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「励ましに来たのーーーついでに。本当の用事はあなたにお願いがあって」

 なに、ついでにって。

「なんでしょうか。この状況下で、私ができることは少ないと思うのですが」

「テオバルトの側近にリヒャルト・グートハイル、公爵子息よ。彼があなたに面会を申し込むはず。テオバルトの側近だから会いたくないと拒否されないように、事前に私がお願いに来たのよ」

「嫌われ者の他国の王女のところに何用ですか」

 思いっきり卑下してみたけど、王妃にはスルーされたよ。

「リヒャルトは番を見つけて、正妻と嫡子を捨てた王弟の末だから、番については否定的なのよ。それで、私が魔術師に依頼している研究をいろいろ助けてくれてるのよ」

 ほおお、そんな人もいるんだ。国から連れてきた者たちの中で会うのなら、まだ安全だろう。王妃に場所はここの客間で、私が国から連れてきた者達と一緒なら会ってもいいと言うと

「わかったわ。ここの客間でなら会うと言うことね。さっそく明日前触れを出すように言うわ」

「あの、こんなこと聞くのは本意ではないのですが」

「いいわよ。答えるわ」

 一の兄に大事なことだから、探ってこいと言われたけど、言いにくいなぁーーー

「あの……歴代の王妃は子供を一人産むと、国王と別居していると聞きました。がーーー国王も男ですよね?……あの、その、えっと、えーと。でもこの国は一夫一妻制ですよね」

「ああ、未婚の乙女は言いにくいのね」

 王妃はわかってくれたようで、ホッとする。

「国王は性欲をどうしてるかと言うことね」

 うん、まあ、そう言うことだけど……そう言うことだけじゃないんだけどな。王妃は私の顔色を見て察したようだ。

「ああ、王妃と性交渉がなくなったら、男のつねに生産される精液はどうしてるかということ?」

 なんか、この王妃様に同情が薄くなって来たわ。だからそう言う意味だけど、そうじゃない!

「ですから、国王には愛人はいるかと言う事をーーー」

「なんだ、同じことじゃないの」

 同じじゃない!

「歴代の王の中には先祖返りで正妃を拒否して、愛人を作った王がいたとされてるけれど」

「けれど?」

「その王は正妃を拒否して愛人を召し上げても上手くいかず、結局王弟に王座を譲ったそうよ」

「愛人とはそう言う行為は?」

 ああーーーだんだん卑猥になって行く。R15じゃないけれど大丈夫かしらーーー

「してなかったと伝わってるけれど、真実は藪の中よ」
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