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腹黒王子の婚約者
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リリアンは王城に来ていた。
目的は隣国の王女、スカーレットに会うためである。
二人が会うのを阻止しそうなシリウスは公務で城にはいない。
事前にスカーレットに手紙を送り会っても良いと返事を貰ったリリアンだが、場所がスカーレットの与えられている部屋でとされている為、今はスカーレットの侍女に案内してもらっていた。
侍女が一つの部屋の前でとまりノックすると中から入室を促す声が聞こえた。
「お客様をお連れしました。」
侍女の言葉の後に頭を低くしながらリリアンは声が震えないように挨拶をした。
「初めて御目にかかります。バーン公爵家のリリアンと申します。本日はお時間を頂戴し、ありがとうございます。」
「顔をお上げなさい。」
リリアンは姿勢を少し高くした。
「許します。顔を上げなさい。」
今度はきちんと頭を上げてスカーレットを見据えた。
「貴女がリリアンね。私はスカーレット・F・ラスタリスです。」
「王女殿下にご挨拶いただけるなど光栄の至りにございます。」
「今日は礼儀は気にしなくて良いわ。」
少し緊張感のある中でお茶会は始まった。
リリアンがどのように本題に持っていくか悩んでいるとスカーレットがリリアンを見つめ微笑んだ。
「貴女の用件はわかっているつもりよ。遠回りなどせずそのまま聞いてちょうだい。」
「では、お言葉に甘えさせていただきます。私は王女殿下の婚約者のシリウス殿下が好きです。愛しています。どうか、私を側妃になる事をお許し下さいませんか。」
策も何もかも無しでストレートに言い放ったリリアンは俯き震えていた。
スカーレットが今どういう表情なのか気にはながらも怖くて顔をあげられなかった。
「貴女は側妃になるのを許せと言ったわね。協力してでは無くて……私が許可すれば貴女の力だけでなれると言うの?」
「私自信にそのような力も魅力もありません。ですが、私には力を貸して下さる仲間がおります。彼女に利益の無い事なのに私などの為に一生懸命支えて下さる。
お許しいただけるのならば、私はそれに全力で応えます。」
暫くの間、重い沈黙が支配した。
リリアンは願った。
もし処罰されるなら自分だけであるようにと、ジゼルやジョシュア、家族に咎が及ばないようにと必死に願っていた。
そして、スカーレットはそんなリリアンの姿をみて大声をあげて笑い、リリアンに優しい笑顔をむけた。
「安心しなさい。私は貴女を許します。側妃として共に殿下を支えていきましょう。」
「よ、よろしいのですか?」
「私と殿下の間に愛はありません。お互いに戦友として婚約者となったのです。
貴女は純粋に殿下を想い、行動しここまで来ました。
その力は貴女の武器です。共に、殿下を支えましょう。」
その言葉で、リリアンの涙腺は決壊し、暫く止まることはなかった。
目的は隣国の王女、スカーレットに会うためである。
二人が会うのを阻止しそうなシリウスは公務で城にはいない。
事前にスカーレットに手紙を送り会っても良いと返事を貰ったリリアンだが、場所がスカーレットの与えられている部屋でとされている為、今はスカーレットの侍女に案内してもらっていた。
侍女が一つの部屋の前でとまりノックすると中から入室を促す声が聞こえた。
「お客様をお連れしました。」
侍女の言葉の後に頭を低くしながらリリアンは声が震えないように挨拶をした。
「初めて御目にかかります。バーン公爵家のリリアンと申します。本日はお時間を頂戴し、ありがとうございます。」
「顔をお上げなさい。」
リリアンは姿勢を少し高くした。
「許します。顔を上げなさい。」
今度はきちんと頭を上げてスカーレットを見据えた。
「貴女がリリアンね。私はスカーレット・F・ラスタリスです。」
「王女殿下にご挨拶いただけるなど光栄の至りにございます。」
「今日は礼儀は気にしなくて良いわ。」
少し緊張感のある中でお茶会は始まった。
リリアンがどのように本題に持っていくか悩んでいるとスカーレットがリリアンを見つめ微笑んだ。
「貴女の用件はわかっているつもりよ。遠回りなどせずそのまま聞いてちょうだい。」
「では、お言葉に甘えさせていただきます。私は王女殿下の婚約者のシリウス殿下が好きです。愛しています。どうか、私を側妃になる事をお許し下さいませんか。」
策も何もかも無しでストレートに言い放ったリリアンは俯き震えていた。
スカーレットが今どういう表情なのか気にはながらも怖くて顔をあげられなかった。
「貴女は側妃になるのを許せと言ったわね。協力してでは無くて……私が許可すれば貴女の力だけでなれると言うの?」
「私自信にそのような力も魅力もありません。ですが、私には力を貸して下さる仲間がおります。彼女に利益の無い事なのに私などの為に一生懸命支えて下さる。
お許しいただけるのならば、私はそれに全力で応えます。」
暫くの間、重い沈黙が支配した。
リリアンは願った。
もし処罰されるなら自分だけであるようにと、ジゼルやジョシュア、家族に咎が及ばないようにと必死に願っていた。
そして、スカーレットはそんなリリアンの姿をみて大声をあげて笑い、リリアンに優しい笑顔をむけた。
「安心しなさい。私は貴女を許します。側妃として共に殿下を支えていきましょう。」
「よ、よろしいのですか?」
「私と殿下の間に愛はありません。お互いに戦友として婚約者となったのです。
貴女は純粋に殿下を想い、行動しここまで来ました。
その力は貴女の武器です。共に、殿下を支えましょう。」
その言葉で、リリアンの涙腺は決壊し、暫く止まることはなかった。
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