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画策する者と阻止する者
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金曜日の夜、日高家の階段をドタドタと上がる音が響いた。自室のベッドで雑誌を読みながら寝転んでいた静流にはそれが誰か容易に想像できる。
「静流、貴方今度の土曜日は暇でしょ。付き合いなさい。」
「土曜日は一万ピースパズルを完成させなきゃいけないから忙しいんだよね。彼女になってくれた記念だから日曜日にしてもいいか…。」
「思いっきり暇じゃない!付き合うって意味も違うわ!!」
雪菜の反応を楽しみながら体勢を崩さず雑誌を読む静流に雪菜は怒りのボルテージを上げていく。すると、雪菜が爆発する前にベッドから起き上がった静流はようやく雑誌を閉じて雪菜を見た。
「どうせ兄貴がらみでしょ?今度は何があるの?」
「拓海がデートするのを阻止するのよ!」
「何処に行くか知ってるの?」
「ゔ…そ、それは尾行すれば良い話だわ!」
「ふ~ん……いいよ。土曜日可愛く着飾ってきてくれるなら一緒に出かけてあげるよ。」
雪菜は静流の言い方に少しムッとしたが目的は達成したので静流の部屋を出た。
雪菜が出て行った後、静流は拓海の部屋に向かってノックをしてドアを開ける。
「兄貴の予定が知りたい。」
「邪魔はするなよ?」
今日はバイトの予定だったが電気系統の不具合で急遽休みになった拓海が、隣の部屋で全て聞いて呆れていた事を雪菜は知らなかった。
もちろん静流は知っていたので心の中で雪菜は可愛いななどと思っていたが、あえて教える事はしなかった。
土曜日の朝、拓海が家を出るのより早く雪菜は日高家に来たが、今回は騒がずに静かに階段を上がり静流の部屋に入った。すると、静流はまだベッドでスヤスヤ寝ており雪菜は静流を叩き起した。
「ん?雪菜……夜這いは夜だから夜這いなんだよ…。」
「訳の分からない事言ってないでさっさと準備して!!」
せっかく静かにしていたのに雪菜に怒鳴っているので台無しになり、拓海の部屋にも雪菜の声はちゃんと聞こえていた。
拓海は今の内だとそっと部屋のドアを開けて気づかれないように家を出た。数分後、静流の支度が終わった頃にそれに気づいた雪菜は静流の肩を掴み前後に揺らしながら怒鳴り散らす。
「大丈夫だよ。ちゃんと兄貴の予定聞いてあるから~。」
「なっ。たまにはやるじゃない。じゃあ直ぐに追いましょ!!」
静流の背中を押して急かす雪菜の姿に癒され静流だったが、急ぐ気持ちなど全く無かった。
「兄貴の邪魔をするなんて一言も言ってないしね…。」
ボソッと呟いた静流の言葉は雪菜に聞こえてはいなかった。
「静流、貴方今度の土曜日は暇でしょ。付き合いなさい。」
「土曜日は一万ピースパズルを完成させなきゃいけないから忙しいんだよね。彼女になってくれた記念だから日曜日にしてもいいか…。」
「思いっきり暇じゃない!付き合うって意味も違うわ!!」
雪菜の反応を楽しみながら体勢を崩さず雑誌を読む静流に雪菜は怒りのボルテージを上げていく。すると、雪菜が爆発する前にベッドから起き上がった静流はようやく雑誌を閉じて雪菜を見た。
「どうせ兄貴がらみでしょ?今度は何があるの?」
「拓海がデートするのを阻止するのよ!」
「何処に行くか知ってるの?」
「ゔ…そ、それは尾行すれば良い話だわ!」
「ふ~ん……いいよ。土曜日可愛く着飾ってきてくれるなら一緒に出かけてあげるよ。」
雪菜は静流の言い方に少しムッとしたが目的は達成したので静流の部屋を出た。
雪菜が出て行った後、静流は拓海の部屋に向かってノックをしてドアを開ける。
「兄貴の予定が知りたい。」
「邪魔はするなよ?」
今日はバイトの予定だったが電気系統の不具合で急遽休みになった拓海が、隣の部屋で全て聞いて呆れていた事を雪菜は知らなかった。
もちろん静流は知っていたので心の中で雪菜は可愛いななどと思っていたが、あえて教える事はしなかった。
土曜日の朝、拓海が家を出るのより早く雪菜は日高家に来たが、今回は騒がずに静かに階段を上がり静流の部屋に入った。すると、静流はまだベッドでスヤスヤ寝ており雪菜は静流を叩き起した。
「ん?雪菜……夜這いは夜だから夜這いなんだよ…。」
「訳の分からない事言ってないでさっさと準備して!!」
せっかく静かにしていたのに雪菜に怒鳴っているので台無しになり、拓海の部屋にも雪菜の声はちゃんと聞こえていた。
拓海は今の内だとそっと部屋のドアを開けて気づかれないように家を出た。数分後、静流の支度が終わった頃にそれに気づいた雪菜は静流の肩を掴み前後に揺らしながら怒鳴り散らす。
「大丈夫だよ。ちゃんと兄貴の予定聞いてあるから~。」
「なっ。たまにはやるじゃない。じゃあ直ぐに追いましょ!!」
静流の背中を押して急かす雪菜の姿に癒され静流だったが、急ぐ気持ちなど全く無かった。
「兄貴の邪魔をするなんて一言も言ってないしね…。」
ボソッと呟いた静流の言葉は雪菜に聞こえてはいなかった。
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