乙女ゲームの結末は

ぐう

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リヒャルト 二年生 ナターリエ 一年生

お菓子 ②

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 カミラの活躍があって三人とも一応形になったがナタリーは明らかに挙動不審だ。

「ねえ、役員会に持っていくのは二人のだけにしない?私のはちょっと遠慮した方がいいんじゃないかと思うの。」

「何言ってるのナタリー、私たちのだってナタリーのと五十歩百歩だよ。さあ 行こうよ!」

 エラに引きずられるように役員部屋に入っていくと、先に来ていたリヒャルトとエルマーとギュンターに注視された。

「ギュンター見て!初作品だよ。」

 高々とエラがクッキーを掲げる。

「おお、お相伴に預かりたいな。」

「エルマー様は駄目。私のナタリーに皮肉言ったと聞きました。真面目にやってるナタリーに失礼です。」

「えー反省してるから許して下さい。」

 エルマーは情けない顔でナタリーに向かって頭を下げる。

「いえ、私も失礼なものの言い方しましたので、反省してます。言われた事気にしていません。頭を上げて下さい。」

「ナタリー何言ってるの。簡単に許したら駄目だよ!」

 もめている間にギュンターはちゃっかりとクッキーを食べ始めていた。それを見つけたエラはギュンター何を勝手に食べてるの。皆で食べるのだから、一人で食べちゃダメじゃない。と怒り出しそこにエルマーとヒルデも加わってワイワイと話し出す。

 ナタリーは自分のクッキーをそっと後手にして、後ずさった。どんと誰かにぶつかってしまって、後ろを見るとリヒャルトがいた。

「これ ナターリエ嬢が作ったの?もらうよ。」

 とひょいとナタリーから取り上げて、袋の口を開けて口に放り込む。

「殿下!毒味してません!」

 ナタリーが悲壮な声を上げる。

「美味しいよ。」

「でもあまりに形が汚くて、しかも端が焦げてます。」

 リヒャルトが嬉しげに笑う。

「焦げたところ避ければ大丈夫。」

 二枚目を口に運ぶ。ナタリーは大丈夫なのかとひたすらリヒャルトを見つめる。二人は思いつく、普通に話せてる。ナタリーは食べてくれたリヒャルトに、リヒャルトは狼狽る可愛いナタリーに見惚れて、自分の気持ちを再確認する。二人は相手を想う。

「遅れました。」

 フィリップとローレンツが入ってきたのを見て、二人ははっとして微妙に離れる。

「どうしたんですか?」

「令嬢達がクッキーを差し入れてくれたのですよ。」

 エルマーが大きな声で言う。

「それは楽しみですね。ナタリーそんな隅でどうしたの?」

「なんでもありません。私のは不出来でちょっと出せませんので、エラとヒルデのを召し上がって下さい。」

「そう?なんでもできるナタリーでもできないことあるんだね。」

 ローレンツがくすりと笑って、騒いでるエラたちの方へ歩いて行く。
 リヒャルトはクッキーの袋をそっと自分のポケットにしまってナタリーの耳元で

「全部貰うね。」と囁いて自分もみんなの方に歩いて行く。
 それを見送るナタリーにリヒャルトは振り返って微笑みかけた。
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