48 / 144
第二章 魔王は再び蘇る?
最低最悪な宝探し
しおりを挟む
「全く、何だってんだ……?」
デリヘラの言う通りに、俺が拠点していた辺境の町に到着した。
情報通り、あの悪魔の分身体によって、滅ぼされてからまだ間もないというのに、完全に廃墟と化している。
一応、勇者達も調査を行ったようだが、運良く町を離れた者を除いて、生存者はいなかったそうだ。
あったとしても、それはかつて人だったものの一部が転がっているくらいだ。
そうだというのに…………。
「……………………」
恐らく、まだここに駐留していた調査隊の面々なのだろう。
その面々が、地面に出来た半径二十メートル程のクレーター……………………その中心で、座った状態で眠りこけているであろう人物の周りで、身体がのあちこちをバラバラにされ転がっている。
嫌な汗が流れる。
もしかしなくても、デリヘラが依頼して来た"最悪な宝探し”は始まった瞬間に、もう見つかってしまった……?
「……………………」
意を決して、近付こうとした時…………。
突然、そいつが顔を上げ、俺と目が合った。
そいつとは二百メートル以上も距離が離れている。
念のため、音も気配も魔道具で遮断しているし、魔力を感知するにしても、距離が離れ過ぎている。
普通なら見つけられない筈なのだが…………。
偶然か……?
「ん……? 君は何……?」
「っ…………!?」
考え耽っていると、瞬きをした瞬間、そいつは視界から忽然と消え------------気が付くと、俺の顔を下から覗き込むように見上げる赤い瞳があった。
眠たそうで、とろそうな独特の声音。
それを表すこのような、やる気無さげなで、眠気まなこな瞳。
歳と慎重は俺と同じくらいか……?
だが、そいつは普通の人間ではありえない、宝石で例えるなら、サファイアのように透き通った青い肌をしていた。
思わず、息を飲む俺は、いまいち、状況が理解出来ず、困惑する。
そいつはしばらく、ジッと俺を見つめていたが--------
「まあいいや…………」
何を思ったのか、背筋を伸ばして、大きな口を開けて、欠伸をする。
そんな時だった。
「なっ…………!?」
防衛用に張っていた結界魔法が、身体を吹き飛ばされると同時に消し飛んだ。
「《リリース!》」
吹き飛ばされた俺は何とか、受け身を取って、《ヴァルキリー》を展開。
両肩のキャノン砲を放つ。
それを軽々と交わしたそいつは、まるで人間のように驚いたように目を見開いて…………。
「へぇ~…………男から女に変われるんだ…………」
その頬が獰猛に歪んだ。
「っ!!」
咄嗟に危険を察知して、両腕のバリアフィールドを周りに展開。
見えない衝撃が俺を襲う。
だが、その衝撃は一秒間隔で、小刻みに複数与えられ、バリアフィールドの耐久性が削られて行く。
頭部のバイザーのセンサーには、熱源どころか、魔力反応すらない。
「このぉ~!!!」
ヤケクソ気味に両腕のミサイルポッドを上に向けて発射。
俺の周囲に、ミサイルを拡散させて、爆撃した。
その一瞬、攻撃の手が止まるのを見計らって、背部のブースターを点火。
急速上昇して、上空に退避する。
「あいつはぁ~!?」
急いで、センサーをフル稼働して、あいつの居場所を探す。
そして、爆炎に紛れて、周囲を動き回っている熱源を捉えると、そこへ向けて、一斉射撃を加えた。
辺境の跡地に、町全体を包む程の爆発が起きる。
いくら何でも、この攻撃を受けて、無事な筈は--------
「おおっ! すごいねぇっ!?」
「なっ!?」
爆発が止むと、そいつは町すら消し飛ばす砲撃を受けたにも関わらず、ピンピンとしていた。
それどころか、まるで無邪気な子供のように、嬉しそうにこちらに手を振る余裕さえある。
おいおいっ!?
マジなのかっ!!?
思わず、顔を引きつらせた俺は、ダメ元で砲撃を放つ。
だが…………。
「面白い…………! 本当に面白いよっ!!」
ピョンピョンと嬉しそうに跳びはねる姿は正に子供そのもの。
だが、先程までと大きく変容した、その腕は、大分小さくはなったが、あの悪魔と類似していた。
「まさかぁ~…………この子が《魔族》なのぉ~……?」
どうやら、着いて早々、デリヘラが依頼した『最低最悪な宝物』は見つかってしまったようだ。
これが、俺とこいつの出会いであり、長きに渡る戦いの幕開けでもあった。
デリヘラの言う通りに、俺が拠点していた辺境の町に到着した。
情報通り、あの悪魔の分身体によって、滅ぼされてからまだ間もないというのに、完全に廃墟と化している。
一応、勇者達も調査を行ったようだが、運良く町を離れた者を除いて、生存者はいなかったそうだ。
あったとしても、それはかつて人だったものの一部が転がっているくらいだ。
そうだというのに…………。
「……………………」
恐らく、まだここに駐留していた調査隊の面々なのだろう。
その面々が、地面に出来た半径二十メートル程のクレーター……………………その中心で、座った状態で眠りこけているであろう人物の周りで、身体がのあちこちをバラバラにされ転がっている。
嫌な汗が流れる。
もしかしなくても、デリヘラが依頼して来た"最悪な宝探し”は始まった瞬間に、もう見つかってしまった……?
