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真野編

真野の1

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最近ペアを組むことになった冬月くんは歳下の親しみやすい美人さんで僕がもう少し若かったらアタックしていたと思う。あ、でもやっぱり性格がキツイから無いかな。


「真野さん…これの前の処理終わっててますか?」

処理が終わってるから渡してるのにこんな風にいつも聞いてくる。

「え?たぶん?ちょっと待って……ごめんごめん。まだやってないや。」

今回は助けられたけどもう少し信用してくれても良いよね。僕これでも二十年以上働く大ベテランなんだからっ!

僕のペアは定期的に変わるんだけど大体一巡目はたくさん聞いてくるけど二巡目以降は何も聞いてこなくなるから冬月くんもそうなるといいけど……。

僕は仕事が早いから定期的に休憩してるけど冬月くんはあまり休憩していないみたいで先輩としては少し心配になる。休憩は悪い事じゃないんだけどやっぱり若いと我武者羅に働いちゃうのかな。

まあ僕も休憩と言っても遊んでる訳じゃなくて社内の色々な事を把握する為の情報収集の時間になっている。
最近だと休憩所で逢瀬をしている恋人を発見したり、不倫現場を目撃したり成果は上々。
これでも社内のマッチング屋さんの自負はあって実績は多数!冬月くんにもその内いい人を探してあげよう。



もうすぐひと月経つから冬月くんも次のステップにいきたい頃だと思ってちょっと面倒な仕事を渡してみる事にした。

「冬月く~ん。これやっておいて~。」

「?!真野さん…コレ期限今日ですよ?!もらったのいつですか!!」

「え?先週の~…いつだったかな。」

「……とりあえず資料集めてきます。」

これも試練だよ。冬月くん頑張って!って思ったのも束の間、直ぐに他人に頼ったみたいだ。
やっぱりまだ冬月くんには早かったのかな…。残念。
あんなにバタバタして…余裕がないとミスしちゃうし仕方ないか。

冬月くんが走り出した後廊下で何か音がした気がした。気になって廊下に出てみると冬月くんと経理部の早坂くんが抱き合っている。見つかると不味いので僕は咄嗟に隠れた。

忙しそうにしてたのに他の子に仕事を押し付けて自分は恋人とイチャつくなんて、冬月くんは悪い子みたいだ。
まあモテそうな顔をしてるし、そういう子って性格悪いっていうもんね。
だけど可愛い後輩だからマッチング屋さんとしては応援してあげようかな。

僕は綿密な計画を立てて冬月くんのサポート体制を構想していく。今までの経験と実績の集大成レベルのものができそうな予感がしてしまう。

あ、定時だ。

「お先でーす。」
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