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第2章 友と2人で at 上信電鉄上信線

友と2人で②

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 大宮駅から高崎線に乗ること1時間20分。私とさくらは終点の高崎駅に降り立った。群馬県の経済の中心地である高崎市を代表する巨大ターミナル駅。上越新幹線と北陸新幹線の分岐点でもある高崎駅は、県内で最も利用者が多いという。

「おおー。やっぱ高崎はデカいな」

 JRの改札を出た途端、さくらがそう言った。その感想には半分同意する。もう半分はというと、大宮駅と比べると中央通路が狭いなという感想だった。

 だけど、人は多い。大宮と匹敵するくらいかもしれない。さっきから私たちの目の前をひっきりなしに人の群れが動いている。商業施設も充実ぶりが手に取るようにわかった。

「そういえば、さくら疲れてない?」

 彼女は横浜から高崎線に直通する列車に乗ってきたのだ。私より1時間以上長く乗っているのは間違いない。グリーン車にでも乗れば良いのに、わざわざボックスシートで私を待っていたのだから驚いた。

「ん? 別に大丈夫だよ。乗るのは慣れてるだろ? 私ら」

 言われてみれば確かにその通りだ。乗ってるだけで1日が終わるなんてこともざらじゃないのが鉄道オタクの日常だ。

「まっ、でも少し肩は凝ったかな」

 うーんと背伸びする。それに合わせて服の上から胸の形が強調された。あれ? 思ったより大きいな、というのが率直な感想だった。こんなに大きかったっけ? 引っ越してから成長したのかな?

「どした?」

「えっ!? ううん、なんでもない」

 危ない。胸元を凝視してたのがバレるところだった。

「よ、よし! 気を取り直して行こっか!」

 私は煩悩を振り払うように歩み始めた。いや、そもそも煩悩って何よ。別にいやらしいことは何も考えてませんけど?

 私たちは一路西口方面へと向かった。ペデストリアンデッキに繋がる出口の手前で階段を降りる。降りてすぐに左に曲がるとフェンス越しにJRのホームにあたる。そこを右折して後は道なりに。すると、とある路線の改札口が見えてくるのだ。

「ここかー」

 さくらが感慨深そうに呟いた。私も息が漏れてしまいそうなくらい静かな昂ぶりを見せた。何しろ自動改札機が存在しない。金属製とはいえちゃんと改札ラッチが設置されているし、昔ながらに駅員さんが切符を切る姿が見られるのだ。

 地方ならまだ見受けられる古き良き姿だが、何しろここは関東近郊。しかも、群馬県最大のターミナル駅だ。こんなところで手動の改札が見られるなんて鉄道オタクなら鼻息が荒くなっても仕方ない。

「よし、行くか」

「そうだね」

 心なしか2人して語気が強くなった気がする。オタクの魂百まで。子供の頃とまるで変わらない。

 さてさて、本日のお供はこちら。ぐんまワンデーパス。群馬県内のJR線だけでなく、東武や県内各私鉄路線、更には横軽よこかるバスや草津温泉へのバスにも乗れる優れものだ。1つだけ難点を上げるとすれば、フリーエリア内のJR駅でしか買えないこと。おかげで、わざわざ深谷ふかやで一旦途中下車する羽目になったのだが、深谷の駅舎を生で見られたので良しとしよう。

 でも、これだと改札は見せるだけで終了だ。入鋏印にゅうきょういんを入れてもらえない。それだけが心残りだった。

 まあ、それは置いておこう。では、気を取り直して。本日は上信電鉄じょうしんでんてつの旅へ行ってきます。
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