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第四話
しおりを挟む「……アドリア嬢、愚息が迷惑をかけた。すまない」
「陛下、頭を上げてください。もう気にしていませんわ」
というか、実は大して気にもしていませんわ。
あのアホをあそこまで増長させてしまった陛下にも多少の非はあるとしても、一番悪いのはあのアホ本人ですもの。
「感謝する。ところで、急な話ではあるが、テオドールと婚約を結び直してはくれないか?」
「まぁ!」
そんな気は薄々しておりましたが、驚いたフリくらいお手の物ですわ。
淑女の嗜みですわね。
「第一王子であったベネデットと婚約破棄をしたばかりだというのに申し訳ないが、アドリア嬢には未来の国母になって欲しいと思っていたのだ。どうか、国の未来の為に引き受けて欲しい」
「アドリア嬢、兄上の事は大変申し訳なく思っています。ですがどうか、良い返事をいただけないでしょうか?」
第二王子のテオドール様はあのアホとは違い、真面目に国政に取り組まれる方だし、女性関係も派手では無い。
アホと婚約していた間も親切にしていただいたし、たまの雑談でも話が合った。
見目も良いお方ですし、とくにお断りする要素はありませんわね。
「そうですわね……、お父様はどう思われますか?」
私だけの婚姻ではありませんし、ここは、お父様の意見もお聞きしなければいけませんわ。
「私は、アドリアが幸せになれると思う選択ならば異論は無いよ。アドリアの好きなようにしなさい」
「お父様……」
理解のある父を持って私は幸せ者ですわ。
「陛下、そのお話、謹んでお受けいたします。テオドール様、不肖の身ではありますが、これからどうぞよろしくお願いいたします」
「感謝する、アドリア嬢」
「アドリア嬢、共にこの国をより良い国にしていきましょう」
周りで成り行きを見守っていた令息令嬢達から拍手が沸き起こる。
――さてさて、今から腕がなりますわね!
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