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真野編

真野の3

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さあ、今日も定時だ!なんて…言えなかった。
今日はまだ仕事が残っている。しかも二つも!
まったく、冬月くんにも困ったものだな。冬月くんが職務放棄したから僕が定時で帰れなかったじゃないか。
こんなイライラする日は彼女に癒して貰わなきゃ!

頑張って仕事を二時間で片付けると真っ直ぐ僕の癒しの元へと向かう。

「いらっしゃいませ~。あ、マー君いらっしゃい!」

「しずかちゃ~ん!今夜も綺麗だね~。」

「マー君は嬉しい事言ってくれるから大好き~。」

「うへへ。今日は行列店のショートケーキ買ってきたよ~。」

しずかちゃんは僕の癒しの女神。夜のお店で働いてるけど性格の悪いキャバ嬢達と違ってブランド物強請ってきたりしない。いつもニコニコして僕の話を聞いてくれるんだ。

「マー君はセンスあるよね!このケーキ美味しそ~。あ、今いつものセット持ってくるから待ってて。」

しずかちゃんの手作りおつまみセットは来店時に必ず頼むマストアイテムでハイボール一杯と二品ついて三千円。しずかちゃんの愛情たっぷりなのに安すぎる!
難点はしずかちゃんは料理が苦手で調理に時間がかかるから話をする時間が短くなっちゃうんだ。




「今日も楽しかった~。また来てね!」

「もちろんだよ~。」

「待ってるよ!じゃあお会計2万円です。」

今日は二時間しか居られなかったし癒しのしずかちゃんとの時間がいつもより短かった気がするけど仕方ないな。
僕は会計を済ませて今度こそ自宅に戻ると風呂に入ってすぐ爆睡した。



なんだろう…おかしい。
次の日出社すると何だかヒソヒソと話をしている人達が多い気がする。しかも楽しそうな雰囲気は全然感じられない。後でおばちゃんに聞いてみよう。

僕はデスクについてパソコンを起動した。
今日はメールは来ていない。急ぎの書類は…うん、これは冬月くん向きだな!

「真野さ~ん!ちょっといい?」

「ん?君はマーケティング部の…。」

「そそ。あのさ、俺…冬月さんの噂って真野さんから聞いたでしょ?アレってどんなだったかもう一回教えて。」

朝一からそんな話しに来たなんて暇人だな。
まっいっか。これも慈善事業だよね~。
僕がもう一度丁寧に教えてあげるとそそくさと帰って行った。
それから大体一時間おき位の感覚で代わる代わる人が来る。皆どうしたんだろ?改めて聞いてくるって事は何か進展でもあったのかな?

「冬月く~ん。僕資料室行ってくるからコレお願いね~。」

「え?真野さんコレ期限また今日じゃないですか?!」

資料室に行くと部屋を出た僕はおばちゃんを探してウロウロした。おばちゃんの担当エリアは把握してるし見つけるのにそんなに時間はかからない。

「あ、いたいた。」

おばちゃんを見つけて近寄るとおばちゃんは僕に気づいたようだけど方向転換して行ってしまった。
どうしたんだろ?お腹でも壊してるのかな。

それから一週間はずっと噂の事を聞かれたりおばちゃんに無視されたり変な感じだった訳だけど理由はサッパリだ。

まっいいや。しずかちゃんに癒されて帰ろう。
定時少し前、帰り支度の為に席を立つと珍しく部長が僕を引き止めた。

「君に重要な話があるんだよ。部屋を移して話すからついてきて。」

なんだろう?昇進の話かな。僕日頃から頑張ってるもんね!よし、しずかちゃんに良い話が出来そうだ!!
ルンルンで部長について行くと談話室につく。
なんでドアをノックなんてしてるんだ?誰か居るのかな。
中に入ると三田さん?早坂くん?あれ…御局様に…ん?何だこのメンバー。訳が分からないけどとりあえず空気は重い。

(コンコンコン)

「失礼します。」

あれ?冬月くんまで来た。
なんなんだろう……。
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