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第1章 思わぬ再会 atわたらせ渓谷鉄道・神戸駅
思わぬ再会②
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ホームに降り立った私を最初に出迎えたのは、古めかしい木造の駅舎だった。国の登録有形文化財ともなっているこの駅舎。レトロな雰囲気がなんとも心をそそられる。
ワインレッドのミラーレスカメラを構える。愛機でパシャリ。うん、良い雰囲気だ。
今度は列車を撮ろう。ホームを後退して、駅舎と列車が入るように構図を変える。パシャリ。レトロな駅舎と単行のディーゼルカーが良いマッチング。
ふと、視線を上げた。見渡す限りの山並み。その間から顔を覗かせる青空。絶好の鉄道旅日和だ。初春の陽光に照らされてメタリックなカメラのボディが輝いていた。この子も楽しんでるのかな。
大きな建物なんて全然ない。自然に囲まれた緑豊かな場所。都会では決して味わえない風景と空気がここにはある。これを求めて鉄道に乗るのだ。
ふと、間藤方から警笛が聞こえた。エンジン音も近づいてくる。ああ、対向列車だ。桐生方面行きのディーゼルカーが駅舎と反対側のホームに進入してくる。ちょうどここですれ違うのね。
上りと下り、双方の列車が並び立った。折角なのでここも1枚撮らせてもらおう。昭和の雰囲気を残した山間の駅ですれ違う。これもまた絵になる。
警笛が鳴った。それと同時にエンジンがうなりを上げる。そろりそろりと動き始めた互いの列車は、それぞれが向かう先へと出発していった。互いに労いの言葉をかけている姿が脳裏に浮かんだ。この子たちもお仕事中だもんね。
「ふぅ……」
遠ざかるエンジン音が鼓膜から消えゆく。瞬間、静寂の帳が下ろされた。後に残されたのは私1人だけ。
山間の無人駅に女1人。駅前には何もない。駅の周りにも何もない。見渡す限りの山と青空と自然。普通、こんな所に降り立ったら途方に暮れる。だけど、私にはこれが楽しい。何もない駅に1人だけ取り残され、しんと静かになったこの瞬間が楽しいのだ。
ああ、生きてるって実感がする。
駅名標に目をやった。飾り気のないシンプルな駅名標。そこにはこう記されている。神戸、と。
神戸駅。群馬県みどり市にある、どこぞの港町と同じ表記の駅。だけど、読みが違う。向こうは『こうべ』、こちらは『ごうど』だ。
かつてSLの増結や切り離しが行われたこの駅だが、当時の賑やかさはもう残されていない。だけど、駅舎脇には保線用の車両が留置されている。駅舎と反対側、渡良瀬川の方には側線が剥がされたような跡が見てとれた。なるほど、確かにここまで通ってきた他の駅と比べても、規模は段違いだ。都心の駅には敵わないけど。
ああ、なんか良いなぁ。こんな場所が愛おしくてたまらない。私はそういう女なのだ。
さて、そろそろ行動を開始しよう。神戸に来た目的は古ぼけた駅舎を収めるだけでもなければ、かつての面影に思いを馳せるためだけでもないのだ。
もっと大きな主目的がある。
ワインレッドのミラーレスカメラを構える。愛機でパシャリ。うん、良い雰囲気だ。
今度は列車を撮ろう。ホームを後退して、駅舎と列車が入るように構図を変える。パシャリ。レトロな駅舎と単行のディーゼルカーが良いマッチング。
ふと、視線を上げた。見渡す限りの山並み。その間から顔を覗かせる青空。絶好の鉄道旅日和だ。初春の陽光に照らされてメタリックなカメラのボディが輝いていた。この子も楽しんでるのかな。
大きな建物なんて全然ない。自然に囲まれた緑豊かな場所。都会では決して味わえない風景と空気がここにはある。これを求めて鉄道に乗るのだ。
ふと、間藤方から警笛が聞こえた。エンジン音も近づいてくる。ああ、対向列車だ。桐生方面行きのディーゼルカーが駅舎と反対側のホームに進入してくる。ちょうどここですれ違うのね。
上りと下り、双方の列車が並び立った。折角なのでここも1枚撮らせてもらおう。昭和の雰囲気を残した山間の駅ですれ違う。これもまた絵になる。
警笛が鳴った。それと同時にエンジンがうなりを上げる。そろりそろりと動き始めた互いの列車は、それぞれが向かう先へと出発していった。互いに労いの言葉をかけている姿が脳裏に浮かんだ。この子たちもお仕事中だもんね。
「ふぅ……」
遠ざかるエンジン音が鼓膜から消えゆく。瞬間、静寂の帳が下ろされた。後に残されたのは私1人だけ。
山間の無人駅に女1人。駅前には何もない。駅の周りにも何もない。見渡す限りの山と青空と自然。普通、こんな所に降り立ったら途方に暮れる。だけど、私にはこれが楽しい。何もない駅に1人だけ取り残され、しんと静かになったこの瞬間が楽しいのだ。
ああ、生きてるって実感がする。
駅名標に目をやった。飾り気のないシンプルな駅名標。そこにはこう記されている。神戸、と。
神戸駅。群馬県みどり市にある、どこぞの港町と同じ表記の駅。だけど、読みが違う。向こうは『こうべ』、こちらは『ごうど』だ。
かつてSLの増結や切り離しが行われたこの駅だが、当時の賑やかさはもう残されていない。だけど、駅舎脇には保線用の車両が留置されている。駅舎と反対側、渡良瀬川の方には側線が剥がされたような跡が見てとれた。なるほど、確かにここまで通ってきた他の駅と比べても、規模は段違いだ。都心の駅には敵わないけど。
ああ、なんか良いなぁ。こんな場所が愛おしくてたまらない。私はそういう女なのだ。
さて、そろそろ行動を開始しよう。神戸に来た目的は古ぼけた駅舎を収めるだけでもなければ、かつての面影に思いを馳せるためだけでもないのだ。
もっと大きな主目的がある。
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