「……………………」
意を決して、近付こうとした時…………。
突然、そいつが顔を上げ、俺と目が合った。
そいつとは二百メートル以上も距離が離れている。
念のため、音も気配も魔道具で遮断しているし、魔力を感知するにしても、距離が離れ過ぎている。
普通なら見つけられない筈なのだが…………。
偶然か……?
「ん……? 君は何……?」
「っ…………!?」
考え耽っていると、瞬きをした瞬間、そいつは視界から忽然と消え------------気が付くと、俺の顔を下から覗き込むように見上げる赤い瞳があった。
眠たそうで、とろそうな独特の声音。
それを表すこのような、やる気無さげなで、眠気まなこな瞳。
歳と慎重は俺と同じくらいか……?
だが、そいつは普通の人間ではありえない、宝石で例えるなら、サファイアのように透き通った青い肌をしていた。
思わず、息を飲む俺は、いまいち、状況が理解出来ず、困惑する。
そいつはしばらく、ジッと俺を見つめていたが--------
「まあいいや…………」
何を思ったのか、背筋を伸ばして、大きな口を開けて、欠伸をする。
そんな時だった。
「なっ…………!?」
防衛用に張っていた結界魔法が、身体を吹き飛ばされると同時に消し飛んだ。
「《リリース!》」
吹き飛ばされた俺は何とか、受け身を取って、《ヴァルキリー》を展開。
両肩のキャノン砲を放つ。
それを軽々と交わしたそいつは、まるで人間のように驚いたように目を見開いて…………。
「へぇ~…………男から女に変われるんだ…………」
その頬が獰猛に歪んだ。
「っ!!」
咄嗟に危険を察知して、両腕のバリアフィールドを周りに展開。
見えない衝撃が俺を襲う。
だが、その衝撃は一秒間隔で、小刻みに複数与えられ、バリアフィールドの耐久性が削られて行く。
頭部のバイザーのセンサーには、熱源どころか、魔力反応すらない。
「このぉ~!!!」
ヤケクソ気味に両腕のミサイルポッドを上に向けて発射。
俺の周囲に、ミサイルを拡散させて、爆撃した。
その一瞬、攻撃の手が止まるのを見計らって、背部のブースターを点火。
急速上昇して、上空に退避する。
「あいつはぁ~!?」
急いで、センサーをフル稼働して、あいつの居場所を探す。
そして、爆炎に紛れて、周囲を動き回っている熱源を捉えると、そこへ向けて、一斉射撃を加えた。
辺境の跡地に、町全体を包む程の爆発が起きる。
いくら何でも、この攻撃を受けて、無事な筈は--------
「おおっ! すごいねぇっ!?」
「なっ!?」
爆発が止むと、そいつは町すら消し飛ばす砲撃を受けたにも関わらず、ピンピンとしていた。
それどころか、まるで無邪気な子供のように、嬉しそうにこちらに手を振る余裕さえある。
おいおいっ!?
マジなのかっ!!?
思わず、顔を引きつらせた俺は、ダメ元で砲撃を放つ。
だが…………。
「面白い…………! 本当に面白いよっ!!」
ピョンピョンと嬉しそうに跳びはねる姿は正に子供そのもの。
だが、先程までと大きく変容した、その腕は、大分小さくはなったが、あの悪魔と類似していた。
「まさかぁ~…………この子が《魔族》なのぉ~……?」
どうやら、着いて早々、デリヘラが依頼した『最低最悪な宝物』は見つかってしまったようだ。
これが、俺とこいつの出会いであり、長きに渡る戦いの幕開けでもあった。
0
お気に入りに追加
1,054
あなたにおすすめの小説
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
スキル、弾丸生産? 〜メカチートな落第騎士は、最強である事をひた隠す〜
水先 冬菜
ファンタジー
『防人』
それは異世界からの侵略者《エーテル》から人類を守れる唯一の希望。
そんな『防人』になる事を夢見る少年カズハは、親の反対を押し切り、弟と幼なじみの少女達と共に『防人適正試験』を受け----------------ものの見事に自分だけ落ちてしまう。
泣く泣く、『防人』を補佐するサポート科として、学園に入学するも、弟達は『防人』として、多くの功績を残していく中…………。
いつしか、嫉妬の念を抱いたカズハは、人間に扮装した《エーテル》の罠に嵌ってしまい------------
そのまま、命を落としてしまった…………筈だったのだが…………。
《最強の防人》と謳われる英雄から、謎のスキルと武器を与えられて----------------
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界召喚された回復術士のおっさんは勇者パーティから追い出されたので子どもの姿で旅をするそうです
かものはし
ファンタジー
この力は危険だからあまり使わないようにしよう――。
そんな風に考えていたら役立たずのポンコツ扱いされて勇者パーティから追い出された保井武・32歳。
とりあえず腹が減ったので近くの町にいくことにしたがあの勇者パーティにいた自分の顔は割れてたりする?
パーティから追い出されたなんて噂されると恥ずかしいし……。そうだ別人になろう。
そんなこんなで始まるキュートな少年の姿をしたおっさんの冒険譚。
目指すは復讐? スローライフ? ……それは誰にも分かりません。
とにかく書きたいことを思いつきで進めるちょっとえっちな珍道中、はじめました。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる