
その瞬間の、さくらの呆れて天を見上げた姿といったら、まるで漫画のワンシーンのようだった。
「メールでもメッセージアプリでも何でも送りゃ良いだろ」
「あっ、そっか」
おばあちゃんがイギリス人のクォーターだという彼女は、絹のような美しいブロンズヘアーがトレンドマーク。肌も白くてきめ細かいし、手足も長いし、誰もが目を奪われるほどの美少女だ。そんな子が鉄道好きだなんて、ギャップが素晴らしい。運命のイタズラに感謝したいほどだ。
「それじゃあ、私はサークルの方に顔出してくるわ」
その日も空きコマを利用して、私、さくら、ひばりの3人で集まっていた。
やることなんて、鉄道ネタを中心にただただ駄弁るだけなんだけど、その時間が最高に楽しくて仕方がない。
だけど、何事もタイムリミットはあるもので。ひばりは写真サークルに所属しているから、そちらにも時間を割かなければならないのだ。
「うん、バイバーイ。またね」
去りゆく彼女の背中に大きく手を振って見送る。そして、その姿が完全に見えなくなったところで
「はぁ……」
私は恍惚のため息を吐いて、さくらにもたれかかった。
「ヤバい。尊すぎる。何あれ、同じ人間? 天使でしょ。いや、女神でしょ。ヤバい、尊いわぁ~。なんで私一緒に話せてるんだろ? 奇跡? 奇跡かな、これ」
「キモっ」
まるでゴミを見るような目つきだ。ひどすぎる。
「さくらにはわかんないの? あんなに綺麗で、しかも鉄道写真が上手い子と友達なんて、奇跡以外の何物でもないでしょ?」
「最初あんだけ嫌がってたくせに、何言ってんだよ」
それは過去の話だから良いの。確かに、最初は私もひばりのことウザがってけどさ。でも、そういうわだかまりはもう解消されたんだ。いつまでも蒸し返さないでほしい。
「ていうかさ、お前あれ話したの?」
呆れたような表情で尋ねてくる。
「あれって?」
「お前が言い出したことだろ。忘れんなよ」
何だっけ? ひばりがあまりにも神々しすぎて忘れた。
「こないだのお礼に、どっか連れてってやるんだって言ってたろ? その話してるか? ひばりのスケジュールわからないと予定組めねえだろ」
……そうだ、思い出した。先日の烏山線撮り鉄旅のお礼に、今度はひばりを乗り鉄旅に招待するんだって言ってたんだ。そして、その計画をまだひばりに一言たりとも話していないことを今思い出した。
「ヤバい! 私言ってない!」
「だと思った……」
呆れてる場合か。ひばり。ひばり探さなきゃ。どこ行ったの、あの子。そうだ、サークルだ。サークルに顔出すって言ってた。ていうことは、サークル棟だ。
「追いかけなきゃ!」
言うが早いか飛び出そうとして。ふと、重大な事実に気付いた。
「サークル棟ってどこ?」
その瞬間の、さくらの呆れて天を見上げた姿といったら、まるで漫画のワンシーンのようだった。
「メールでもメッセージアプリでも何でも送りゃ良いだろ」
「あっ、そっか」
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