迷いの森

聖 りんご

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踊り子は夢を魅せてもユメヲミナイ

踊り子は自由を愛すのか

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『ありがとうございます。ではまず、貴女方がいらっしゃるのは迷いの森という元々いらした国から離れた場所になります。元の国に帰りたいという方がいらっしゃれば、挙手願います。』

三人はそれぞれ考えている様子ではあったが、誰も手は挙げなかった。

『お帰りになりたい方はいらっしゃらないという事ですね。それぞれの御家族は心配されていないのですか?』

「わ、私には家族がいないので……。」

アリシアは少し言葉に詰まり、俯きながら小さな声で呟いた。

「私も家族はいないから問題ないわね。今までも定住していた訳ではないし。」

ナタリーは少し冷たさを感じる声で淡々と答えた。

その二人を見下すようにしてカレンは立ち上がり演説した。

「私はそこの二人と違って王子が、旦那様が、いるから心配はかけちゃうかも~。
でも~私って見た通り美しいじゎない?そんな私を独占できちゃう王子は幸せかもしれないけどぉ、私に会えない男たちには不幸な事よね!
私も自由でいたいし豪華な暮らしは惜しいけど、帰りたくはないかな~。」

「よく言うわ。王子に見向きもされていなかったくせに……」

「なんですって?!」

ナタリーとカレンはそのままケンカし始め、早口でお互いを罵りあい掴み合いに発展した。
五月蝿い上に家具等壊されかねないのでジルは手を叩きながらそれを止めさせた。

『落ち着いてお座り下さい。話が進みません。』

ナタリーとカレンはまだお互いを睨みつけていたが、とりあえず大人しくソファに座った。

『貴女方にお選びいただける道は三つです。
一つ、ご自分の足でこの館を去る。
二つ、元いた国に帰る。その場合は私が送ります。
三つ、今ある全てを捨てて別人になり人生をやり直す。
どれにされるかはご自身でお決め下さい。』

「あ、あの…三つ目はどういう事ですか?」

『そのままの意味です。我が主は魔女ですから一度だけ、新しい人生をプレゼントする事ができます。』

「何それホントに?それって私が望んだような環境でやり直せるって事?!」

『いいえ。望んだものになるかは別の話ですので。ですが、ココとは全く異なる場所になりますので、一応参考資料はお渡し致します。』

…………………………………………………………………………………
新しい自分になれる世界について
1.新しい世界は別次元の世界。行けるのは一度きりになります。
2.今まで送られた人生は此方の世界で本の中に封じられます。
3.転送先では種族は変わりませんが、多少容姿が異なることがあります。
4.転送先で死亡しても此方には戻りません。
…………………………………………………………………………………

三人は資料を見つめた。

『お決まりになったらお声掛けください。』
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