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しおりを挟む三人は少し明るい気持ちになったが、これからのことを考えるとため息が漏れそうになった。
「それで捜索をお命じになられたという事は父上は王妃を弾劾する決心はつかれたと言うことか」
「今まで何度もホフマン宰相閣下がご進言されていたのにまだ証拠が甘いとお許しになりませんでしたからね」
「父上も王妃には申し訳ないお気持ちをお持ちだとは思うが、立て続けに侍女が行方不明になってはもう庇いきれない」
「それにしても王妃の恨みはなぜ第一側妃と第二王子に向いたのですか?私が王妃だったら第二側妃様と殿下、あなたを呪います」
アランがそう言うとフェリクスは呆れた様に言った。
「おい、アラン、お前はっきり言うな」
「誰がどう見ても国王陛下と第二側妃様は仲睦まじくされています。お子様も三人も生まれていますしね」
「それは第一側妃がやり過ぎて王妃に対して目眩しになったのではないか」
ジョエルがアランに言った。
「王妃が嫁いできた時に寵愛は自分にあると言う第一側妃の言葉で王妃は国王と自分は政略結婚で第一側妃と国王が愛し合っているから王妃が嫁ぐ前に側妃になったと思い込んでしまった」
「ーー政略結婚なのは間違い無いだろうよーー」
アランが茶々入れるとジョエルは至って真面目な顔で言った。
「いや、それが王妃は嫁ぐ前の肖像画交換の時から国王陛下に憧れていたと言う情報を得た。だから夢を抱いて遠くから嫁いで来たんだ」
「ーーーーそれをぶち壊したのが第一側妃かーーー」
アランが言葉を挟むとジョエルが頷いた。
「王妃は恨みに思って国王との閨を一切拒否した。第一側妃との間にも子供はいないーーー当たり前なんですけどーーー王妃はそう思わない。それで第二側妃が側妃に上がったのは後継を得るために仕方ないと王妃は嫉妬を抑えた。何しろ自分が拒否しているのが原因ですからね。そう宥めていた時に第一側妃が第二王子を産んだ。これには気持ちを抑えきれなかったのでしょうね」
「それにしても王妃も王宮で情報を得るように立ち回れば国王の愛情は誰に向いてるかわかっただろうに」
アランがジョエルに向かってそう言った。
「王妃は離宮に籠るに当たり最初は自分が母国から連れて来た侍女しか連れて行かなかった。多分だけど毒殺とか用心したのだと思う。侍女達は我が国の言葉はカタコトでしか喋れなかったようだ。ヒルシュフェルト語は特異な言語で隣国や我が国の言葉と共通する単語や文法がないからな」
「そうか、それで諜報もできなかったと言うことか」
アランが納得した様に頷いた。
「閉じこもって恨みをたぎらせていた時に第二王子は優秀で王太子は第二王子だと第一側妃が金をばら撒いて立てた噂が情報に疎い王妃サイドにも聞こえた。ーーーまあ優秀ではあったけれども第一王子が控え目にしてるように国王陛下に命じられていたなんて第一側妃は思ってもいなかっただろうけれどーー」
「とにかく王妃は愛し合う第一側妃との子を選ぶのかと恨みを第二王子に向けたのではないかと」
それまで二人の会話を黙って聞いていたフェリクスが言葉を挟んだ。
「父上は第二王子は最初から臣下に下すつもりだった。それをデングラー公爵を巻き込んで王太子狙いに定めた第一側妃を排除することに決めた。ユリアン殿下の遺言でもさすがに第一側妃はやり過ぎたんだ」
「今回亡くならなくても第一側妃は排除されることになっていたんですね」
ジョエルがフェリクスに尋ねた。
「父上は第二王子だけは救ってやりたかったはずだ。なんとか一命を取り留めるといいのだが……」
フェリクスの言葉にアランもジョエルも言葉を発することは出来なかった。
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