8 / 184
第2章 友と2人で at 上信電鉄上信線
友と2人で②
しおりを挟む
大宮駅から高崎線に乗ること1時間20分。私とさくらは終点の高崎駅に降り立った。群馬県の経済の中心地である高崎市を代表する巨大ターミナル駅。上越新幹線と北陸新幹線の分岐点でもある高崎駅は、県内で最も利用者が多いという。
「おおー。やっぱ高崎はデカいな」
JRの改札を出た途端、さくらがそう言った。その感想には半分同意する。もう半分はというと、大宮駅と比べると中央通路が狭いなという感想だった。
だけど、人は多い。大宮と匹敵するくらいかもしれない。さっきから私たちの目の前をひっきりなしに人の群れが動いている。商業施設も充実ぶりが手に取るようにわかった。
「そういえば、さくら疲れてない?」
彼女は横浜から高崎線に直通する列車に乗ってきたのだ。私より1時間以上長く乗っているのは間違いない。グリーン車にでも乗れば良いのに、わざわざボックスシートで私を待っていたのだから驚いた。
「ん? 別に大丈夫だよ。乗るのは慣れてるだろ? 私ら」
言われてみれば確かにその通りだ。乗ってるだけで1日が終わるなんてこともざらじゃないのが鉄道オタクの日常だ。
「まっ、でも少し肩は凝ったかな」
うーんと背伸びする。それに合わせて服の上から胸の形が強調された。あれ? 思ったより大きいな、というのが率直な感想だった。こんなに大きかったっけ? 引っ越してから成長したのかな?
「どした?」
「えっ!? ううん、なんでもない」
危ない。胸元を凝視してたのがバレるところだった。
「よ、よし! 気を取り直して行こっか!」
私は煩悩を振り払うように歩み始めた。いや、そもそも煩悩って何よ。別にいやらしいことは何も考えてませんけど?
私たちは一路西口方面へと向かった。ペデストリアンデッキに繋がる出口の手前で階段を降りる。降りてすぐに左に曲がるとフェンス越しにJRのホームにあたる。そこを右折して後は道なりに。すると、とある路線の改札口が見えてくるのだ。
「ここかー」
さくらが感慨深そうに呟いた。私も息が漏れてしまいそうなくらい静かな昂ぶりを見せた。何しろ自動改札機が存在しない。金属製とはいえちゃんと改札ラッチが設置されているし、昔ながらに駅員さんが切符を切る姿が見られるのだ。
地方ならまだ見受けられる古き良き姿だが、何しろここは関東近郊。しかも、群馬県最大のターミナル駅だ。こんなところで手動の改札が見られるなんて鉄道オタクなら鼻息が荒くなっても仕方ない。
「よし、行くか」
「そうだね」
心なしか2人して語気が強くなった気がする。オタクの魂百まで。子供の頃とまるで変わらない。
さてさて、本日のお供はこちら。ぐんまワンデーパス。群馬県内のJR線だけでなく、東武や県内各私鉄路線、更には横軽バスや草津温泉へのバスにも乗れる優れものだ。1つだけ難点を上げるとすれば、フリーエリア内のJR駅でしか買えないこと。おかげで、わざわざ深谷で一旦途中下車する羽目になったのだが、深谷の駅舎を生で見られたので良しとしよう。
でも、これだと改札は見せるだけで終了だ。入鋏印を入れてもらえない。それだけが心残りだった。
まあ、それは置いておこう。では、気を取り直して。本日は上信電鉄の旅へ行ってきます。
「おおー。やっぱ高崎はデカいな」
JRの改札を出た途端、さくらがそう言った。その感想には半分同意する。もう半分はというと、大宮駅と比べると中央通路が狭いなという感想だった。
だけど、人は多い。大宮と匹敵するくらいかもしれない。さっきから私たちの目の前をひっきりなしに人の群れが動いている。商業施設も充実ぶりが手に取るようにわかった。
「そういえば、さくら疲れてない?」
彼女は横浜から高崎線に直通する列車に乗ってきたのだ。私より1時間以上長く乗っているのは間違いない。グリーン車にでも乗れば良いのに、わざわざボックスシートで私を待っていたのだから驚いた。
「ん? 別に大丈夫だよ。乗るのは慣れてるだろ? 私ら」
言われてみれば確かにその通りだ。乗ってるだけで1日が終わるなんてこともざらじゃないのが鉄道オタクの日常だ。
「まっ、でも少し肩は凝ったかな」
うーんと背伸びする。それに合わせて服の上から胸の形が強調された。あれ? 思ったより大きいな、というのが率直な感想だった。こんなに大きかったっけ? 引っ越してから成長したのかな?
「どした?」
「えっ!? ううん、なんでもない」
危ない。胸元を凝視してたのがバレるところだった。
「よ、よし! 気を取り直して行こっか!」
私は煩悩を振り払うように歩み始めた。いや、そもそも煩悩って何よ。別にいやらしいことは何も考えてませんけど?
私たちは一路西口方面へと向かった。ペデストリアンデッキに繋がる出口の手前で階段を降りる。降りてすぐに左に曲がるとフェンス越しにJRのホームにあたる。そこを右折して後は道なりに。すると、とある路線の改札口が見えてくるのだ。
「ここかー」
さくらが感慨深そうに呟いた。私も息が漏れてしまいそうなくらい静かな昂ぶりを見せた。何しろ自動改札機が存在しない。金属製とはいえちゃんと改札ラッチが設置されているし、昔ながらに駅員さんが切符を切る姿が見られるのだ。
地方ならまだ見受けられる古き良き姿だが、何しろここは関東近郊。しかも、群馬県最大のターミナル駅だ。こんなところで手動の改札が見られるなんて鉄道オタクなら鼻息が荒くなっても仕方ない。
「よし、行くか」
「そうだね」
心なしか2人して語気が強くなった気がする。オタクの魂百まで。子供の頃とまるで変わらない。
さてさて、本日のお供はこちら。ぐんまワンデーパス。群馬県内のJR線だけでなく、東武や県内各私鉄路線、更には横軽バスや草津温泉へのバスにも乗れる優れものだ。1つだけ難点を上げるとすれば、フリーエリア内のJR駅でしか買えないこと。おかげで、わざわざ深谷で一旦途中下車する羽目になったのだが、深谷の駅舎を生で見られたので良しとしよう。
でも、これだと改札は見せるだけで終了だ。入鋏印を入れてもらえない。それだけが心残りだった。
まあ、それは置いておこう。では、気を取り直して。本日は上信電鉄の旅へ行ってきます。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
女の子なんてなりたくない?
我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ―――
突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。
魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……?
ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼
https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる