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第二章 魔王は再び蘇る?
隣町の坑道
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デリヘラとかいうクソ女神の依頼を結局、受ける事にした。
俺が拠点にしていた辺境の町から少し離れた隣町。
そこで、今では誰も立ち寄らないとされる廃坑の跡地へ向かっていた俺は、デリヘラに聞いた内容を頭の中で反芻しながら、その跡地へと歩んでいく。
「全く…………最近はこういう厄日ばかりだな…………」
そう愚痴を零しつつも、先払いで貰った報酬に、ニヤケが止まらない俺。
使い所によっては、大いに助かる。
そういったものを、あのクソ女神から貰った。
だがまあ、その分、この報酬に見合った成果を出さないとな…………。
「おっ…………。ここかな……?」
町の住民から聞いた話では、かなり荒廃していて、凶暴な魔物も多いって聞いていたんだが…………。
至って静かだ。
平穏とさえ言える。
「道間違えたか……?」
そう思い、地図に目を通してみたが…………。
間違いなく、目の前にある大きな穴が開いた洞窟が、目的の坑道だった。
その証拠に、入り口付近に坑道の名らしき看板が立て掛けてある。
「可笑しい…………」
あまりにも可笑しかった。
デリヘラの奴の話じゃ、ここ最近、この坑道で魔物達の縄張り争いが起きていて、今も抗争状態だと言っていたのだが…………。
まさか、あの野郎…………。
俺にデマを言って、ここに俺をおびき寄せたんじゃねぇだろうなぁ~…………。
もしそうなら、後で覚えてろよ。
「ん?」
そこで、ふと、あることに気付く。
坑道の入り口--------そこに立て掛けてある看板の近くに、何やら異様なものが転がっている。
近付いてみると…………。
それは魔物のものであろう死骸であった。
看板の背後に隠れていて、分かりにくいかったが、上半身が喰いちぎられ、下半身を残して放置されていた。
その下半身には、所々、切り刻まれたであろう細かな傷が幾つもあり…………。
どのような魔物にやられたのか、皆目検討がつかない。
だが、ここで何か起きた事は確信出来た。
デリヘラの依頼内容を思い出し、冷や汗を流す俺。
ここへ向かう前に、デリヘラが俺に言い残していった言葉が脳裏に蘇る。
『坑道に入るなら、しっかりと準備していってね♡
じゃないと…………あなたでも死んじゃうよ…………』
一瞬だけだが、真剣さを帯びたその言葉は俺の身を案じてのもの…………。
ここは一度退散して置いた方が良さそうだ。
だが、その前に…………。
「……………………」
俺は背負ったリュックを下ろして、あるものを坑道の前に置いて、帰還する事にした。
今回の依頼。
どうやら、一筋縄では行かなそうだ。
俺が拠点にしていた辺境の町から少し離れた隣町。
そこで、今では誰も立ち寄らないとされる廃坑の跡地へ向かっていた俺は、デリヘラに聞いた内容を頭の中で反芻しながら、その跡地へと歩んでいく。
「全く…………最近はこういう厄日ばかりだな…………」
そう愚痴を零しつつも、先払いで貰った報酬に、ニヤケが止まらない俺。
使い所によっては、大いに助かる。
そういったものを、あのクソ女神から貰った。
だがまあ、その分、この報酬に見合った成果を出さないとな…………。
「おっ…………。ここかな……?」
町の住民から聞いた話では、かなり荒廃していて、凶暴な魔物も多いって聞いていたんだが…………。
至って静かだ。
平穏とさえ言える。
「道間違えたか……?」
そう思い、地図に目を通してみたが…………。
間違いなく、目の前にある大きな穴が開いた洞窟が、目的の坑道だった。
その証拠に、入り口付近に坑道の名らしき看板が立て掛けてある。
「可笑しい…………」
あまりにも可笑しかった。
デリヘラの奴の話じゃ、ここ最近、この坑道で魔物達の縄張り争いが起きていて、今も抗争状態だと言っていたのだが…………。
まさか、あの野郎…………。
俺にデマを言って、ここに俺をおびき寄せたんじゃねぇだろうなぁ~…………。
もしそうなら、後で覚えてろよ。
「ん?」
そこで、ふと、あることに気付く。
坑道の入り口--------そこに立て掛けてある看板の近くに、何やら異様なものが転がっている。
近付いてみると…………。
それは魔物のものであろう死骸であった。
看板の背後に隠れていて、分かりにくいかったが、上半身が喰いちぎられ、下半身を残して放置されていた。
その下半身には、所々、切り刻まれたであろう細かな傷が幾つもあり…………。
どのような魔物にやられたのか、皆目検討がつかない。
だが、ここで何か起きた事は確信出来た。
デリヘラの依頼内容を思い出し、冷や汗を流す俺。
ここへ向かう前に、デリヘラが俺に言い残していった言葉が脳裏に蘇る。
『坑道に入るなら、しっかりと準備していってね♡
じゃないと…………あなたでも死んじゃうよ…………』
一瞬だけだが、真剣さを帯びたその言葉は俺の身を案じてのもの…………。
ここは一度退散して置いた方が良さそうだ。
だが、その前に…………。
「……………………」
俺は背負ったリュックを下ろして、あるものを坑道の前に置いて、帰還する事にした。
今回の依頼。
どうやら、一筋縄では行かなそうだ。
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