迷いの森

聖 りんご

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踊り子は夢を魅せてもユメヲミナイ

踊り子は魔女の手の上で踊る

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「プリマ様、これは少々やりすぎです。」

『怖いわ。怒らないでちょうだい。』

「なぜこの様な事をしたのですか?」

ミラは怒っていた。
プリマの行動は遊びにしては悪質すぎる所業だった。

『砂漠の国での事ならちゃんと理由があるのよ。』

「どのようなものでしょう」

『あの国の王子が先に私にちょっかい出してきたのです。』

「他の者は関係無かったのではないですか。」

『いいえ。彼らは私を捕え愛娼にしようとしたり、王子に差し出そうとしたりしたので同罪です。
一応、関係のない者に被害はありません。』

ミラは少し拗ねた様子のプリマの可愛らしさに思わず怒り感情が消えてしまった。
しかし、聞くことはまだあるので少し優しい口調になりながらもプリマに確認した。

「なぜ、ナタリーさんにお菓子を渡したのですか?」

『それは好奇心ね。』

ミラとジルは呆れてため息をついたが、話がのみ込めないナタリーはそのやり取りをハラハラしながら見ていた。

『ミラ、彼女を除け者にしたら可哀想よ。』

「確かにそうですが…ナタリーさん、落ち着いて聞いてください。私の推測ですが、ナタリーさんの国での出来事はこのお菓子が原因のようです。
どれがその効果を持っているのかは分かりませんが、恐らく思った事をそのまま口に出してしまう効果と自分を
好きになってしまう効果でしょうか。」

『いいえ、少し違うわ。嘘を付けなくなるガレットと食べさせた者を愛してしまうクッキーよ。マフィンはただのお菓子ね。』

「せめてもう少し普通のお菓子を増やしてあげて下さい……」

ナタリーは顔を真っ青にしながら震えた。
一歩間違えたら自分があの惨状になっていたのだ。
食べなくて良かったと本気で思った。

「ナタリーさんのいた国の王子と貴族がプリマ様の逆鱗に触れたみたいです。被害は当事者のみな言葉幸いと言えます。」

「その……先程、私にお菓子を渡したのは好奇心と……。」

『そのままの意味よ。』

「私が食べるのを期待してらしたのですか?」

『気に入った子を虐める趣味はないわ。食べてしまったらちゃんと助けてあげてたわよ。』

『つまり、プリマ様はお菓子の秘密に気づいて貰う為にメモをつけ、ナタリー様の人生に役立てて欲しかったのです。』

「こじつけでは……」

『あら、ミラは酷いのね。』

ナタリーはプリマの優しさに気づけなかった自分を恥た。
ミラがいなければ何も考えずに食べてしまったに違いない。

『まぁ、ミラが台無しにしてしまったからお菓子は回収していくわ。ミラがついているなら後は大丈夫ね。』

プリマは指を鳴らし、ジルと館にもどった。

「本当に不器用な方ですね。」

ミラはため息をついた。
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