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「惨すぎます。なぜ王弟は番を開放できなかったのですか」
「待ち焦がれた番に狂っていた……のでしょうか。番が食事を拒否して、亡くなったあと王弟も後を追いました」
「………死ぬなら一人で死んで欲しいですね」
「そうですね。一つの家族を壊して得たものはこれですから、番なんて美しいものじゃありません」
番を求める本能って怖い。人間には三大欲求があるけれど、竜人には四大欲求があるのか。
「それで、話はそれましたけれども、王太子殿下には会わせていただけるのですか」
リヒャルトはああ忘れてたという顔をした。が美形はそれでも以下省略。
「もちろんと言いたいのですが、絶対に王太子は拒否するでしょう。不意打ちで面会の機会を作りますので、後で連絡します」
「そんなに私に会いたくないのですか」
別に好きでも無いけれど、そこまで嫌われると乙女としては気分は悪い。
「嫌い……というのとは違います。責任から逃げているだけだと思いますよ」
ほぉ~側近は結構厳しいのだな。
「今日は何か予定は入っていますか」
そんなことを考えていたら、美形側近にそう聞かれた。
「これと言って予定はありませんが」
「でしたたら、私が王宮の案内をします」
「仕事はいいのですか?」
「逃げ回る王太子殿下の代わりに、王女殿下を王宮の中を案内させていただきます。全て王太子に仕事は押しつけてきました。ああ見えてもまじめですから、午後はおとなしく書類に埋もれているはずです。その隙に案内と言って魔術師塔にご案内しますよ」
「魔術師塔?」
「魔術師達がそれぞれの研究室を持っているのですが、その離宮を王宮の者達は魔術師の塔と呼んでいるのです。よく爆発したりするので、離れていないと危険ですのでね」
それは興味がある。我が国には魔力を持つ人はいないので、魔術など見たことも無いのだ。
「お邪魔でなかったら、是非魔術師の方々にお会いしたいですわ」
「番の研究を極秘で進めてる魔術師数人に会っていただき、研究に参加していただきたいのです」
「……人体実験ですか……」
あはははとリヒャルトが笑い声を上げた。その姿を見て失礼なとちょっとむっとした。
「すみません。あれは冗談です。さすがに他国の王女殿下に人体実験をお願いできませんからね。彼らがどうのような方針で研究していて、当事者の王女殿下はどう思われるか知りたいだけですから」
笑いを治めてそういう顔も美形でむかつく。
「それでは参りましょう。侍女と護衛はお連れになって下さい」
この国に来て、初めて役に立つような事ができるかもしれないとわくわくした。
「待ち焦がれた番に狂っていた……のでしょうか。番が食事を拒否して、亡くなったあと王弟も後を追いました」
「………死ぬなら一人で死んで欲しいですね」
「そうですね。一つの家族を壊して得たものはこれですから、番なんて美しいものじゃありません」
番を求める本能って怖い。人間には三大欲求があるけれど、竜人には四大欲求があるのか。
「それで、話はそれましたけれども、王太子殿下には会わせていただけるのですか」
リヒャルトはああ忘れてたという顔をした。が美形はそれでも以下省略。
「もちろんと言いたいのですが、絶対に王太子は拒否するでしょう。不意打ちで面会の機会を作りますので、後で連絡します」
「そんなに私に会いたくないのですか」
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「嫌い……というのとは違います。責任から逃げているだけだと思いますよ」
ほぉ~側近は結構厳しいのだな。
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「これと言って予定はありませんが」
「でしたたら、私が王宮の案内をします」
「仕事はいいのですか?」
「逃げ回る王太子殿下の代わりに、王女殿下を王宮の中を案内させていただきます。全て王太子に仕事は押しつけてきました。ああ見えてもまじめですから、午後はおとなしく書類に埋もれているはずです。その隙に案内と言って魔術師塔にご案内しますよ」
「魔術師塔?」
「魔術師達がそれぞれの研究室を持っているのですが、その離宮を王宮の者達は魔術師の塔と呼んでいるのです。よく爆発したりするので、離れていないと危険ですのでね」
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「……人体実験ですか……」
あはははとリヒャルトが笑い声を上げた。その姿を見て失礼なとちょっとむっとした。
「すみません。あれは冗談です。さすがに他国の王女殿下に人体実験をお願いできませんからね。彼らがどうのような方針で研究していて、当事者の王女殿下はどう思われるか知りたいだけですから」
笑いを治めてそういう顔も美形でむかつく。
「それでは参りましょう。侍女と護衛はお連れになって下さい」
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