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リヒャルト殿下
ダンスパーティー
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ダンスパーティーは夕方から行われる。会場は広いホールで、入り口から明るい煌きと人のさざめきが漏れてきている。三人で護衛を引き連れて入場すると、こちらを会場中の人々が注目して、一瞬静寂が起きた。構わず入場していくと、令嬢達が周りに集まってきた。自分達からは申し出られないので、熱のこもった目で見つめてくる。自分が珍獣になったようで嬉しくない。
エルマーがその中の一人にダンスを申し込んだ。どこかの伯爵令嬢だったような。女性陣の輪の一角が開いたので、そこからギュンターと教師に挨拶に行く。
「やあ、殿下踊らないのですか?」
もう学園に勤めて20年という歴史教師に声をかけたら、返事が返って来た。
「身を慎んでます。」
「こだわりすぎじゃありませんか?」
「私はこだわった方がいいでしょう?先生」
過去のことはよく知ってるだろう教師に返した。
教師に挨拶して振り返ったら、令嬢がすぐ後ろに立っていた。ぶつかりそうになり
「失礼した。」
と言ったら、潤んだ目で見上げて来て
「リヒャルト殿下、愛称でお呼びするのをお許し下さい。」
と上着の裾を掴んで来た。
ぞっとして
「愛称は誰にも許していない。離してくれ。」
と手を振り払った。
振り払われた手を胸の前に組み
「私はアイスラー伯爵の娘、エリーゼと申します。父から国王陛下に殿下との婚約をお願いしております。どうか私を知るために、私と過ごしていただけませんか?愛称もお許しいただければ、楽しい学園生活になりますわ。」
と潤んだ瞳で見上げて来た。
私の母もこんなふうに、媚びたのだろうかと思うと吐き気がした。
「国王陛下から婚約の話など聞いてない。婚約者を持とうとも思ってない。失礼する!」
と強めに言って会場を飛び出して来た。慌てて護衛とギュンターがついて来た。
部屋に戻り侍従に国王陛下にアイスラー伯爵の娘、エラがハニートラップを仕掛けて来て、婚約を強請って来た。しかるべき処分をして欲しいと報告をあげるように指示した。
しばらくして、エルマーも戻って来た。ギュンターから経緯を聞きソファで吐き気をこらえて、横になってる私を見て
「あの伯爵令嬢、入学以来高位の貴族令息に声かけているのは、知ってたけど、まさか殿下に媚びるとは。殿下の女嫌いが、加速しそうだなー」
ギュンターと話し合っていた。
「あの伯爵令嬢は伯爵令息以下と令嬢達は空気かというぐらい無視するよな。ギュンターと一緒にいる時そばに寄って来ると、ギュンターだけに目を向けて、俺はいないものにしているいい根性だよ。」
ギュンターもうなずいて
「殿下に声をかけられないからって、ぶつかるように体当たりもすごいよな。思わず詫びることばを声をかけられたとして、話を進めるなんて、どこでそんなテクニック身に付けるんだろうな。」
「今度からもっと護衛を、近づけておかないとな。」
二人の話し合うことばを聞きながら、悪名高い王太子夫妻の子でも利用価値あるのかと、ぼんやり考えていた。
エルマーがその中の一人にダンスを申し込んだ。どこかの伯爵令嬢だったような。女性陣の輪の一角が開いたので、そこからギュンターと教師に挨拶に行く。
「やあ、殿下踊らないのですか?」
もう学園に勤めて20年という歴史教師に声をかけたら、返事が返って来た。
「身を慎んでます。」
「こだわりすぎじゃありませんか?」
「私はこだわった方がいいでしょう?先生」
過去のことはよく知ってるだろう教師に返した。
教師に挨拶して振り返ったら、令嬢がすぐ後ろに立っていた。ぶつかりそうになり
「失礼した。」
と言ったら、潤んだ目で見上げて来て
「リヒャルト殿下、愛称でお呼びするのをお許し下さい。」
と上着の裾を掴んで来た。
ぞっとして
「愛称は誰にも許していない。離してくれ。」
と手を振り払った。
振り払われた手を胸の前に組み
「私はアイスラー伯爵の娘、エリーゼと申します。父から国王陛下に殿下との婚約をお願いしております。どうか私を知るために、私と過ごしていただけませんか?愛称もお許しいただければ、楽しい学園生活になりますわ。」
と潤んだ瞳で見上げて来た。
私の母もこんなふうに、媚びたのだろうかと思うと吐き気がした。
「国王陛下から婚約の話など聞いてない。婚約者を持とうとも思ってない。失礼する!」
と強めに言って会場を飛び出して来た。慌てて護衛とギュンターがついて来た。
部屋に戻り侍従に国王陛下にアイスラー伯爵の娘、エラがハニートラップを仕掛けて来て、婚約を強請って来た。しかるべき処分をして欲しいと報告をあげるように指示した。
しばらくして、エルマーも戻って来た。ギュンターから経緯を聞きソファで吐き気をこらえて、横になってる私を見て
「あの伯爵令嬢、入学以来高位の貴族令息に声かけているのは、知ってたけど、まさか殿下に媚びるとは。殿下の女嫌いが、加速しそうだなー」
ギュンターと話し合っていた。
「あの伯爵令嬢は伯爵令息以下と令嬢達は空気かというぐらい無視するよな。ギュンターと一緒にいる時そばに寄って来ると、ギュンターだけに目を向けて、俺はいないものにしているいい根性だよ。」
ギュンターもうなずいて
「殿下に声をかけられないからって、ぶつかるように体当たりもすごいよな。思わず詫びることばを声をかけられたとして、話を進めるなんて、どこでそんなテクニック身に付けるんだろうな。」
「今度からもっと護衛を、近づけておかないとな。」
二人の話し合うことばを聞きながら、悪名高い王太子夫妻の子でも利用価値あるのかと、ぼんやり考えていた。
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