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Special♡Thanks!④~すれ違い~
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それは、90年前の誕生日。
「プリマ様、私は貴女の恋人に成りえませんか?」
ジルの精一杯の言葉だった。
普通ならそれなりに感情が表に出ていてもおかしくない場面だが、感情を内に秘める訓練をしたジルは表情、仕草にはまったく出さなかった。
それが災いしたなど本人はまったく気づかない。
「成りえる訳ないでしょう。」
プリマは一言だけ発するとその場を去った。
今日はプリマの誕生日、テンダム国の王子が祝いに来ている。
二人きりになったタイミングでジルは切り出したが、王子はこっそり覗いていた。
ジルの元を離れたプリマはバルコニーで月を眺めていた。
憂い気な表情を月明かりが照らしている。
「なんで断ったんだ?」
「なんのお話?」
「ジルだよ。想い人から告白されたのに何故断ったのかと…な。」
「あれは告白ではなくて確認でしょう?自分は従者として完璧かと問われたのよ。」
「なんでそんな解釈になるのだ……。」
きっとジルは自分とプリマが付き合っていると思っている。
それでも告白をしてきた覚悟は中々のものなのではないだろうか。
王子はジルが不憫になったが自分が何を言ってもプリマは理解しないであろうとそれ以上は触れなかった。
「ハァ…私のこの気持ちはいつ成就するのかしら……。」
「俺が生きている間に実れば奇跡じゃないかな…。そうだ、
プリマは魂を保管する事はできるか?」
なんの脈絡もなく聞かれた内容にプリマは少し驚いた。
しかし、顎に手を当て少し考える。
「魂を保管…水晶の中に入れておく事はできるわ。」
「さすが魔女だな。俺が死ぬ時が来たら保管しに来てくれ。」
「何それ。」
「俺は人間だからな。プリマ達からしたらすぐに死ぬ。だが二人を見守りたいじゃないか!身体は国の為に必要だが魂はそうじゃないからな。」
「貴方のそういうところ、嫌いじゃないわ。」
「褒めても何も出ないぞ!そうだな…ジルが恋人になれば世話する者が必要だろ?俺がやってやるよ。今の人生は世話をされる側だからな。」
「まあ、考えておいてあげるわ。」
FIN
「プリマ様、私は貴女の恋人に成りえませんか?」
ジルの精一杯の言葉だった。
普通ならそれなりに感情が表に出ていてもおかしくない場面だが、感情を内に秘める訓練をしたジルは表情、仕草にはまったく出さなかった。
それが災いしたなど本人はまったく気づかない。
「成りえる訳ないでしょう。」
プリマは一言だけ発するとその場を去った。
今日はプリマの誕生日、テンダム国の王子が祝いに来ている。
二人きりになったタイミングでジルは切り出したが、王子はこっそり覗いていた。
ジルの元を離れたプリマはバルコニーで月を眺めていた。
憂い気な表情を月明かりが照らしている。
「なんで断ったんだ?」
「なんのお話?」
「ジルだよ。想い人から告白されたのに何故断ったのかと…な。」
「あれは告白ではなくて確認でしょう?自分は従者として完璧かと問われたのよ。」
「なんでそんな解釈になるのだ……。」
きっとジルは自分とプリマが付き合っていると思っている。
それでも告白をしてきた覚悟は中々のものなのではないだろうか。
王子はジルが不憫になったが自分が何を言ってもプリマは理解しないであろうとそれ以上は触れなかった。
「ハァ…私のこの気持ちはいつ成就するのかしら……。」
「俺が生きている間に実れば奇跡じゃないかな…。そうだ、
プリマは魂を保管する事はできるか?」
なんの脈絡もなく聞かれた内容にプリマは少し驚いた。
しかし、顎に手を当て少し考える。
「魂を保管…水晶の中に入れておく事はできるわ。」
「さすが魔女だな。俺が死ぬ時が来たら保管しに来てくれ。」
「何それ。」
「俺は人間だからな。プリマ達からしたらすぐに死ぬ。だが二人を見守りたいじゃないか!身体は国の為に必要だが魂はそうじゃないからな。」
「貴方のそういうところ、嫌いじゃないわ。」
「褒めても何も出ないぞ!そうだな…ジルが恋人になれば世話する者が必要だろ?俺がやってやるよ。今の人生は世話をされる側だからな。」
「まあ、考えておいてあげるわ。」
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