甘い言葉を囁いて

聖 りんご

文字の大きさ
上 下
9 / 27

きゅう

しおりを挟む
私は今、ヘンリー様と馬車の中にいます。

あの後レン兄さまもヘンリー様も凄かったわ…。
ヘンリー様はすぐにロード家に手紙を書いて速攻で許可の返事が届くとレン兄さまと一緒にお父様とお母様を説得。
少ない荷物はすぐにまとめられて夕方には馬車の中。

家を出る時、お父様から「帰ってくる必要はない」って言われたのは悲しかったけど…仕方ないのかな。
お母様もお見送りしてくれなかったし…。

「強引に話を進めて申し訳なかった。」

「いいえ。私の為にしていただいのですよね。ありがとうございます。」

ヘンリー様はまた私の頭を撫でてくれた。
ロード家に着いたらレン兄さまやヘンリー様に恥をかかせないように頑張らなきゃ!





「まぁ!まぁまぁまぁ!!よく来たわね!!!」

ロード家に到着してヘンリー様に抱えられて馬車を降りるといきなり抱きつかれた。
感触からして女性みたいだけれど…声が若いしヘンリー様のお姉様か妹様かな?

「私はヘンリー様の母のメアリーです。そロードウィン侯爵家へようこそ!」

「え?!お母様?!ロードウィン侯爵家?!ヘンリー様?!!」

「 母上、ミシュミラン嬢から早く離れてくれ。ミシュミラン嬢すまない。こうなる前にきちんと話すつもりではいたんだが……馬車で話すにはどうも気が引けて結局混乱させてしまった。」

「あ、いえ…あ、あのご挨拶が遅れ申し訳ございません。ブルノット男爵家のミシュミランと申します。」

何とか取り繕…えてないわよね。
たかが男爵家の娘が失礼にも挨拶もきちんとしないとか…。

「あらあら。きちんと挨拶ができて偉いわ。うちのバカ息子が何にもお話してないなら驚かせてしまったわね。ヘンリー、晩餐までにきちんとお話しておきなさい。
ミシュミランちゃん後で色々聞かせてちょうだいね。」

「すまなかった。とりあえず中に入ろう。」

ヘンリー様は私を車椅子に乗せると自ら引いてくれた。
何だか申し訳ないから早く屋敷の中を把握して迷惑をかけないようにしなきゃ。

通された部屋でソファに座らせてもらうと匂いだけで高級と分かるお茶を用意されて凄く分不相応感が…。

「さて、少し長くなるけれど聞いてほしい。

実はミシュミラン嬢は初めて会ったのはカフェに行った日だと思っているかもしれないんだけれど…もっと前に会っているんだ。
二年前に街でレンとはぐれた事があったと思うんだけど…覚えないかい?」

「二年前…。」

確かに初めて市場に行って色々あるのが楽しくて目移りしてたらレン兄さまとはぐれた事があるわ。

「市場でレン兄さまとはぐれて…レン兄さまが来てくれるまで男の子と話をして…。」

「その男の子が僕だよ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法

栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと

恋愛
陽も沈み始めた森の中。 獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。 それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。 何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。 ※ ・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。 ・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。

離婚活

詩織
恋愛
急に離婚を言われ、何がなんだか… 数日前まで仲良くショッピングモールにも行ってたし、どういうことかさっぱり理解できない。

拝啓、大切なあなたへ

茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。 差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。 そこには、衝撃的な事実が書かれていて─── 手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。 これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。 ※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

【完結】夫もメイドも嘘ばかり

横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。 サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。 そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。 夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。

王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】

霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。 辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。 王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。 8月4日 完結しました。

処理中です...