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逃亡者は国王陛下
逃亡者は前の自分をすてられない
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金を手放し両手をあげたテンダムに野党たちはニヤニヤしながら近づいた。
「お前、分かってるじゃないか。無抵抗のやつに何かする程落ちぶれてはいないから安心しろ。」
リーダーらしき男がそう言いながら袋の中を確認する。
「中々持っているな…この身なり…お前、転送組か。」
「もしかしてお前もか。…どうして分かった。」
「ああ。漆黒の館からくる奴は皆同じ格好してんだよ。しかも、金がこれだけあるのに丸腰なんてありえない。無知な証拠だ。自分も通ってきた道だからな。分からないはずがない。」
「なるほど、良い眼を持っているな。」
「お前が転送組でこの道にいるって事は漆黒の館に乗り込むつもりだろうが、無駄だからやめた方がいいぜ。」
「それは何故だ。」
「あそこは入り口だが出口ではない。入れないんだよ。何をしてもな…
老人を脅して金を奪おうにも老人も出てこない。」
「なんだと!では一生このままだと言うのか!!」
「そうだ。ここで暮らすしかない。」
「あの魔女め!!」
「まあまあ落ち着けよ。お前、俺の仲間にならないか?同じ転送された者同士仲良くしようぜ。」
「ハッ。笑わせるな。この私がお前のような奴の仲間だと?お前が私の家臣になるなら分かるがな。」
「なんだと!!お前が前にどんな偉い奴だったかは知らんが今はただのカモだ!立場を弁えな!」
「うるさい!私は王だ!!こんなところで燻っていい存在じゃないわ!」
「王だと……?」
野党のリーダーはテンダムを睨み付けながら観察し始めた。
「お前!!!テンダム国の王か!」
「ほぅ…私が分かるとは見込みがあるな。その通りだ、私はテンダムの国王!頭が高いぞ。跪け!!」
その場にテンダムの声が響き渡った。
しかし野党たちは微動だにしない。
「どうした。王の前だぞ。最上の礼をとるのが普通だろ!」
すると、野党のリーダーが腹を抱え笑い始めた。
それが収まるのに5分程かかった。
「悪いな。俺はお前に下げる頭はもってねえが…お前に向ける剣は存在する。」
「なんだと?」
「少し昔話をしよう。俺は昔、近衛をしていてな、自分で言うのもなんだが腕はたつ方だったから副団長をしていたんだ…テンダム国でな!」
「近衛の副団だと?なら私の家臣じゃないか!なぜ跪かん!!」
「昔だと言ったはずだ。俺はクビになったんだよ。理由は…王が狩りに行くのに付き合わなかったからだよ!!その日非番だった俺は王が近衛全員を集めて森に狩りに行くと言い出した事を知らなかった!次の日、出勤したら非番だった奴全員クビだたと?!ふざけんな!!」
「そんな事覚えてなどないわ。しかしバカバカしい、王が来いと言ったら来るのが当然だ。悪いのはお前だろう。」
「こんなクズに仕えていたとはな……。まぁいい。ここで会ったのは運命だな。この恨み晴らさせてもらおうか。」
野党のリーダーが合図をすると、野党たちがテンダムを取り押さえる。
「やめろ!無礼者め何をする!!」
テンダムは抵抗するが非力な為振り払う事はできない。
野党たちはテンダムを木に縄で縛り付けた。
「この世界に来たばかりのお前は知らないだろうから教えてやる。
ここの住人はな、夜は街から絶対にでない。なぜなら街の外には大型の肉食獣が多く奴らは夜行性だからだ。」
「な……なんだと?!お前……まさか……」
「じゃあな。狩られないように祈ってるぜ。」
野党たちはその場を去って行った。
「まて!縄を解け!」
テンダムは叫んでいるが野党たちは振り返らない。
高かった日は傾き、やがて夜がくる。
「お前、分かってるじゃないか。無抵抗のやつに何かする程落ちぶれてはいないから安心しろ。」
リーダーらしき男がそう言いながら袋の中を確認する。
「中々持っているな…この身なり…お前、転送組か。」
「もしかしてお前もか。…どうして分かった。」
「ああ。漆黒の館からくる奴は皆同じ格好してんだよ。しかも、金がこれだけあるのに丸腰なんてありえない。無知な証拠だ。自分も通ってきた道だからな。分からないはずがない。」
「なるほど、良い眼を持っているな。」
「お前が転送組でこの道にいるって事は漆黒の館に乗り込むつもりだろうが、無駄だからやめた方がいいぜ。」
「それは何故だ。」
「あそこは入り口だが出口ではない。入れないんだよ。何をしてもな…
老人を脅して金を奪おうにも老人も出てこない。」
「なんだと!では一生このままだと言うのか!!」
「そうだ。ここで暮らすしかない。」
「あの魔女め!!」
「まあまあ落ち着けよ。お前、俺の仲間にならないか?同じ転送された者同士仲良くしようぜ。」
「ハッ。笑わせるな。この私がお前のような奴の仲間だと?お前が私の家臣になるなら分かるがな。」
「なんだと!!お前が前にどんな偉い奴だったかは知らんが今はただのカモだ!立場を弁えな!」
「うるさい!私は王だ!!こんなところで燻っていい存在じゃないわ!」
「王だと……?」
野党のリーダーはテンダムを睨み付けながら観察し始めた。
「お前!!!テンダム国の王か!」
「ほぅ…私が分かるとは見込みがあるな。その通りだ、私はテンダムの国王!頭が高いぞ。跪け!!」
その場にテンダムの声が響き渡った。
しかし野党たちは微動だにしない。
「どうした。王の前だぞ。最上の礼をとるのが普通だろ!」
すると、野党のリーダーが腹を抱え笑い始めた。
それが収まるのに5分程かかった。
「悪いな。俺はお前に下げる頭はもってねえが…お前に向ける剣は存在する。」
「なんだと?」
「少し昔話をしよう。俺は昔、近衛をしていてな、自分で言うのもなんだが腕はたつ方だったから副団長をしていたんだ…テンダム国でな!」
「近衛の副団だと?なら私の家臣じゃないか!なぜ跪かん!!」
「昔だと言ったはずだ。俺はクビになったんだよ。理由は…王が狩りに行くのに付き合わなかったからだよ!!その日非番だった俺は王が近衛全員を集めて森に狩りに行くと言い出した事を知らなかった!次の日、出勤したら非番だった奴全員クビだたと?!ふざけんな!!」
「そんな事覚えてなどないわ。しかしバカバカしい、王が来いと言ったら来るのが当然だ。悪いのはお前だろう。」
「こんなクズに仕えていたとはな……。まぁいい。ここで会ったのは運命だな。この恨み晴らさせてもらおうか。」
野党のリーダーが合図をすると、野党たちがテンダムを取り押さえる。
「やめろ!無礼者め何をする!!」
テンダムは抵抗するが非力な為振り払う事はできない。
野党たちはテンダムを木に縄で縛り付けた。
「この世界に来たばかりのお前は知らないだろうから教えてやる。
ここの住人はな、夜は街から絶対にでない。なぜなら街の外には大型の肉食獣が多く奴らは夜行性だからだ。」
「な……なんだと?!お前……まさか……」
「じゃあな。狩られないように祈ってるぜ。」
野党たちはその場を去って行った。
「まて!縄を解け!」
テンダムは叫んでいるが野党たちは振り返らない。
高かった日は傾き、やがて夜がくる。
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