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後編
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(コンコン)
「どうぞ」
「失礼しますっ!団長、詐欺師の聴取終わりました。」
「わかった。キャリーは来たか?」
「さっき見かけたのでもうすぐこちらに来るかと思います。」
「ありがとう。休憩してくれ。」
「ハッ!失礼しました。」
団員が部屋から出ていくとアランは息を吐いて椅子の背もたれに身を預けた。
詐欺師レイヴンは何人もの女性から被害届が出ていた手練の詐欺師で捕まえることが出来たのはとても大きな手柄だった。キャリーには特別ボーナスを出さなくてはならない。
キャリーには大変厄介な体質がある。それは男運が悪く惚れた男は百パーセントのクズ男という事。詐欺師は今回で二人目で他は窃盗常習犯にギャング崩れ、自称善良な実業家など何故次から次へとホイホイできるのか謎でならない。
キャリーは確かに可愛らしい。しかしそれが理由ならば世の美人は全員ホイホイだ。そして一番厄介なのはそんなキャリーに惚れた自分である事は間違いないだろう。
既に数回告白しているが断られている。
「団長にはときめかないもの。」
ときめかれたらクズ男の仲間入りだ。しかしときめいて貰わなければ愛は届かない。不毛。早く諦めるべきこの恋をアランは手放せないでいた。
(コンコン)
「どうぞ。」
「失礼します。」
「キャリー、この度はお手絡だった。」
「…恐れ入ります。」
この言葉がキャリーにとって適切では無い事は分かっているがアランは立場上そう言わざる負えない。どちらも微妙な顔をしてはいるが理解はしている。
「ここからは職務とは関係ない。プライベートな事だからかしこまらないでくれ。」
「……ではお言葉に甘えさせていただきます。」
アランは手でキャリーにソファに座るように促した。
キャリーは躊躇いなくソファに座ると深いため息をついた。そんなキャリーの隣に座ったアランはキャリーの頭を優しく撫でる。
「今回もダメだったな…。」
「“も”って言わないで下さいよ~!私めちゃめちゃ落ち込んでるんですよ?!」
「分かっている。だからソレにつけ込んでそろそろ私にしとかないか?」
「ゔ~・・・。」
「ときめいて無くてもいいさ。チャンスが欲しいんだ。一度でいいから君を独占する権利を、この手に包み込む権利をくれないかい?一度試して本当にダメだったならその時は二度と君にせまりはしない。」
キャリーは真剣に悩んだ。
いつもなら軽くお断りして終わりだが今回はこれが最後だと言われた。キャリーも自分の男運の悪さは分かっているしアランが最高の男性だと言う事も分かってはいる。顔もキャリーの好みに入るし艶やかな翠の髪の触り心地を試してみたいと思う時もある。
しかし、キャリーの本能が危険だと言っているのだ。
今までの元彼達はキュンッとして単純に私が守ってあげたいという感情が強かった。しかしアランは捕食されてる感が強いのだ。
何度告白を断っても諦めず口説いてくるアラン。確かに単に上司というには別の感情がなくも無い。でも恋愛では無いとは思うがこれが最後と言われると寂しい心がある気もする。
「わ…わかりました。お気持ちを受けます。」
「本当か!!撤回は許さないぞ?!」
「わ、わかってますよ!ただ、幻滅しても知りませんよ!!」
「そんなものしないさ。全ての愛を捧げる。覚悟してくれ。」
キャリーは一瞬早まったかもしれないと後悔した。そんなキャリーをアランはもう逃がさないというように強く強く抱き締めた。
そして、二人の結婚式が行われたのはその半年後だった。
FIN
「どうぞ」
「失礼しますっ!団長、詐欺師の聴取終わりました。」
「わかった。キャリーは来たか?」
「さっき見かけたのでもうすぐこちらに来るかと思います。」
「ありがとう。休憩してくれ。」
「ハッ!失礼しました。」
団員が部屋から出ていくとアランは息を吐いて椅子の背もたれに身を預けた。
詐欺師レイヴンは何人もの女性から被害届が出ていた手練の詐欺師で捕まえることが出来たのはとても大きな手柄だった。キャリーには特別ボーナスを出さなくてはならない。
キャリーには大変厄介な体質がある。それは男運が悪く惚れた男は百パーセントのクズ男という事。詐欺師は今回で二人目で他は窃盗常習犯にギャング崩れ、自称善良な実業家など何故次から次へとホイホイできるのか謎でならない。
キャリーは確かに可愛らしい。しかしそれが理由ならば世の美人は全員ホイホイだ。そして一番厄介なのはそんなキャリーに惚れた自分である事は間違いないだろう。
既に数回告白しているが断られている。
「団長にはときめかないもの。」
ときめかれたらクズ男の仲間入りだ。しかしときめいて貰わなければ愛は届かない。不毛。早く諦めるべきこの恋をアランは手放せないでいた。
(コンコン)
「どうぞ。」
「失礼します。」
「キャリー、この度はお手絡だった。」
「…恐れ入ります。」
この言葉がキャリーにとって適切では無い事は分かっているがアランは立場上そう言わざる負えない。どちらも微妙な顔をしてはいるが理解はしている。
「ここからは職務とは関係ない。プライベートな事だからかしこまらないでくれ。」
「……ではお言葉に甘えさせていただきます。」
アランは手でキャリーにソファに座るように促した。
キャリーは躊躇いなくソファに座ると深いため息をついた。そんなキャリーの隣に座ったアランはキャリーの頭を優しく撫でる。
「今回もダメだったな…。」
「“も”って言わないで下さいよ~!私めちゃめちゃ落ち込んでるんですよ?!」
「分かっている。だからソレにつけ込んでそろそろ私にしとかないか?」
「ゔ~・・・。」
「ときめいて無くてもいいさ。チャンスが欲しいんだ。一度でいいから君を独占する権利を、この手に包み込む権利をくれないかい?一度試して本当にダメだったならその時は二度と君にせまりはしない。」
キャリーは真剣に悩んだ。
いつもなら軽くお断りして終わりだが今回はこれが最後だと言われた。キャリーも自分の男運の悪さは分かっているしアランが最高の男性だと言う事も分かってはいる。顔もキャリーの好みに入るし艶やかな翠の髪の触り心地を試してみたいと思う時もある。
しかし、キャリーの本能が危険だと言っているのだ。
今までの元彼達はキュンッとして単純に私が守ってあげたいという感情が強かった。しかしアランは捕食されてる感が強いのだ。
何度告白を断っても諦めず口説いてくるアラン。確かに単に上司というには別の感情がなくも無い。でも恋愛では無いとは思うがこれが最後と言われると寂しい心がある気もする。
「わ…わかりました。お気持ちを受けます。」
「本当か!!撤回は許さないぞ?!」
「わ、わかってますよ!ただ、幻滅しても知りませんよ!!」
「そんなものしないさ。全ての愛を捧げる。覚悟してくれ。」
キャリーは一瞬早まったかもしれないと後悔した。そんなキャリーをアランはもう逃がさないというように強く強く抱き締めた。
そして、二人の結婚式が行われたのはその半年後だった。
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