35 / 60
いらぬ心配
しおりを挟む
「あと5分か……。」
「ん?日高君この後急ぎの用でもあるの?」
「い、いや。そんなこと無いですよ~。」
苦笑いで同僚を誤魔化しながらも拓海の心の中は焦りでいっぱいだった。
クラスメイトに嵌められポテトを持って行った時、皐月は驚いた顔をして何も言ってこなかったので、拓海はバイト終わりに近くのファミレスで落ち合おうとだけ言って返事も聞かずに逃げてきた。
皐月がきちんと待っているのか、怒っているのか気にしていないのかすら分からないので拓海の心はバイトどころではなかった。
「あ、お先です!!」
定時になり拓海はダッシュで更衣室に向かった。
素早く着替え荷物を持ち走ってファミレスに行くと皐月は一人でドリンクを飲みながら待っていた。
拓海は少しホッとしながら皐月に近寄った。
「ごめん!待たせた。」
「バイトお疲れ~。さっきまで皆居たしそんなにだよ。」
「そっか。バイトの事黙っててごめん!…怒ってる?」
「別に怒っては無いよ。言ってくれてもいいのにとは思ったけど……。別にバイトくらい普通でしょ。」
少し視線をそらし頬を膨らませる皐月の姿が可愛いくて拓海は抱きつきたい衝動を抑えながら話を続ける。
「初めてで怒られてばっかだし…。」
「最初は皆そんなものでしょ。」
「彼女と遊ぶ金ほしさとか動機が不純すぎるし…。」
「そ、それは……むしろ嬉しいでしょ。」
皐月はカバンから雑誌を取り出して拓海に開いてみせた。開かれたページはギターショーの特集ページで約1000本のギターの展示やプロのギタリストのステージなど様々な催しが紹介されていた。
「へ~こんなイベントやるんだ!面白そうだな。」
「興味あるかなって思って……一緒に行かない?」
「行く!行こうぜ!!」
「バイトっていつが休みなの?」
拓海はスマホを取り出して予定を確認した。
バイトは基本的に学校帰りに入れているので土日は別の用事が無い限りは空いている。
ちょうど次の土曜が拓海と皐月二人とも予定が空いていたのでその日に行くことにした。
「めっちゃ楽しみだな!」
「そうだね…。」
すでに時刻が9時をまわった為、二人はファミレスを出た。流石に心配になり拓海は皐月を家まで送る事にしたが、途中で皐月の電話が鳴る。
相手は皐月のははおや母親で帰りが遅いので心配の電話だった。
「大丈夫だよ。拓海に送ってもらってるから!え……あ、分かった。」
電話を切った皐月はバツが悪そうな顔を拓海に向けた。
初めて見る表情に拓海の中ではクエスチョンがとぶ。
「パパが帰ってきてるみたいで~拓海に会いたいって。」
「パ!お父さん?……マジで……。」
「ん?日高君この後急ぎの用でもあるの?」
「い、いや。そんなこと無いですよ~。」
苦笑いで同僚を誤魔化しながらも拓海の心の中は焦りでいっぱいだった。
クラスメイトに嵌められポテトを持って行った時、皐月は驚いた顔をして何も言ってこなかったので、拓海はバイト終わりに近くのファミレスで落ち合おうとだけ言って返事も聞かずに逃げてきた。
皐月がきちんと待っているのか、怒っているのか気にしていないのかすら分からないので拓海の心はバイトどころではなかった。
「あ、お先です!!」
定時になり拓海はダッシュで更衣室に向かった。
素早く着替え荷物を持ち走ってファミレスに行くと皐月は一人でドリンクを飲みながら待っていた。
拓海は少しホッとしながら皐月に近寄った。
「ごめん!待たせた。」
「バイトお疲れ~。さっきまで皆居たしそんなにだよ。」
「そっか。バイトの事黙っててごめん!…怒ってる?」
「別に怒っては無いよ。言ってくれてもいいのにとは思ったけど……。別にバイトくらい普通でしょ。」
少し視線をそらし頬を膨らませる皐月の姿が可愛いくて拓海は抱きつきたい衝動を抑えながら話を続ける。
「初めてで怒られてばっかだし…。」
「最初は皆そんなものでしょ。」
「彼女と遊ぶ金ほしさとか動機が不純すぎるし…。」
「そ、それは……むしろ嬉しいでしょ。」
皐月はカバンから雑誌を取り出して拓海に開いてみせた。開かれたページはギターショーの特集ページで約1000本のギターの展示やプロのギタリストのステージなど様々な催しが紹介されていた。
「へ~こんなイベントやるんだ!面白そうだな。」
「興味あるかなって思って……一緒に行かない?」
「行く!行こうぜ!!」
「バイトっていつが休みなの?」
拓海はスマホを取り出して予定を確認した。
バイトは基本的に学校帰りに入れているので土日は別の用事が無い限りは空いている。
ちょうど次の土曜が拓海と皐月二人とも予定が空いていたのでその日に行くことにした。
「めっちゃ楽しみだな!」
「そうだね…。」
すでに時刻が9時をまわった為、二人はファミレスを出た。流石に心配になり拓海は皐月を家まで送る事にしたが、途中で皐月の電話が鳴る。
相手は皐月のははおや母親で帰りが遅いので心配の電話だった。
「大丈夫だよ。拓海に送ってもらってるから!え……あ、分かった。」
電話を切った皐月はバツが悪そうな顔を拓海に向けた。
初めて見る表情に拓海の中ではクエスチョンがとぶ。
「パパが帰ってきてるみたいで~拓海に会いたいって。」
「パ!お父さん?……マジで……。」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
「女の子って自転車に乗るときアソコがサドルに当たらないの?」って訊いたら、キレた幼馴染がそのまま俺の手の平にまんこ押し付けてきた話
ベクトル空間
青春
美少女JKである幼馴染の比奈乃(ひなの)は一人暮らしの俺のために、たまに料理を作りに来てくれる。
そんな比奈乃に俺はふと疑問に思ったことを訊いてみた。
「女の子って自転車に乗るときアソコがサドルに当たらないの?」
すると比奈乃はむっとした表情で突然、制服のスカートをたくし上げ、パンツを丸出しに。
そのまま比奈乃は戸惑う俺の右手をつかむと、彼女の股のあたりにそれを持っていった。
「こんな感じだけど、それがどうかしたの?」
そう言いながら、比奈乃は俺の右手にまんこをぐりぐりと押し付けてきて――。
その誘惑に我慢できなくなった俺が、比奈乃に襲いかかると、「本当はね、あんたのことがずっと好きだったんだよ……あんっ」と喘ぎながら彼女は告白してきたのであった。
愛を確かめ合ったこの日を境に、俺と比奈乃のセックス三昧なイチャラブ生活が始まる――。
※サブタイトルに♥がついているのは本番あり回です。
※四話でヒロインがデレます!
おっぱい揉む?と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました
星宮 嶺
青春
週間、24hジャンル別ランキング最高1位!
ボカロカップ9位ありがとうございました!
高校2年生の太郎の青春が、突然加速する!
片想いの美咲、仲の良い女友達の花子、そして謎めいた生徒会長・東雲。
3人の魅力的な女の子たちに囲まれ、太郎の心は翻弄される!
「おっぱい揉む?」という衝撃的な誘いから始まる、
ドキドキの学園生活。
果たして太郎は、運命の相手を見つけ出せるのか?
笑いあり?涙あり?胸キュン必至?の青春ラブコメ、開幕!
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる