53 / 69
53
しおりを挟む「そのご都合主義はなんなんですか」
思わず口に出すとリヒャルトもそう思うようで頷いた。
「異世界から渡って来た竜人の元の世界には普通に男女いたそうです。そして竜人同士番に巡り合って番うから生まれるのは男も女も同数生まれます。長寿ですし、竜化して自由に飛び回れるから番も見つけやすかったらしいと始祖が言ったと記録にあります。我らの先祖だけ例外的に見つからずこちらまで来たのですけれど」
「え?と言う事は竜人は番以外と夫婦になると生まれて来るのは男だけなの?!」
「ええ、そうなんです。人体の不思議?」
人体じゃないじゃない。竜よ竜!
「王族に番が見つかる事はまれです。そのため王家には王女が生まれることもない。それ以外の王族が臣下に降りて貴族になった者達の末の大部分は魔力もなく、番がわからなくなりました。つまり普通の人間になって来ています。ただ中には私やニック、アデリナのように魔力を持って生まれて来た者達は番を求める本能が残っています」
「アデリナさんは王太子殿下が好きだって」
「番を求める本能が彼女は薄いのだと思いますよ。王太子殿下がアデリナの番と言う事はないのですから」
「そうですね。王太子殿下の番はエレオノーラ王女殿下ですから」
ニックとリヒャルトが頷き合ってる。
やっぱり!そう言う事なの!嬉しくない。
光栄だわなんてとても思えない。思わず仏頂面していると、リヒャルトに笑われた。何よ。美形は何してもいいじゃない。
「話はそれましたが、私の祖先は番を探す探知機の魔道具を作り、見つかったら番本人に出会う前に王女殿下がしている指輪の魔道具をはめさせようとしていたと言うことが、昨日一晩遺品のメモを読んでわかりました。でも遺品の中には番探知機も王女殿下のしている指輪も見つかりませんでした。王妃の依頼だったのなら、両方王妃の手元にあって、指輪だけ遺品として王女殿下のお国に送られたとしかわかりませんでした」
なんかすごい手間。最初から番の本能を抑える魔道具でいいのに。でも本人が拒否したら、つけてもらえないか。番を諦めきれないもの達には無理な話か。
だから、番探知機なんて作ったのかしらね。どのぐらいの精度があったのかも、もうわからないけれど。番に振り回されて行くのは本当に嫌。私が王太子の番だと王太子本人に分からなくて本当によかった。
あれ?でもこの二人には知られているのよね。黙っていてと言って聞いてくれるのかしら。なんと言ってもこの二人はこの国の要職についているのだから、無理かしら……
10
お気に入りに追加
1,873
あなたにおすすめの小説
本物の恋、見つけましたⅡ ~今の私は地味だけど素敵な彼に夢中です~
日之影ソラ
恋愛
本物の恋を見つけたエミリアは、ゆっくり時間をかけユートと心を通わていく。
そうして念願が叶い、ユートと相思相愛になることが出来た。
ユートからプロポーズされ浮かれるエミリアだったが、二人にはまだまだ超えなくてはならない壁がたくさんある。
身分の違い、生きてきた環境の違い、価値観の違い。
様々な違いを抱えながら、一歩ずつ幸せに向かって前進していく。
何があっても関係ありません!
私とユートの恋は本物だってことを証明してみせます!
『本物の恋、見つけました』の続編です。
二章から読んでも楽しめるようになっています。
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
【完結済】“呪われた公爵令嬢”と呼ばれた私が自分の生きる道を見つけました!
鳴宮野々花
恋愛
バーネット公爵家の長女セレリアは、ジャレット王太子の婚約者だった。しかしセレリアの妹フランシスとジャレット王太子が、恋仲になってしまう。
王太子の強い希望により、セレリアとの婚約は白紙となり、フランシスが王太子の婚約者となる。
泣いて詫びる妹を、大丈夫だと宥めるセレリア。
だが結婚式を目前に、フランシスは何者かによって毒殺されてしまう。
美しく愛らしい、誰をも魅了するフランシス。対して平凡な容姿で、両親からの期待も薄かったセレリア。確たる証拠もない中、皆がセレリアを疑いはじめる。その後、セレリアにフランシスの殺害は不可能だったと証明されるが、フランシスを失った苦しみから半狂乱になったジャレット王太子は、婚約破棄された腹いせに妹を殺したのだと思い込みセレリアを責め立てる。
「お前のせいでフランシスは死んだのだ!お前は呪われた公爵令嬢だ!」
王太子のこの言葉を皮切りに、皆がセレリアを呪われた公爵令嬢と噂するようになり──────
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~
日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。
そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。
優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。
しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。
元婚約者様の勘違い
希猫 ゆうみ
恋愛
ある日突然、婚約者の伯爵令息アーノルドから「浮気者」と罵られた伯爵令嬢カイラ。
そのまま罵詈雑言を浴びせられ婚約破棄されてしまう。
しかしアーノルドは酷い勘違いをしているのだ。
アーノルドが見たというホッブス伯爵とキスしていたのは別人。
カイラの双子の妹で数年前親戚である伯爵家の養子となったハリエットだった。
「知らない方がいらっしゃるなんて驚きよ」
「そんな変な男は忘れましょう」
一件落着かに思えたが元婚約者アーノルドは更なる言掛りをつけてくる。
クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ制作
柳川歩城
ファンタジー
クトゥルフ神話TRPG のオリジナルシナリオを作るところです。人神など他の小説(もちろん自分で作ったもの)にも関わってくるので、小説の投稿具合を見て公開します。
シナリオが公開された場合矢印の先に一週間顔文字を置きます。 →(o´・ω・`o)
弱小テイマー、真の職業を得る。~え?魔物って進化するんですか?~
Nowel
ファンタジー
3年間一緒に頑張っていたパーティを無理やり脱退させられてしまったアレン。
理由は単純、アレンが弱いからである。
その後、ソロになったアレンは従魔のために色々と依頼を受ける。
そしてある日、依頼を受けに森へ行くと異変が起きていて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる