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身分違いの幼なじみ
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昨日に続き、今日もリリンは厄介事に巻き込まれていた。
リリンが家の庭でシーツを干していると、柵の反対側から声をかけられた。
「い、やあリリンちゃん。今日も艶やかな黒い髪が綺麗だね。これから僕の屋敷に来ないかい?」
「なんでそんな地獄に行かなきゃ行けないの。」
「じ、地獄だなんて酷いじゃないか。見たところあの厄介者のマックスも一緒じゃないみたいじゃないか。」
少し引きつった笑顔の目立つ金色の髪をした身なりのいい青年、ベルンはリリンの毒舌にも負けずに会話を続けた。
「マックスは私が名前を呼べば何処からでもきてくれるの。ベタマル、貴方十五にもなって私を屋敷でのお人形遊びに誘うなんて猟奇的すぎるわ。いくら幼なじみといえ私とは身分が違うんだから、そろそろ貴族の友達作りなさい。」
「ひ、酷い!今のはグサッときたよ!!君なんて父様に言えば簡単に「簡単にナニカナ?」…。」
タイミング良くマックスがベタマルの背後から声をかける。
ベタマルは「ヒッ!」と短い悲鳴をあげてその場を飛び退いた。
「おはよう、リリン。今日も天使のように可愛いね。その宝石の様な瞳も星空を閉じ込めた様なうつく美しい髪も、僕より先にベタマルが独占していたかと思うと嫉妬に狂ってしまいそうだよ。」
「おはよう、マックス。大袈裟じゃないかな。」
「全然大袈裟じゃないよ。」
爽やかな笑顔をリリンに向けつつベタマルの肩を強めに掴んだマックスは「ちょっとゴミ掃除してくるね」とリリンの前からベタマルを連れ去った。
「痛い!離せよ!!」
「ははっ。離すわけないだろ?」
「ぼ、僕は侯爵家の長男だぞ!次期当主に向かってこんな狼藉許されないぞ!!」
マックスはベタマルの言葉を無視してグイグイと引っ張りながら歩いていく。着いた先は大きな屋敷だった。
「あ?僕の家?」
マックスがベルを鳴らすと中から老紳士とベタマルとよく似たベタマルを何十倍か清楚にした雰囲気の紳士が出てくる。
「おはようございます、御当主様。少々手荒になりましたが、貴方様の御子息をお連れ致しました。」
「おはよう、マックス君。君に苦労をかけて悪かったね。きっとまた君に迷惑をかけていたのだろう。」
「いいえ、私では無く私の恋人の元でお家の力をチラつかせ私の恋人を脅しておりました。また、自室にあるあの気味の悪い人形で人形遊びをしたいとも……。」
マックスの報告に紳士の笑顔は冷たく変わり、老紳士は少し視線を逸らした。
その二人の表情が怒っている時のものだと分かっているベタマルはその場から逃亡しようとするが、マックスにガッチリ捕まれ逃げる事が出来ない。
そうしている内に老紳士がベタマルの襟首を掴み、一礼し屋敷の中へと引きづって行った。
「いつもすまないね。報酬はまたまとめて持って行かせよう。ところで、そろそろ赤髪の万事屋を閉業して私の専属にならないかい?」
「お言葉は嬉しく存じますが、私の最優先は恋人ですので申し訳ございません。」
「まあ、また気が変わったら何時でも言ってくれ。」
マックスが頭を下げると紳士は屋敷の中へと入って行った。マックスはすぐにリリンの家へ戻りノックをする。
「リリン、お待たせ。」
「遅いわ。早く中に入って。」
その日は一日中リリンの家で甘い時間を過ごし、真っ赤になるリリンに愛を囁きながらベタマルを近づけない方法を考えた。
一週間後、外出許可が出たベタマルは懲りずにリリンの家へと来てリリンを呼んだが出てこない。
家に入ると中はもぬけの殻だった。
リリンが家の庭でシーツを干していると、柵の反対側から声をかけられた。
「い、やあリリンちゃん。今日も艶やかな黒い髪が綺麗だね。これから僕の屋敷に来ないかい?」
「なんでそんな地獄に行かなきゃ行けないの。」
「じ、地獄だなんて酷いじゃないか。見たところあの厄介者のマックスも一緒じゃないみたいじゃないか。」
少し引きつった笑顔の目立つ金色の髪をした身なりのいい青年、ベルンはリリンの毒舌にも負けずに会話を続けた。
「マックスは私が名前を呼べば何処からでもきてくれるの。ベタマル、貴方十五にもなって私を屋敷でのお人形遊びに誘うなんて猟奇的すぎるわ。いくら幼なじみといえ私とは身分が違うんだから、そろそろ貴族の友達作りなさい。」
「ひ、酷い!今のはグサッときたよ!!君なんて父様に言えば簡単に「簡単にナニカナ?」…。」
タイミング良くマックスがベタマルの背後から声をかける。
ベタマルは「ヒッ!」と短い悲鳴をあげてその場を飛び退いた。
「おはよう、リリン。今日も天使のように可愛いね。その宝石の様な瞳も星空を閉じ込めた様なうつく美しい髪も、僕より先にベタマルが独占していたかと思うと嫉妬に狂ってしまいそうだよ。」
「おはよう、マックス。大袈裟じゃないかな。」
「全然大袈裟じゃないよ。」
爽やかな笑顔をリリンに向けつつベタマルの肩を強めに掴んだマックスは「ちょっとゴミ掃除してくるね」とリリンの前からベタマルを連れ去った。
「痛い!離せよ!!」
「ははっ。離すわけないだろ?」
「ぼ、僕は侯爵家の長男だぞ!次期当主に向かってこんな狼藉許されないぞ!!」
マックスはベタマルの言葉を無視してグイグイと引っ張りながら歩いていく。着いた先は大きな屋敷だった。
「あ?僕の家?」
マックスがベルを鳴らすと中から老紳士とベタマルとよく似たベタマルを何十倍か清楚にした雰囲気の紳士が出てくる。
「おはようございます、御当主様。少々手荒になりましたが、貴方様の御子息をお連れ致しました。」
「おはよう、マックス君。君に苦労をかけて悪かったね。きっとまた君に迷惑をかけていたのだろう。」
「いいえ、私では無く私の恋人の元でお家の力をチラつかせ私の恋人を脅しておりました。また、自室にあるあの気味の悪い人形で人形遊びをしたいとも……。」
マックスの報告に紳士の笑顔は冷たく変わり、老紳士は少し視線を逸らした。
その二人の表情が怒っている時のものだと分かっているベタマルはその場から逃亡しようとするが、マックスにガッチリ捕まれ逃げる事が出来ない。
そうしている内に老紳士がベタマルの襟首を掴み、一礼し屋敷の中へと引きづって行った。
「いつもすまないね。報酬はまたまとめて持って行かせよう。ところで、そろそろ赤髪の万事屋を閉業して私の専属にならないかい?」
「お言葉は嬉しく存じますが、私の最優先は恋人ですので申し訳ございません。」
「まあ、また気が変わったら何時でも言ってくれ。」
マックスが頭を下げると紳士は屋敷の中へと入って行った。マックスはすぐにリリンの家へ戻りノックをする。
「リリン、お待たせ。」
「遅いわ。早く中に入って。」
その日は一日中リリンの家で甘い時間を過ごし、真っ赤になるリリンに愛を囁きながらベタマルを近づけない方法を考えた。
一週間後、外出許可が出たベタマルは懲りずにリリンの家へと来てリリンを呼んだが出てこない。
家に入ると中はもぬけの殻だった。
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