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援軍
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皐月が雪菜の襲来を伝えた頃、拓海はステージ上におりスマホを全く見ていなかった。
女装姿でギターを弾きノリノリでステージを盛り上げる裏で皐月が雪菜の相手をしている事実に気付くには、まだまだ時間がかかりそうだ。
要も理事長と来賓の挨拶に出向いている為スマホを見る余裕は無い。
雪斗だけが唯一スマホを見て顔を青ざめていた。
「不味い!まさかの皐月ちゃんと雪菜二人?!」
お化け屋敷のお化け担当の雪斗は驚かす役目も忘れ不味いを連呼しているが、それが逆に怖くて皆短い悲鳴をあげながら足早に通過していた。
皐月は連絡を入れた後も雪菜の対応をしている。
「それで、貴女は拓海の何なのよ。」
「何って……というか、ここで騒がれるの凄く迷惑なんだけど!ちょっと移動しない?」
「嫌よ!誤魔化そうとしてもそうはいかないわよ。
まさか、私の拓海にちょっかいかけてるんじゃないでしょうね!許さないわよ?私のモノに手を出すなんてこの泥棒猫!!」
「はあ?!いい加減にしなさいよ!」
雪菜の言葉にカチンときた皐月が声を荒らげる。
それに怯まない雪菜はまるで毛を逆立てる猫のようだ。
「なによ。私の拓海を呼び捨てにしてるのが悪いんでしょ?何も無いならそれ、やめなさいよね。」
「俺は皐月に惚れてるから何も無くはないな。」
聞きなれた低い声が皐月の耳元で発せられた。
拓海は両手を回し皐月に抱きつきながら雪菜を見た。
「その声……拓海?ん?なんでそんな可愛い格好してるの?」
「似合ってるだろ?」
「そうじゃなくて!!てか今聞き捨てならない事言わなかったかしら。」
今度は拓海と雪菜が言い合いをしているが、皐月はそれどころではなかった。
さっき耳元で言われた言葉が頭の中でループし、筋張った腕が現在進行形で自分を抱きしめている。
顔を真っ赤にした皐月は限界で今にも倒れそうだった。
そこにやっと抜けてこれた要が合流し、少し距離をとり現状把握を試みるがさっぱり分からない。
仕方がないので雪菜の後ろにそっと立ち手刀で雪菜の意識を狩りとって公開処刑を終わらせた。
「で、これが雪菜ちゃんで良かったかな~?」
「分からずに気絶させたのか?!」
「結果オーライ。それより、皐月が今にも倒れそうだから離してあげて欲しいのだけど~?」
拓海は要に言われて初めて皐月を抱きしめたままだった事に気づき手を離した。
クラスメイト達と行列をつくる人々は生ぬるい笑顔をむけていた。
女装姿でギターを弾きノリノリでステージを盛り上げる裏で皐月が雪菜の相手をしている事実に気付くには、まだまだ時間がかかりそうだ。
要も理事長と来賓の挨拶に出向いている為スマホを見る余裕は無い。
雪斗だけが唯一スマホを見て顔を青ざめていた。
「不味い!まさかの皐月ちゃんと雪菜二人?!」
お化け屋敷のお化け担当の雪斗は驚かす役目も忘れ不味いを連呼しているが、それが逆に怖くて皆短い悲鳴をあげながら足早に通過していた。
皐月は連絡を入れた後も雪菜の対応をしている。
「それで、貴女は拓海の何なのよ。」
「何って……というか、ここで騒がれるの凄く迷惑なんだけど!ちょっと移動しない?」
「嫌よ!誤魔化そうとしてもそうはいかないわよ。
まさか、私の拓海にちょっかいかけてるんじゃないでしょうね!許さないわよ?私のモノに手を出すなんてこの泥棒猫!!」
「はあ?!いい加減にしなさいよ!」
雪菜の言葉にカチンときた皐月が声を荒らげる。
それに怯まない雪菜はまるで毛を逆立てる猫のようだ。
「なによ。私の拓海を呼び捨てにしてるのが悪いんでしょ?何も無いならそれ、やめなさいよね。」
「俺は皐月に惚れてるから何も無くはないな。」
聞きなれた低い声が皐月の耳元で発せられた。
拓海は両手を回し皐月に抱きつきながら雪菜を見た。
「その声……拓海?ん?なんでそんな可愛い格好してるの?」
「似合ってるだろ?」
「そうじゃなくて!!てか今聞き捨てならない事言わなかったかしら。」
今度は拓海と雪菜が言い合いをしているが、皐月はそれどころではなかった。
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拓海は要に言われて初めて皐月を抱きしめたままだった事に気づき手を離した。
クラスメイト達と行列をつくる人々は生ぬるい笑顔をむけていた。
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