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後編
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仲睦まじくて羨ましいお二人だと思っておりましたのに、フレデリック様は最近お嬢様と一緒に過ごされません。
編入してこられた男爵家の令嬢と第一王子殿下と三人でお過ごしなのです。
お嬢様を大事にしているフレデリック様をお慕いしておりましたので、浮気のような行動をされるフレデリック様には失望いたしました。
お嬢様に何かというと花束を持っていらしたのにもう持っていらっしゃることもありません。私に一輪いただくこともありません。
いえ私のことなどどうでもいいのです。
やっぱりヒロインはいたのね。と意気消沈されるお嬢様がお気の毒で仕方ありません。
お嬢様があの男爵令嬢に意地悪していいかしらとお尋ねになりました。お嬢様はお心が弱っているのでしょう。お嬢様、お嬢様らしくない事をなさってはいけません。気高いお嬢様は平民出身の男爵令嬢を相手にしてはいけませんとお諌めしますとだって悲しいものと泣かれます。悪役令嬢はやりすぎだと思っていたけど、本当に好きな人が心変わりしたら、悪い事でもしてしまうわとおっしゃいます。
私に何を言えましょう。人の心は他人がどうにかできるものではありません。それでもお嬢様の将来のためにも、とにかくお嬢様の言われる男爵令嬢への意地悪や危害を加える事をお諌めして、私といつものように授業に出て、最近フレデリック様と第一王子殿下がおいでにならない生徒会の実務を片付ける日常を過ごしておりました。
とうとう耐えかねた、お嬢様がフレデリック様との婚約解消をお父上の侯爵様にお願いされました。侯爵様は私にどういう状況かお尋ねになりました。私はありのままお伝えいたしました。お嬢様がいかに傷ついているのかも漏らさずにです。侯爵様はお相手が同等の地位であることと、フレデリック様の不義ということで婚約を解消して下さいました。
お嬢様はお父上に婚約が無くなった事を卒業するまでフレデリック様にお知らせしないようにお願いされました。卒業後にフレデリック様のお父上からお伝えになるようにと。
フレデリックが卒業パーティーで婚約破棄と宣言しても、もう私は婚約者じゃないから大丈夫よねとお嬢様はやっと笑ってくださいました。
頑として譲らなかった縦ロールもお止めになりました。悪役令嬢から解放されたのと嬉しそうに微笑まれました。
卒業式と卒業パーティーが近づいて参りましたが、お嬢様の元にフレデリック様からドレスが贈られる事はありませんでした。
わかっていたことだけど、幼い頃から一緒に過ごしていたから、悲しいわと泣いていらっしゃいました。
ここまで来て私はすっかりフレデリック様への恋が消えていることに気が付きました。お嬢様を愛するフレデリック様に恋をしていたようです。
集めていた押し花を廃棄しました。私の初恋はなんと惨めな恋だったのでしょう。歳をとってから振り返ったとき思い出すのは、かなわないから苦いのでなく、こんな人に恋をしてしまったという過ちに対する苦さになるのです。
お嬢様は卒業パーティーを欠席されます。在校生は出席は任意なのです。当然私も欠席です。授業はすでに終わっているので、お嬢様はお先に侯爵家の領地に戻られました。
私も親元に休暇中は戻りますが、在校生の役員がする卒業式の手配を他の役員方としなくてはいけないので、卒業式寸前まで残ることになりました。
忙しくしておりますと、私を呼び止める方がいらっしゃいました。振り返るとフレデリック様でした。フレデリック様は何か焦ったような顔をされて私を見つめていらっしゃいました。
編入してこられた男爵家の令嬢と第一王子殿下と三人でお過ごしなのです。
お嬢様を大事にしているフレデリック様をお慕いしておりましたので、浮気のような行動をされるフレデリック様には失望いたしました。
お嬢様に何かというと花束を持っていらしたのにもう持っていらっしゃることもありません。私に一輪いただくこともありません。
いえ私のことなどどうでもいいのです。
やっぱりヒロインはいたのね。と意気消沈されるお嬢様がお気の毒で仕方ありません。
お嬢様があの男爵令嬢に意地悪していいかしらとお尋ねになりました。お嬢様はお心が弱っているのでしょう。お嬢様、お嬢様らしくない事をなさってはいけません。気高いお嬢様は平民出身の男爵令嬢を相手にしてはいけませんとお諌めしますとだって悲しいものと泣かれます。悪役令嬢はやりすぎだと思っていたけど、本当に好きな人が心変わりしたら、悪い事でもしてしまうわとおっしゃいます。
私に何を言えましょう。人の心は他人がどうにかできるものではありません。それでもお嬢様の将来のためにも、とにかくお嬢様の言われる男爵令嬢への意地悪や危害を加える事をお諌めして、私といつものように授業に出て、最近フレデリック様と第一王子殿下がおいでにならない生徒会の実務を片付ける日常を過ごしておりました。
とうとう耐えかねた、お嬢様がフレデリック様との婚約解消をお父上の侯爵様にお願いされました。侯爵様は私にどういう状況かお尋ねになりました。私はありのままお伝えいたしました。お嬢様がいかに傷ついているのかも漏らさずにです。侯爵様はお相手が同等の地位であることと、フレデリック様の不義ということで婚約を解消して下さいました。
お嬢様はお父上に婚約が無くなった事を卒業するまでフレデリック様にお知らせしないようにお願いされました。卒業後にフレデリック様のお父上からお伝えになるようにと。
フレデリックが卒業パーティーで婚約破棄と宣言しても、もう私は婚約者じゃないから大丈夫よねとお嬢様はやっと笑ってくださいました。
頑として譲らなかった縦ロールもお止めになりました。悪役令嬢から解放されたのと嬉しそうに微笑まれました。
卒業式と卒業パーティーが近づいて参りましたが、お嬢様の元にフレデリック様からドレスが贈られる事はありませんでした。
わかっていたことだけど、幼い頃から一緒に過ごしていたから、悲しいわと泣いていらっしゃいました。
ここまで来て私はすっかりフレデリック様への恋が消えていることに気が付きました。お嬢様を愛するフレデリック様に恋をしていたようです。
集めていた押し花を廃棄しました。私の初恋はなんと惨めな恋だったのでしょう。歳をとってから振り返ったとき思い出すのは、かなわないから苦いのでなく、こんな人に恋をしてしまったという過ちに対する苦さになるのです。
お嬢様は卒業パーティーを欠席されます。在校生は出席は任意なのです。当然私も欠席です。授業はすでに終わっているので、お嬢様はお先に侯爵家の領地に戻られました。
私も親元に休暇中は戻りますが、在校生の役員がする卒業式の手配を他の役員方としなくてはいけないので、卒業式寸前まで残ることになりました。
忙しくしておりますと、私を呼び止める方がいらっしゃいました。振り返るとフレデリック様でした。フレデリック様は何か焦ったような顔をされて私を見つめていらっしゃいました。
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